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ユーザーのリアルな感情をターゲティングできるTwitter広告。『運用ガイド』著者に活用方法を訊く

 Twitter広告で成果を上げるには、Twitterならではのコツを知っておく必要があります。翔泳社が7月19日に刊行した『Twitter広告運用ガイド』では、まだどこにも出ていないターゲティングとクリエイティブの秘訣について、ITジャーナリストの高橋暁子さんが解説。今回、Twitter広告に取り組もうとする方が本書を読むべき理由を高橋さんにうかがいました。

Twitterは興味・関心で知らない人と繋がれる、感情優先のSNS

――高橋さんは『Twitter広告運用ガイド』でTwitter広告について解説されていますが、SNS全般について造詣が深いとのこと。SNSをどういうものだと捉えているか教えていただけますか?

高橋:SNSは人と人をうまくマッチングさせるツールなので、いろいろな使い方ができます。個人が情報発信したり自己実現したりできますし、中小企業が自社の商材を求めているかもしれない人に直接声を届けられます。誰かが持っている情報や商品と、それを持っていない人のニーズをマッチングさせやすいツールだと考えています。

 その中でTwitterは、世界的に見ても日本での人気が高いSNSです。大人世代にはそれがあまり正しく評価されていない向きがありますが、10代に尋ねると、TwitterとLINEは必ず使っているんです。完全にインフラとなっているようで、どの調査を見てもこれらの利用率は高いですね。日本語との親和性も高く、言いたいことをまとめてシンプルに表現できます。日本人はもともと短歌や俳句など短く表現するのが好きですよね。

 情報の拡散力も圧倒的に優れています。ほかのSNSはたいてい友人や知人と繋がるくらいですが、Twitterは自分の興味・関心で知らない人と積極的に繋がっていくことができます。個人の声を、まったく繋がりがないけれど同じ興味を持っている人に届けられるわけです。本書を執筆するうえで、Twitterは広告とうまく組み合わせることができると感じました。

――本書でもTwitterのユーザーはアクティブだとありました。祖父の印刷会社の方眼ノートを孫がツイートしたところ、爆発的に広まり、注文が激増した事例も書かれています。こうした拡散力はやはりTwitter独自のものでしょうか。

高橋:そうなんです。Facebookのように、実名で顔出しのSNSだと基本的に知っている人としか繋がりません。知りたいことを検索することもありませんよね。若い人がいま知りたいことを何で調べるかというと、GoogleとYahoo! Japanが半数、残りの半数はTwitterとInstagramだという調査結果が複数出ています。

 Googleだとどうしても情報が遅いんです。公式ページや古いブログ記事が検索上位に来て、「まさにいまどうなのか」という情報は出てきません。「まさにいまどうなのか」が出てくるのがTwitterとInstagramなんです。特に文章をキーワードで検索できるのがTwitterです。そこには本音がたくさんあります。Instagramはそのビジュアル版ですね。誰かのいまの気分、みんながいまどう考えているかなどは、Twitterの情報量が圧倒的です。

――たしかにGoogleの検索結果に「感情」が表れていることはありませんよね。それよりむしろ正確な情報や質の高い情報、まとまった情報があって、Twitterとはそもそも役割が違う気がします。

高橋:Googleは真実に辿り着くためのツールというイメージですね。Twitterはユーザーの感想や意見、気分など、「思った・感じた」ことが大半です。しかもそれが最速で手に入るので、例えばテレビ番組を観ているときに検索すれば、自分と同じような感想や面白い意見をその場で読むことができ、共感したり納得したりすることができます。

高橋暁子さん
高橋暁子さん:ITジャーナリスト

Twitter広告を始めたい、過去にうまくいかなかった方におすすめ

――そんなTwitterで広告を配信するノウハウをまとめたのが本書ですが、一番のターゲットはどういった方を想定していますか?

高橋:これまではTwitter広告は予算豊富な大企業しか使えませんでしたが、中小企業や個人でも使えるようになりました。ですから、Twitter広告を少しでも聞いたことがある方、気になる方には手に取ってもらえればと思っています。

 また、Facebook広告やリスティング広告をやっているのにうまくいかない、コストが見合わないと感じている方にとっては、Twitter広告のほうがもしかしたら活用できるかもしれません。

 Twitter広告はどなたにでも役立つわけではありませんが、使ったほうがいい方も大勢います。そもそも使おうと思っていない方はもちろん、使っていてもターゲティングを間違っている、クリエイティブで損をしている方、つまりTwitter広告でうまく効果を出せていない方にも読んでいただきたいですね。Twitter広告の運用ポイントを知っていただくことで、ビジネスを成功させてくことができるのではないでしょうか。

 講演や書籍を執筆する中で、中小企業の方はTwitterに興味はあってもうまく使えていないのだなと気づくようになりました。講演などでいつもお伝えしているのは、使い方というよりも考え方です。がんがん売り込むよりも普段の交流や繋がりが大事で、ユーザーに喜ばれるツイートを心がけるといったことですね。同じ商品の宣伝でも、仲よくなる前となってからでは、受け取られ方が違います。

 ターゲットの設定、商材や目的に合わせたクリエイティブなど、Twitterにおける考え方をまずは理解していただけるといいですね。

Twitter広告は低単価でも高い効果を生み出すことができる

――Twitter広告の特徴、魅力はどこにありますか?

高橋:プロモツイートはユーザーのツイートと同じタイムラインに流れるので見てもらいやすいですね。反応もしてくれやすいですし、ユーザーが拡散してくれた分は無料ですから、出稿単価が安いんです。そのわりにはいい成果が出ている企業が多いですから、お買い得な媒体だと思います。

 ものを買ってくれやすいユーザーが多いのも特徴です。アイスの新製品が出たら、即座に買って感想をツイートする。そうした遊び感覚を持ったユーザーが多いですし、また、そうした感想ツイートを見て、思わず買ってしまう人たちもいます。そうしたTwitter独特のノリを理解するための情報も本書でたくさん紹介しています。Facebookなどで広告があまり有効でなかったとしても、Twitterでなら狙っている層が活発かもしれません。ですので、企業からすれば新たな市場に映るのではないでしょうか。

 ただし、Twitterユーザーはぱっと読んだり見たりできるコンテンツを好むので、複雑な、ハードルの高いアクションを求めてはいけません。無料でサンプルをもらえるキャンペーンに応募してもらうとか、無料でメルマガ会員に登録してもらうとか、その場でぱっとできる申し込みや登録だと成果に繋がりやすいです。こうした、ランディングページからユーザーを逃さない手法も本書で紹介しています。

 まずはTwitterユーザーの特徴――特に軽めのものが好まれると理解することが大事ですね。そうすれば、過去に失敗した方でも、いままでの広告ではよくなかったかもしれないと気づけると思います。

――Twitter広告の実際の効果はどうなのでしょうか。

高橋:ほかの媒体よりも効果が高かったという企業がけっこういらっしゃいます。新規顧客獲得率が高いという話もあります。ほかのSNSなどにいない人たちがTwitterにはいて、しかも活発なので、そこにリーチできれば成果を上げられるはずです。

――本書はTwitter広告を運用することが主眼ですが、アカウントを日常的に運用することでTwitter広告の効果も上がりやすくなりますか?

高橋:運用していることで興味を持つユーザーが増えるでしょうし、ツイートの拡散を自社のフォロワーが協力してくれるかもしれません。ツイートがフォロワーにとってのリマインダーになったり、「いつか買うかも」という気持ちを保ち続けるのに役に立ったりすることもあるでしょう。フォロワーと緩く繋がっておくことで、後々に結果が出ることも普通にあります。ですので、アカウントは持っていたほうがお得ではあります。が、本書では普段の運用をしないキャンペーンアカウントの活用など、これまで「運用が面倒」「敷居が高い」と感じていた人向けのアイデアも手法も紹介していますのでご安心ください。

――アカウントを作っても日常的にツイートしなくてもいいということは、Twitter広告を始める敷居も低くなりますね。

Twitterユーザーは身近で自分が使うものを購入する

――商材によっても効果が異なると思いますが、Twitterに向いている商材にはどんなものがありますか?

高橋:2016年1月にTwitter社が「#Twitterみて買ったもの」というハッシュタグを用意してユーザーにツイートしてもらったことがあります。それによると、飲料・食品、ホビー系、エンタメ・ゲーム系、美容系など、身近で自分が直接使うものの人気が高かったですね。

1位 30% 食品・飲料
2位 24% ホビー系アイテム(キャラクターグッズ・フィギュア)
3位 17% エンタメ系コンテンツ(映画・音楽・本・舞台チケットなど)
4位 9%  ゲーム
5位 6%  テクノロジー系製品
6位 6%  アパレル(ファッション・アクセサリー)
7位 3%  コスメ・パーソナルケア・美容関連製品
8位 2%  アプリ課金・課金カード(iTunes/GooglePlay など)
9位 2%  レストラン・ファストフード
10位 1%  LINE スタンプ/ アイコン

※MarkeZineでも取り上げました(「#Twitterみて買ったもの」からわかったTwitterユーザーを巻き込むために大切なこと)。

 この一覧だけでなく、ハッシュタグで検索して見ていただくと、「こんなものを買うんだ」という商品が売れていることがあります。まさに趣味と関心でフォローしている人や企業のツイートを見て買っているわけですが、それは必ずしも宣伝ではなく、誰かが「飲んだ」「買った」と書いているだけのツイートである可能性もあります。そこに自社の商材が入り込める、親和性が高いと思われれば、Twitter広告に取り組んでみる価値はあると思います。

ユーザーの属性よりも関心や本音でターゲティングしよう

――商材の親和性を見出したとして、難しいのはどういうユーザーに情報を届ければいいのかということではないでしょうか。

高橋:本書で具体的な事例として挙げているものとして、中高年向けの健康食品である黒にんにくがあります。Twitterで広告を出したら、商品をまったく知らない30代40代の働き盛りのユーザーに売れたそうなんです。従来の考え方で広告を出すと、中高年向けの雑誌や健康系の雑誌を媒体として選び、既存ターゲットに繰り返し売り込んでしまうだけかもしれませんが、Twitterでは新規顧客の獲得ができたんですね。

 その理由はキーワードターゲティングにあります。実は「疲れた」という言葉をツイートしているユーザーに黒にんにくの広告を出したんです。黒にんにくを売ろうとしている企業は、「にんにく」とツイートしている人に売ろうと考えてしまうかもしれませんが、黒にんにくが必要なのは疲れているときですよね。疲れた人が「疲れた」と言う媒体はSNSでもTwitterくらいですから、このようなマッチングが可能なんです。

 人は趣味嗜好で消費します。Twitterにおいては、実は属性がそこまで大事ではなく、消費の原点に戻ってユーザーの関心がどこにあるかを考えることが重要です。Twitterではユーザーの関心を炙り出すことができます。フォローしている人や企業からそのユーザーの興味・関心が分かりますし、ツイートから本音まで分かってしまいます。正確なプロフィールを登録するよりも、その人の本音や本心からのほうがニーズを見つけやすいんです。Twitter広告の面白いところは、そうした情報をターゲティングに利用できることです。

 特に企業側では思いつかないようなニーズを探し出せる、ユーザーのほうからいいと思ってもらえるのがいいですね。それはぱっと気がつくものではありませんから、商材が売れるキーワードを見つけたとき、「うちの市場はここだったのか」と感動があるかもしれません(笑)。

 費用の面からしても、リスティング広告では全般に人気のあるビッグキーワードが高騰していますが、Twitterではそれほど費用をかけずに自社の商材に合ったおいしいキーワードを見つけられる可能性があります。お金は出せなくても、知恵を絞ればなんとかなることもありますので、そのノウハウを本書で知っていただければと思います。

失敗しないためにTwitter広告ならではのコツを知る

――例えばプロモツイートについて、表示されやすさを高める方法があるのでしょうか。

高橋:それはやはりターゲティングによりますね。ターゲットとして選んでいる層の関心と自社の商材がどれだけ合致しているかが大事です。うまく合致するターゲットを選び、適切なクリエイティブを掲載できれば、単価も安くでき、表示回数も上げることができます。

 そこが大きなポイントではあるんですよ。Twitter広告をやろうかなと思って調べても、ネット上にはまだそこまで具体的な情報が載っていません。失敗の経験談をブログで書いている方もいますが、最初の母数設定を誤っていたり、ターゲットがずれていたり、成果が上がらなくて当然にもかかわらず「Twitter広告はダメ」と結論づけてしまっているんです。もったいないですよね。

 そうならないために、本書でページを割いているターゲティングとクリエイティブをしっかり考えておく必要があります。Twitter広告はまだまだ活用されていない印象がありますが、本書ではネット上には出ていない情報や具体的な成功事例など、説得力のあるノウハウを解説しています。ネットで公開したら「え!?」と動揺が走りそうな内容もけっこうあります。

――そうした情報も取材しながら執筆されたそうですが、その中で高橋さんが最も驚いたことは何でしたか?

高橋:Twitterは2009年頃から使っていて熟知しているつもりだったんですが、想像以上にユーザーがものを買っていて、ゲームにもどんどん課金していることが意外でした。中高年層も増えており、思っていたのと違う面が見えましたね。

 それと、Twitter広告といえど広告は広告だろうと考えていたので、予想外にTwitterらしさを活かした広告に驚かされました。単にバナー広告を表示するのではないわけですから。1冊の本になってしまうくらい面白い話ばかりだったんですよ。

 特に、先ほど述べたターゲティングの仕組みは印象的です。広告とユーザーをどうマッチングさせるかは企業としては重要な課題ですが、Twitterでは「30代男性」ではなく、「疲れた人」に黒にんにくの広告を出せるんです。さらに広告はニーズのある人、ほしいと思っている人に表示されるので、押しつけがましくなく、企業とユーザーはお互いにいい距離感で共存できているのではないでしょうか。クリエイティブにしても、絵文字や動画を使えますし、文章も工夫できますね。

――Twitterならではのターゲティングとクリエイティブがあるということは、そこに注意すべきポイントもありそうですね。

高橋:そのとおりです。黒にんにくの広告を出すときに「にんにく」とツイートしているユーザーをターゲットにしても効果はないでしょう。また、商材が何か分からない、あるいは読み飛ばされるような文章だと効果は望めません。

 Twitter広告はほかのウェブ広告とまったく異なりますから、例えばFacebook広告と同じだと思って利用すると失敗します。Twitter広告で成果を上げるためにはコツを知っておく必要があります。ターゲティングとクリエイティブが肝で、だからこそ難しいところですが、理解できればうまく取り組んでいけるはずです。

 これからTwitter広告を始めようという方は、本書がなければ失敗してしまうでしょう。一読したほうが成功率も上がりますので、ぜひ手に取ってみてください。過去に失敗した経験がある方も、本書で何が悪かったのかを知って、もう一度取り組んでみてもらえればと思います。

Twitter広告運用ガイド

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Twitter広告運用ガイド

著者:高橋暁子
発売日:2016年7月19日(火)
価格:1,620円(税込)

本書について

Twitterで広告を掲載するために必要な設定はほんのわずか。広告予算を自動的に最適化する機能もあるので、はじめて使う人も安心して利用できます。本書では、効果的なクリエイティブ(広告原稿)の作り方、ターゲティングの設定、予算の考え方、さらに広告キャンペーンを改善するためのポイントまで、図解とともにわかりやすく説明します。

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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