ラクマが利用したInstagramのDR広告
「ラクマ」は楽天が提供しているフリマアプリ。出品手数料無料で、楽天スーパーポイントも使えるサービスだ。同サービスでは、2015年の秋から提供が開始されたInstagramのダイレクトレスポンス広告(以下、DR広告)を、スタート当初から利用しているという。
Instagramは世界観を重視する利用者が多いなかで、DR広告はうまく作用しているのだろうか? 同社の荻原氏にInstagram広告の運用で注意している点や、運用の中で得た気付きについて話を聞いた。
――Instagramを活用しようと考えた理由は何でしょうか?
荻原氏:もともと、ラクマはユーザー数を単純に増やすだけでなく、利用回数を増やすことを目指して広告運用をしています。既に取り組んでいるチャネルも有効ですが、よりリテンションが高く、ブランドイメージを表現できるフィールドがないか探していました。
ラクマのサービスを視覚的に訴えたり、扱っている商品をおしゃれに見せたいという気持ちがあったんです。そこでInstagramが良いのではないかと考えていた所に、タイミングよくDR広告が開始されるという情報をいただき、活用することを決めました。
――InstagramでのDR広告はスタート当初、利用者の体験損失を危惧する声もありました。手を出すのは勇気がいることではありませんでしたか?
荻原氏:あまりハードル高くなかったですね。私の所属する部署は、新サービス開発室といって、楽天のなかでも特にベンチャーマインドが求められています。スピード感をもって挑戦をする、ですから、何事においても走りながら考えて、その時に最適な施策を行う。結果が見えたら、それを踏まえてさらに最適化するという方針を持っています。ですから、まずはやってみようということで始めました。
――ぜひ、荻原さんが走りながら感じられたこと、改善されたことを伺えればと思います。今回のInstagram広告でのメインターゲットはどこだったのでしょうか?
荻原氏:ターゲットは20代の女性ですね。もちろん、男性もターゲットですがフリマアプリのメインユーザーが女性なので、彼女たちに振り向いてもらえるようにしました。弊社は楽天市場など既存のサービスがあるため、主婦層への訴求には強みを持っています。一方で若年層へのアプローチは、外部のチャネルを使って獲得することが急務でした。
手に届くオシャレ意識し、アプリインストール数は11%向上
――具体的にどのような広告を展開されたのでしょうか?
荻原氏:ラクマで取り扱っている商品を紹介するクリエイティブをフックに、アプリダウンロードを促すボタンが付いたDR広告を制作しました。
気を付けたのは商品の見せ方ですね。世界観を崩さないようにしつつも、親しみやすい表現は何か頭を悩ませました。
Instagramというオシャレな空気感を持った場所に、単純にフリマの商品を持ってくるとそぐわない。だからといって、ハイブランドのような憧れを訴求するとサービスとかい離してしまいます。手に届く、手触り感のあるオシャレは何かディスカッションを繰り返しましたね。
――紹介する商品はどのようにセレクトされたのですか?
荻原氏:売れ筋のジャンルを広告クリエイティブでも横展開しました。女性向けのファッション小物や、キッズ・ベビー系のグッズです。20代の若いママ世代に見ていただけるものを意識しました。実際に、キッズ・ベビー用品のクリエイティブへの反応が予想以上に良かったです。
逆に実施当初に避けた商品は、オートパーツや大きいもの。女性が魅力を感じる部分や、「こうしたらオシャレに見えそう」という部分がすぐに見つからないものは避けました。
――広告の運用について詳しく教えてください
荻原氏:クリエイティブ自体はスタートの段階で20本以上用意しました。そこから1週間に1回のペースで数十本を投下して、効率の良い物を残しながらPDCAを回し、常に最適化された広告を複数本走らせています。
KPIはCPIの下げ幅やインストール数などです。Facebookや他チャネルと比較するとCPIが約10%は改善され、インストール数も11%向上しています。当初の見積もりよりも非常に良い数字です。