届けたいのはプロダクト情報ではなく“ヒント”
MZ:データ活用の促進に数年取り組まれている中で、やはりまだ企業の具体的な活用には至っていないとお考えですか?
鈴木:そうですね。私たちも、マルチビッグデータを活用できるといいながらも、まださほど多く事例を打ち出せていませんでしたし。
でも、当社のデータと広告主のデータを掛け合わせれば、さらにマーケティング施策に活かせたり、顧客の一連の流れの中で態度変容を起こしたりすることができます。そういった活用方法に気付いてもらいたい、というのが第一の目的なんです。
MZ:実際にサイトを拝見すると、かなり第三者的な視点を重視されていると感じます。「ゲーム好きの男性はお金に困っていて、美容に関心のある女性は……」といったライトな切り口の記事から、プロバスケットボールのリーグ「B.LEAGUE」の事務局長が語るデータ活用の取り組みといった生のお話があったり。編集の方針をうかがえますか?
鈴木:私たちがInsight for Dを通してお届けしたいのは、プロダクト情報ではなくデータ活用のシナリオを構築するためのヒントです。そのため、記事は広告ではなく完全なコンテンツです。あくまでもデータを活用する人たちにとって役立つ情報を発信するメディアにしたいと考えています。
伝え方としては、やはりまず興味を持ってもらうことが第一だと思うので、よくある“とっつきにくい”解説にならないように注意しています。なるべく「現場でどう活かされているのか」という視点をベースにしながら、分かりやすく読めるように心がけています。
コンパクトながら、現場に活かせる知見を盛り込む
MZ:たしかに、「ハロウィンに『ギョーザの皮』が売れる理由」といったタイトルなどは、マーケターなら皆が興味を持ちそうです。また、これまでまったくデータ活用に接点がなかった人でも理解できそうな記事も多いですね。デジタルマーケティングの情報サイトといっても、難解な雰囲気もないですし。
鈴木:自分の経験でもあるのですが、「役立ちそうだな」と見つけた記事をブックマークしても、忙しい中でどんどん新しい情報に接触していくので、気になったときに読まない記事は、後になっても読まないんですよね。記事はカテゴリによって、キーワード解説など初心者向けのものもありますが、メインコンテンツである事例は、やはりデジタルマーケティングに数年携わっているプロを読者対象として想定しています。
ただ、接触したときにパッと読んでもらえるように、事例などは最初に記事の要約を箇条書きでコンパクトにまとめたりして、「読まなきゃ」ではなく「読みたい」と思ってもらえるストーリーを展開し、読んだ後はしっかりと現場に活かせるヒントや知識を得られる記事を目指しています。
MZ:今、データを扱うのは何もデジタルマーケティング部門だけではなくなってきていますから、周辺の人たちに分かりやすいことも大事ですね。
鈴木:そう思いますね。なので、読み込みの深さはプロと初心者では違ってくるかもしれませんが、レベル感の違う関係者に転送しても興味を持って読んでもらえるようにしています。