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枠売り広告マンに価値はない/代理店はCRM領域へ踏み込めるか【加藤公一レオx有園対談】


 アタラ合同会社が運営するメディア「Unyoo.jp」から、コラムやキーパーソンへのインタビュー記事をピックアップして紹介する本連載。今回は、アタラ 取締役 COOの有園氏が、売れるネット広告社 代表取締役社長の加藤公一レオ氏に行ったインタビューの要約版です。

株式会社売れるネット広告社 代表取締役社長 加藤公一レオ氏
1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。その後、Havas Worldwide Tokyo、株式会社アサツーディ・ケイにて、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事し、担当した全てのクライアント(広告主)のネット広告を大成功させる。やずやベストパートナー賞受賞。Webクリエーション・アウォードWeb人貢献賞受賞。「アドテック」「宣伝会議」「日経デジタルマーケティング」「通販新聞」など講演多数。「アドテック東京2012」「アドテック九州2013」「アドテック九州2014」において3年連続で公式カンファレンス人気スピーカー1位に。「九州インターネット広告協会」の初代会長も務めた。著書に『単品通販“売れる”インターネット広告』(日本文芸社)、『100%確実に売上がアップする最強の仕組み』(ダイヤモンド社)。

有園:今日は売れるネット広告社 代表取締役社長の加藤公一レオさんにお話しをうかがいます。2015年3月に『100%確実に売上がアップする最強の仕組み』(ダイヤモンド社)という書籍も出されていますが、私も読んで勉強させていただいております。でも、正直に言うと、レオさんって広告業界的には、ちょっと胡散臭いって思われているじゃないですか。

レオ:よく言われますね(笑)

有園:ストレートで、すみません(笑)。エッジの立った過激な発言を意識的にされているので、そういうのを敬遠する人も業界の中にはいると思うんですよ。正直、僕は最初「なんだこいつ」と思っていました。でも、レオさんがネットとかで連載されている記事を読むにつれて「けっこう、いいこと言っているな」と思って。

クライアントのLTVを改善すれば、広告代理店の売上も上昇する

有園:まず最初に、「ライフタイムバリュー(Life Time Value)」や「年間ROAS(Return on Ad Spend)」の指標について重要視する考えに至った理由について、あらためてうかがえますか。

レオ:もともとは私自身は広告屋で、ADKでネット広告をやっていました。当たり前ですが、広告を投下するほど私(広告屋)は儲かるわけですが、クライアントのLTVが低いとクライアントからのCPA目標の要求が厳しくなります。逆に、めちゃくちゃ高いLTVを作り出せば、CPAが甘くなる。その結果、ガンガン広告を打ってもクライアントは採算がとれると同時に、広告屋の売上も上がる。正直なところ、もともとそんな流れがありました。イチ広告マンとして。

有園:実は、それを聞きたかったんですよ。正直ですね。クライアントのLTVを改善することで、広告代理店の売上も上昇する

レオ:ぶっちゃけ10年前に比べて、ネット広告のCPAやCPOは悪くなっています。リスティング広告も採算性がどんどん悪くなっていく。「純広」でもCPAが悪くなっていく。これからはCPAが良くなる時代って来ないと思うんですよ。世の中、DSPとかいろいろありますが、どうやっても結局、低いCPAでとれることはもうないと思います。

 通販のビジネスでは、初回受注はあくまできっかけ。その後のリピートやクロスセルで利益を出すビジネスモデルです。なので、広告の“費用対効果”はLTVで見ないといけない。企業の決算が1年であるように、ネット広告の決算も年単位にすると、より正確に“効果”を把握できます。極端な話ですが、通販会社であるクライアントが儲けるためには、1度来て終わりではなく、いかにお客さんに100回来て買ってもらうかをベースに考えていけば、売上は上がっていくんです。このような観点から、LTVやCRMに特化し始めました。

 また、競合がいなかったことも理由の一つですね。多くの広告マンや広告代理店は、せいぜいバナーを作って広告の媒体枠をExcelで売っているような世界でした。それは一見、効率がよさそうですが、本質的に考えると媒体枠なんか誰でも買えるわけで、そこには何も価値はありません。なので、僕は十何年前から、クライアントのCPAだけじゃなく、その後のCPOやLTVにも責任を持つことを始めました。

媒体枠を売るだけでは、価値がない

有園:通販をやっている人にとってはCPA(Cost per Action)、CPO(Cost per Order)、LTV(Life Time Value)って常識なのかもしれません。しかしが、ネット広告ではCPAとCPOを区別せずに使っている方は、けっこういるように感じています。その違いを説明していただけますか。

レオ:弊社のやり方は、どちらかというとツーステップマーケティングです。いわゆる、1回目はサンプルを申込ませて見込み客を集め、そこからメールを中心にフォローして本商品もしくはサービスを買わせて2回目、3回目と。あるいは、クロスセルで他の商品を買わせます。

 そして今の弊社の主流としては、無料サンプルやトライアル品などを申し込む1人あたりの獲得コスト(見込み顧客の獲得コスト)をCPAと定義付けています。CPO(Cost per Order)というのは、本商品もしくは本サービスを買わせたときの獲得コストを表現しています。

有園:CPAは、見込み客1人あたりの獲得コストということですよね。CPOはオーダーだから、お金を払って買ってくれる人に対するコストということですね。

レオ:そうですね。結局、我々は媒体枠を売るんですが、そこだけだと価値がない。もっというと、クライアントのためになっていないんです。

 広告代理店や広告マンというのは、なかなかCRMの分野まで入ろうとしません。単純に面倒くさいから。もっというと、いままではCPAの見込み顧客をとった後のCPOが悪ければ、広告代理店はクライアントに「もしかしたらCRMがダメなんじゃないですか」という会話で逃げてた。我々は、そこに踏み込むことによって、CPOまでつなげて、その後のリピートも含めてLTV全体に責任を持つ。そこまで入っていく人はいなかったので、そこが一番のポイントかなと。

 もちろんバナーやLPとかも作りますが、先方のフォローメールから引上LPやリピートLP、DMからパンフレットからコールセンターのスクリプトまでCRM周りを全部こっちで作りました。それが大きかったですね。いまだに競合はいません。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/03/11 20:18 https://markezine.jp/article/detail/23541

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