SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

海外Webトレンド

ついに日本上陸。バイラルメディアの代名詞「BuzzFeed」がもたらすものとは

明確なターゲットとマーケティング

 BuzzFeedの創業者ジョナ・ペレッティは、ことあるごとに自サービスのターゲット層を包み隠さず明言しています。いわく……

  • 仕事中ヒマで仕方ない人
  • 記事をシェアすることで大きな満足を得られる人
  • Web上でのコメントのやり取りなどに、強迫的とも言えるほど固執する人

 こういった人は「BBCやCNNを見る人よりも遥かに多い」と明言しています。仮にも自分たちの顧客にそんな表現を用いていいのかという気がしますが、しかしすべての人が「はは、まったくその通りだ。自分以外はね」と思うため大丈夫なのだとか。何とも強気なマーケティング宣言ですよね。

BuzzFeedはどうやって稼いでいるのか

 BuzzFeedのサイトをご覧になるとお分かりのように、そこにはバナーなどの一目で広告だとわかるものがありません。Webサービス収益化の王道とも言える広告を廃し、しかし彼らは去年度120億円以上の売上を達成しています。なぜ売上を伸ばすことができるのでしょうか?

 売上の源泉は、主にネイティブアドだといわれます。たとえば「レッド・ツェッペリンがいなければ生まれなかったであろう15のバンド」という記事は、欧米で人気の音楽配信サービスSpotifyが制作したもので、記事のところどころに自サービスへのリンクや埋め込みが入っています。

 このように最初からスポンサードだと明記して記事を書く方法は、先行メディアの新聞や雑誌ではすでに行われていたことであり、最近では、日本のwebメディアでも頻繁に行われています。こうしてPRであることを堂々と全面に押し出していても、その内容や切り口が面白く、なによりSNSでシェアされるものであれば、十分なコンテンツとなることを示したといえるのではないでしょうか。

 日本版BuzzFeedがどのような媒体になるかはまだ明らかになっていません(2015年12月執筆現在)が、基本的にはこのビジネスモデルを踏襲すると予想します。日本最大のポータルサイトとして、広告モデルでのあらゆる収益化を実現してきたヤフーとしては、Web上で実現できる新たなビジネスモデルとして、BuzzFeedが持つネイティブアドの知見を買ったのではないかと個人的には見ています。

仕事の半分は記事の執筆、もう半分は拡散方法の検討

 「メディア系サービスは技術に弱い」という印象を持っている人は多いのではないでしょうか? もちろん各メディアの編集ポリシーが関係するものの、多くの場合で「いいものを書けば人は読んでくれるはずだ」という根性論に陥りがちな傾向があるように感じます。

 しかしBuzzFeedはそうではありません。彼らは、全体の仕事量を100%とすると50%は記事を執筆することに、残りの50%はそれをいかに広げるかに費やすといい、そのための技術への投資、エンジニアの雇用などを惜しみません。

 たとえば彼らは、1つの記事に対し12種類のタイトルと写真を作成し、それらをすべて掛け合わせたパターンを配信する技術を持ちます。そして数時間試した後、最も良い結果を出した組合せに差し替えるのですが、この一連の流れはすべてプログラムによって自動化されています。

 また、今年の春頃発表された「Pound」と呼ばれる独自技術は、閉ざされた情報としてブラックボックス扱いであったSNS上での拡散を可視化し、分析するものだといわれています。その他にも、各SNSが提供するAPIを徹底的に使いこなし、積極的に他社も買収(参照)するなどの動きを見せる同社。Webサービスを運営する上で、技術を重要視していることが伝わってきます。

次のページ
大手ソーシャルメディアとの関係

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
海外Webトレンド連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

渡邊 徹則(ワタナベ テツノリ)

株式会社Version7代表取締役。Web・コンテンツ制作、分析、マーケティングなどを手掛ける。
執筆業では、主にソーシャル、EC、海外サービス、メディアなどが専門。
会社概要 - seven@ver7.jp - Twitter/Facebook @brigate7

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2016/01/18 12:00 https://markezine.jp/article/detail/23548

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング