ソーシャルも含めたあらゆるデータを活用する
カスタマージャーニーに関する2つの機能を下支えするのが、多種多様なデータのやり取りを可能にするプラットフォーム、UBXだ。IBMの各種ツールはもちろん、それ以外のパートナーが提供するツールとのデータ連携も問題なく行える。
具体的には、エコシステムを形成するパートナー企業が扱うデータから、例えば特定のオーディエンスを抜き出してメール配信など何らかのアクションを起こしたい場合。あるいは、自社データベースから特定オーディエンスをパートナー企業のプラットフォームへ展開し、施策を行いたい場合などに、ポイント&クリックのごく簡潔な操作で進められる。
UBXでは、サードパーティのデータを有効活用できる点も見逃せない。例えば米Spredfastが運営するShoutletというサードパーティは、Facebook、Instagram、Twitterの主要SNSをまたいで情報を集約してソーシャルリスニングや分析を行っている。ユーザーのオプトインが前提となるが、これらSNS群でのあらゆる挙動を捉え、UBXを通してIBM Marketing Cloudへ反映すれば、自社保有データだけでは到底実現できないアプローチが可能になる。
外部のトレンド情報を取り入れ、さらに充実した支援を実現
ソーシャル以外にも、ユーザーはWeb上で、モバイルを介して、コールセンターとのやり取りを通して、さらにはリアルでの店舗来訪や購買を含めてさまざまな行動を起こしている。「それらすべてが、企業にとって有益なデータになります。今後のマーケティングでは、企業はこういった振る舞いをすべて認識した上でアクションを取ることが求められます」(コセンティーノ氏)
さらに同氏は、ここまで紹介したIBMのソリューションを活用した想定事例を紹介する。あるウェアラブル活動計のプロモーションにおいて、担当者は適切なターゲットへ広告やコンテンツを配信し、デジタルエンゲージメントを増やそうと考えたとしよう。
ここで機能するのは、自動学習機能を備えたレコメンデーションエンジン「IBM Interest」と、パートナーのひとつであるDSP「MediaMath」だ。
これらと、ユーザーがWebを回遊する際のクッキーによってIDを同期し、ターゲットの関心に沿う複数サイトへ広告を配信。コンバージョンの最大化とROIの最適化を図ることができる。こうした立体的かつ一貫した取り組みをスムーズに実行できるのが、IBMのソリューション群とエコシステムなのだ。
最後にコセンティーノ氏は、人工知能Watsonを基盤とする「コグニティブ・コマース」について言及。意気込みを語り、セッションを終えた。「施策を重ねることで学習し、効果が高まるだけでなく、たとえば経済や気候のトレンド、顧客の感情といった外部のトレンドを取り入れることで、IBMが提供できるマーケティング支援はさらに充実します。ぜひご期待ください」(コセンティーノ氏)