マーケティングにテクノロジーが不可欠の時代
押久保:マルケトは今年で創業10周年だそうですが、この10年で企業のマーケティングを取り巻くテクノロジーは大きく進化し、もはやテクノロジーなくしてはどうにもならない状況になっています。そこで今回は、マルケトのユーザー企業から3社のパネリストを迎え、次の3つのテーマでお話をうかがいたいと思います。まずは、お三方から自己紹介をお願いします。
- 今なぜ、マーケティングオートメーションなのか?
- テクノロジー活用を推進するためのポイント
- マーケターの未来
伊佐:グーグルでのSMBマーケティング統括などを経て、昨年7月にスタートアップのfreeeに入社し、クラウド会計ソフト「freee」のマーケティング責任者を務めています。当社は「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」ということをミッションに、バックオフィス業務の効率化を推進しています。
牛田:『じゃらん』や『HOT PEPPER グルメ/HOT PEPPER Beauty』などのWebサイトや、店舗向けのスマートデバイスで使えるPOSレジアプリ『Airレジ』などを統括しています。その他、オイシックスやロイヤリティーマーケティング(Ponta)などの社外取締役も務めています。
柿野:米に本社を置くコンカーは、Concur Travel & Expenseという出張・経費管理のクラウドソフトを全世界で約4,000万人・4万社に提供しています。日本法人は2011年に設立、私は外資系ERPベンダーを経て2013年にマーケティングの最初の社員として参画し、日本のT&E(Travel&Expense/出張・経費)市場の創造に取り組んでいます。
より見込みの高い顧客に優先的にアプローチする
押久保:MarkeZineでもマーケティングオートメーション(以下、MA)関係の記事の注目は高いのですが、まず、なぜ今MAなのか、ツール導入の目的などを教えてください。柿野さん、いかがでしょう?
柿野:導入のいちばんの理由は、売上向上ではなく業務コストの圧縮でした。その後、セールスフォースとつないで顧客情報をリアルタイムで把握できるようにし、そこから積極的にデータ解析を行って、マーケティングに活用するようになりました。
押久保:同じくクラウドサービスを扱う伊佐さん、いかがですか?
伊佐:導入時の課題のひとつは、先行してセールスフォースを導入して立ち上げていたインサイドセールスチームの活動に、優先順位をつけることです。毎月数千規模の資料ダウンロードの中から、より興味関心の高いユーザーに優先的に営業活動を行いたいと考えました。
もうひとつは、画一的なマーケティングはもう効かない、One to Oneマーケティングが必要だと思っていたことです。それぞれのユーザーが必要とする情報をOne to Oneのコミュニケーションで届け、freeeの価値をより理解いただきたいと考え、MAツールを導入しました。
押久保:freeeだと、個人向けと法人向けでツールの活用方法は異なりますか?
伊佐:法人様だと個別の営業サポートが付くので、マーケティングとしてはいかに見込みユーザーの意識を醸成し、営業から説明する機会につなぐかがポイントになりますね。個人事業主様には現段階では営業サポートが付かないので、MAツールを使ってメールベースでアプローチし、理解を促して、最終的な契約までを完結するのが目標です。