ファーストスクリーンが、テレビからスマートフォンに移行しつつある。若者のテレビ離れをはじめ、急激なテレビへのアテンション低下を危惧する広告主は、その代替策としてオンライン動画の活用に注目し、取り組みを始めている。視聴者の感情を刺激し、ブランドリフトや購入意向を高める動画キャンペーンの秘訣について、アンルーリー インサイト・ディレクターのイアン・フォレスター氏に聞いた。
動画マーケティングの新たな評価指標「シェア」
――若年層を筆頭に、ファーストスクリーンがテレビからスマートフォンにシフトしつつあります。テレビCM施策では十分にリーチできない年齢層も出てきており、それを補う手段としてオンライン動画の活用に注目が集まっています。海外でも、このような状況はすでに起きているのでしょうか?

イアン氏:先日開催したローンチセミナーで弊社 共同CEOのスコットが話したように、テレビチャンネルや視聴者の興味関心の分散化により、米国におけるテレビの視聴率は3割減、またテレビCMへの注目度は1980年代後半から現在にわたり、急激に低下が進んでいます。
しかしながら、テレビに対する広告予算投資額自体は横ばいで、大きな増減はありません。一方で、動画やソーシャルへ投下される予算が大きく伸びており、全体の予算が大きくなった分、全体のパイに対するテレビ予算の割合が小さくなってきています。
――日本の市場は、海外と比べてどのくらいタイムラグがあるのでしょうか。
イアン氏:米国と比べて、3~4年くらいでしょうか。米国は2011年頃に、動画市場が大きく拡大する時期を迎えました。一方、日本の広告主は、まさに今年、オンライン動画に大きな成功のチャンスがあると気付き始めました。
――“動画広告元年”“今年こそは動画の市場が立ち上がる”と日本では何年も前から言われていますが、その状況をどう見ていますか。
イアン氏:日本は諸外国と環境が大きく異なります。テレビCMが効かなくなったとは言っても、テレビの影響は依然として強く、ターゲットに大きなリーチをとることができます。またテレビのチャンネル数が少ないことも、日本市場の特殊さであり、日本において動画市場が本格的に立ち上がらない大きな要因でしょう。

イアン氏:これは日本における企業動画の数を示したものですが、前年と比較して大きく伸びています。このデータからも、大きな変革が今まさに起きようとしていることがわかるでしょう。しかし、ネットユーザー1,000人あたりの企業動画数は世界平均よりも少なく、英国の3分の1程度。ここに大きな伸びしろがあります。
日本の企業は、良質な動画コンテンツで生活者とつながる価値に気付き始めました。そして動画コンテンツで視聴者のアテンションを勝ち取るためには、視聴者が強い感情反応を示すことが必要です。一般的に動画は、「再生数」「完全視聴率」といった効果指標で施策の結果を判断されますが、私たちは「シェア数」「シェア率」の重要性を説いています。動画を見た人がコンテンツにアテンションしているからこそ、誰かにシェアしたいと思う。だからこそ、“シェア”という視聴者の行動を重視しているのです。日本においても、“シェア”という新たな動画広告の効果指標の重要性を認識している広告主は、徐々に増えつつあります。
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安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)
翔泳社 メディア編集部門 ビジネス編集統括 第2メディア編集部 部長 兼 Biz/Zine編集長
慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、新規事業を創出。2019年4月~2026年3月、MarkeZine 4代目編集長。2025年4月よりBiz/Zine編集長を兼任。2026年4月より現職。編集業務と並行して、デジタル...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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