DMPに連携させる、カード会社ならではのデータとは
クレディセゾンでは、これまで多くの社内サーバーに、カードユーザーの性別や年齢といった会員属性情報や決済データを分散させていた。それらを、セゾンDMPに一括して連携させる。

そのなかで特に注目すべきは、今夏に連携させる予定であるクレジットカードのオーソリデータだ。これはカードを使ったときに、そのカードが有効かどうか確認するデータだが、そこには使用時間や店舗名などの情報も含まれているため、今後ユーザーとタイムリーなコミュニケーションをはかるときに役立つ。
また、これらのデータをDMPに接続させた後は、様々な分析を経て、オウンドメディアや外部メディアに連携していくとともに、データの拡張にも力を入れる予定だ。
具体的にはデモグラフィックのデータやカードの利用データ、会員様からのお問い合わせ等のコミュニケーションに関するデータなどが該当する。そして、同社のポイントサイトである「永久不滅.com」では、10年ほどアフィリエイトサービスを展開しており、その閲覧状況などのデータも連携させるという。

さらに、強みである膨大なクレジット購買データに関しては、DMPで使いやすいように、デジタルガレージがライブラリ化している。
「カードの明細情報を大小のカテゴリに分けて識別、タグ付けし、ライブラリ化します。これによって、その後の機械学習を活用したクラスタリング分析やデータマイニングの精度が格段にアップします」(磯部氏)
購買を促進する情報提供をスムーズに
では、具体的にセゾンDMPでは何ができるのか。まずは当然、今まで経験や勘をもとにある程度セグメントした属性条件で、メールやDMを送るにとどまっていた施策が、オウンドメディアや外部メディアで配信する情報も含めてよりパーソナルなものにできる。

たとえば、あるユーザーがハワイに行きたいと思い旅行サイトを閲覧しているが、既に限度額いっぱいにカードを使ってしまっていたとする。実はカードの限度額アップは電話やネットで簡単に申し込めるのだが、一般的にあまり知られていないため、旅行代金をカード払いすることをあきらめてしまうこともあるだろう。そういった事態が想定されるユーザーに向けて、旅行会社のサイトや外部のアドネットワークに限度額の増額情報を出すことで、ユーザーの旅行へのモチベーションもキープしながら、カード利用につなげることができるというわけだ。
では、そういったニーズがまだ顕在化していないユーザーに対してはどうか。
磯部氏は「そういったお客様でも、実はニーズが顕在化していないといった点以外のクラスタが全て似ている場合、購買行動も似ているため、ニーズが顕在化していなくても情報提供することで、需要を促すことができます」と語る。
