高い網羅性で、サイロ化を阻止するSAP Hybris Marketing
では、その“SAP Hybris Marketing”は、具体的に何ができるのか。阿部氏は大きく3つの領域があると語る。
1)マーケティングオートメーション
マーケティング側が利用する領域だ。例えばキャンペーンを作成して、メールのひな形をつくり、ターゲットに対してメールを一斉配信したり、開封したユーザーには別のキャンペーンを投げたりなど、一連の流れをオートメーション化できる。
2)データマネジメント
マーケティングで重要なのは、“どのユーザーに”どんなキャンペーンを行うか。そしてそのユーザーのポテンシャルは、昔に比べてよくわかる状態になっている。SAP Hybris Marketingでは、アノニマスなユーザーの情報(クリックレベルの情報や、IPアドレスのようなログデータ、システムログに近いもの)と、既存会員のビジネストランザクション情報(購買や支払いなどの情報)を1つに融合できるパッケージとなっているため、データを入れれば欲しいレポートがすぐ出せる。
「基幹システムのデータモデルと、DMPやパブリッククラウドのログデータのようなデータのアーキテクトの考え方はだいぶ異なるため、この2つの情報を融合できるパッケージやプラットフォームは、今までなかなかありませんでした。融合しようとしても、入れるデータの型をデザインできる人が極めて少ないんですね。SAP Hybris Marketingでは、オムニチャネルを考慮したテーブルがすでにデザインされているので、それに合わせていただくだけでデータの統合・管理・活用ができるようになります」(阿部氏)
3)アナリティクス
上記の2種類のデータをシステムに入れて突合したあとは、よりターゲットになりそうなユーザーを発掘しなければならない。その実現のためには、ビッグデータを高速で扱うためのパワー、データアーキテクチャー、インメモリテクノロジーやビジネスアプリケーションのインテリジェントエンジンも必要となる。当然この3要素も兼ね備えている。
例えば、パワーの面では同社はインメモリデータベース“SAP HANA”で実現。また、膨大なデータからのターゲット抽出は人力ではやりきれない。そのため、システム自体が機械学習するPredictive Analyticsというエンジンで実現している。「これらは、なかなか1社で持つことができない組み合わせです。だからこそ今までサイロ化していた」と阿部氏。
「サイロ化していた状態では、それぞれに特化した部署で、特化したシステムを使い、その間を伝書鳩でつないでいるイメージです。つまり、様々な不要なインテグレーションをしていた。しかしこれからはそれを根本的に変えてしまって、みんなで楽になろうというのがSAP Hybris Marketingの考え方です」(阿部氏)
さらにSAPの強みとして、ありとあらゆるモデルが想定されていることがある。例えば、顧客情報が分散している場合、国や事業、ブランドなどによってビジネスモデルや言語などが違っていることが多い。しかし、1つの仕組みに融合する場合は、それらの違いを必ず吸収しなければ、結局は各部署が独自に使いやすい仕組みをつくってしまい、サイロに逆戻りしかねない。
グローバルに展開し、25のインダストリアルソリューションを持つSAPには様々な知見が蓄積されている、その幅広さと網羅性から各社の状況に合わせた解決策を提案できる。ビッグデータに必要となるインメモリテクノロジーを備えていることや、前述のERP統合の経験があることも心強い点だろう。
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