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Yahoo!広告活用の今を追う(AD)

10周年を迎えたインターネット クリエイティブアワード 今後もクリエイターを継続支援

 スマートフォン版やアプリ版Yahoo! JAPANトップページの刷新、それに伴う広告ソリューションのリニューアルと、近年まさにドラスティックな変革を続けているYahoo! JAPANによる本連載。今回は、10周年を迎えたYahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード2015に注目。受賞者のコメントとともに、本アワードに対するヤフーの考えと今後の展望を紹介する。

コンテンツ力で勝負したバナー「胸キュン♥スロット」

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は前半で、一般の部・アドクリエイション部門のGoldを受賞されたチームの皆さんにお話をうかがい、後半ではヤフーの高田さんと鈴木さんにクリエイティブアワードについての考えをうかがいます。 まず、バナー広告「胸キュン♥スロット」で見事Goldを獲得された大広の來住(きし)さんと丹治さん、ビービーメディアの野田さんから、応募のきっかけや受賞作について教えてください。

左から、株式会社大広 來住(きし)貴宏氏、丹治直子氏 ビービーメディア株式会社野田奈々恵氏
左から、株式会社大広 來住(きし)貴宏氏 丹治直子氏
ビービーメディア株式会社 野田奈々恵氏

來住:もともとは私が2010年から挑戦していて、2011年からビービーメディアの方々と組んで応募するようになりました。今回は、合計10人のチームで取り組みました。

 応募作は「壁ドン」をモチーフに、髪クシャ、顎クイなどのバリエーションを「壁」×「ドン」といった組み合わせに分解して、バナーをクリックするとスロットができる仕組みです。それで出てきたシチュエーションで少女マンガが始まりますが、「壁キス」だと壁に顔を押し付けられるなど、期待とは正反対の結末に。「恋愛は少しのミスマッチで大惨事、安心できるマッチングサービスはYahoo!パートナー」と、サービス訴求につなげています。

クリックするとページ遷移

MZ:今回の企画は、どのような切り口から考えていったのですか?

來住:制作するのは広告ですが、今回は広告というよりも、おもしろいコンテンツに接して楽しくなってもらいたいと考えました。スマホのギミックを押し出すのではなく、コンテンツの力をしっかり使って勝負しよう、というところが発端でした。

笑いを取りつつヤフーならではの信頼感を訴求

MZ:今年の課題には、サービスが魅力的に伝わる、心に響く作品というテーマがありました。それはどのように捉えていましたか?

來住:心に響くとは、メッセージ訴求以外にも、体験して笑えるとか人に言いたくなることも含むと思いました。今回は、企画段階で野田さんが「壁ドン」をいじるというアイデアを出して、オチまでの流れを皆で爆笑しながら考えられたので、その楽しさも作品へ反映されていると思います。

野田:2015年は、恋愛といえば「壁ドン」というくらい多く聞いたので(笑)。調べてみるといろいろなバージョンがあって、でも本当に「ドン」されると痛いよね、と話したりしながら進めました。チームワークを発揮して、皆で取り組む楽しさを再発見できた機会が、こうした評価に結びついてうれしいです。

MZ:どのサービスに落とし込むかは、いつ決めたのですか?

丹治:人を引きつけるコンテンツと、マッチするサービスの両方を同時に考えていった感じです。企画の初期に、少女マンガのきらきらした世界観とオチで期待を裏切るギャップを核にしようと、イメージの大枠が固まりました。その上で、ヤフーのパートナーサービスだからこその安心感、信頼感の訴求を検討していきました。

MZ:クリエイターとして、クリエイティブアワードへの期待や求めることは?

來住:バナーのクリエイティブはネット広告の原点だと思うので、アドクリエイション部門は今後も残してもらえたらと思います。次回もぜひ、応募したいです。

バナー広告はアイデア次第でまだまだ発展する

MZ:ではここからは、ヤフーの高田さんと鈴木さんに、10周年を迎えたアワードのこれまでと今後の展望をうかがいます。まずは先ほどの「胸キュン♥スロット」を、どのようにご覧になりましたか?

左からヤフー株式会社 鈴木麻美氏 高田徹氏
ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー
エグゼクティブユニットマネージャー兼ディスプレイ広告責任者 高田徹氏(写真左)
マーケティング部 部長 鈴木麻美氏(写真右)

高田:この作品は、私もつい何回もやってしまいました(笑)。インタラクションやギミックに凝った広告をつくりたいと思う人も多いですが、そういう企画ほど案外、ユーザー視点では1回触って終わりだったりします。何回も接したくなるのは、やはりコンテンツの力なのではないでしょうか。スマホのバナーという小さな枠に、これだけアイデアを込められるんだと思わせる、いい事例でした。

MZ:今回の特徴や、応募作品の傾向などを教えてください。

高田:今回も沢山の方々に応募いただき、盛況でした。傾向としては、スマホが特別なもの扱いされなくなったと強く感じました。私たちも、今回は求める作品を「スマートデバイス」から「マルチデバイス」へ広げるとお伝えしましたが、実際の作品もスマホは前提として何ができるのかを考えられていたことが、大きな特徴でした。

 この賞は、ネットの進化に応じて、審査の部門が毎年変わるという特殊な賞です。一方で、ヤフーはずっと「クリエイターが広告の価値を創出している」と考えていますし、それを重視しています。テクノロジーの幅も広がっていますが、それに頼り切らずに、ユーザーを楽しませようとする作品が多く寄せられてうれしかったです。

フォーマットによらないおもしろさに焦点を

MZ:先ほどの受賞者のコメントでは、ぜひ純粋な広告部門を残してほしいという要望がありました。

高田:バナー広告がネット広告の原点だ、というコメントもありましたね。たとえばテレビCMでも、15秒もしくは30秒の映像というフォーマットが決まっている中で、クリエイティブがどんどん進化してきました。

 ネットでは次々と新しいフォーマットが生まれ、それによって発展する表現ももちろんありますが、一方で旧来のフォーマットでもおもしろいものはおもしろい。そこに焦点を当てるのは、クリエイティブアワードが目指すところでもあります。

鈴木:先ほど高田が話したように、賞の枠組みは変化し続けていますが、その中でシンプルな広告クリエイションの部門はずっと残しています。審査の過程では、ネットの機能を介してこそ“インターネット”のアワードなのでは、という議論も上がりましたが、ヤフーとしてネット上で人の心を捉える力強い広告を今後も評価していきたいと思っています。

 一方で、今年でいえばアプリ部門やイノベーション部門を通して、ネットならではのクリエイティブの力を強めたい考えもあります。このアワードでは両方をフォローしながら、ネットに携わるクリエイターを支援する立ち位置になれればと思っています。

その先が見たい、応援したくなる企画「旅する傘」

MZ:アプリやイノベーションの部門で、印象に残った作品は?

高田:一般の部でグランプリを獲得した、踊る折り紙「DANCING PAPER」ですね。これは本アワードの開催より前にYouTubeにアップされて話題になっていた作品で、私も知っていました。

 すでにネットを介して伝播した作品がクリエイティブアワードに応募されたことで、まさに個人が世の中に発信できるというネットの良さを表していると感じ、印象に残っています。おもしろければ必ず広がるというのは、とても“ネット的”だなと思っています。

MZ:鈴木さんは、いかがですか?

鈴木:イノベーション部門でGoldを受賞した、位置情報を取得できるビニール傘を追うプロジェクト「旅する傘」は、審査中にどんどん評価が高くなっていったのが印象的でした。オリジナルの主題歌が添えられるくらい凝っているのですが、なぜそこまでしているのか、どこを目指しているのかとか、審査員の皆さんが次第に応援する雰囲気になって(笑)。

 副賞の賞金で、もっといいものにしてほしいといった意見まで挙がり、そういう気持ちにさせたことが興味深かったですね。

ネット広告をクリエイターにとっての“憧れる場所”に

MZ:10周年の節目を経て、今後はどのように展開されていくのですか?

鈴木:10周年を機に社内でも、今後のよりよいアワードのあり方や、ヤフーが開催する意義についての議論をすでに重ねています。

高田:マス広告に比べれば、ネット広告は制作コストも抑えられ、取り組むハードルも低いですが、その利点の裏返しでまだクリエイターにとって“憧れる場所”にはなっていないと感じています。

 やはりこれだけ影響力のあるメディアになったので、私たちとしてはネット広告をクリエイターが憧れる場所にすること、ネットのクリエイティブの価値を皆さんに分かっていただく活動は、今後も絶対に続けていきたいと思っています。

MZ:広告の掲載面選択やターゲティングは、テクノロジーによってかなり進んでいますが、クリエイティブの強化にはまだ余地がありそうですね。

高田:個々のキャンペーンの成果をテクノロジーで改善できる幅は、数%からせいぜい倍くらいだと思うんですね。でもクリエイティブでは、10倍も20倍も引き上げることができます。今回、企業の部でグランプリを受賞されたサンリオの「ちゃんりおメーカー」も、やはりクリエイティブの力があれだけのヒットを支えたのだと思います。

 もちろん、テクノロジーありきで発展する表現も後押ししたい。今後もテクノロジーとクリエイティブの両方に重きを置いて、クリエイターを支援したいと考えています。

当日の会場での集合写真
当日の会場での集合写真

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/02/09 23:51 https://markezine.jp/article/detail/23666