顧客ステータスにきめ細かくあわせた施策で継続的にアプローチ
続いて、BtoCの人材サイトの事例が紹介された。この企業では、会員訪問状況を可視化したところ、90日間サイトに訪問しないと休眠するというデータが得られた。また、業界の活況により会員数は増えているものの、求人を検討中フォルダに入れたまま応募しないユーザーも増加していた。この状況から課題を整理すると、顧客ステータスに合わせた施策立案とオファーが必要であることがわかった。
「このケースでは、会員登録・サイト閲覧・検討・応募後・休眠などの各顧客ステータスにあわせた施策立案と、継続的なアプローチをしたことが重要なポイントです」と山田氏。具体的な施策は次のとおりだ。
アクティブだがなかなか成約に至らない会員に対しては、共通点である“履歴書の記入量が圧倒的に少ない”ことを改善すべく、自己PR文字数50文字以下の会員を抽出し、コンサルティングメールを送った。「記入量が少ないとやる気が無いと思われ、企業から落とされがち。このメールを送った後、履歴書情報を更新したユーザーは、書類審査通過率がアップしました」(山田氏)
次に、求人数が少ないエリアの会員対策として第2エリアを設定。会員の居住県とは異なるものの駅から近くて通いやすい求人情報もオススメするようにした。「求人が少ないエリアは、ずっと同じランキングやレコメンドが表示されてしまうという課題がありました。そこで、例えば和歌山県在住の方に、大阪府で駅近の通いやすい情報をレコメンドするようにしました」(山田氏)
“かご落ち”のリマインドは求人応募でも効く
続けて、一度転職した後に再び転職活動を行うユーザーに対するアプローチを改善した。これまで成約をした会員には一律のメールマガジンを送付するだけだった。それがメールマガジンの解約につながり、サービスのリピート機会を損失していた。しかし、MA導入後は、会員が再びサイトに訪問した際に過去データとクッキーからユーザーを特定できるようにしたため、前回の訪問からの経過時間によって、アプローチを変えることが可能となった。
新規会員向けのステップメールでは、初回のサービス紹介メールで反応した場所に応じて、その後のレコメンド内容を変えるようにした。例えば職種が医師だとしたら、転職なのか、アルバイトなのか、はたまた後期研修医向けのコンテンツが良いのかなど、ユーザーに合わせたきめ細かなコンテンツを用意してフォローしている。
さらに、休眠会員の掘り起こしでは、サイトの訪問状況から休眠会員を特定し、パーソナルアプローチを行っている。前述のように、90日間以上サイトに訪問がない会員に対してメールで求人をレコメンドし、反応がなければ再度リマインドする。反応があればウェブサイト上でもレコメンドをし、そこで応募がなければ、サイトの履歴から求人をまたメールでレコメンドしている。
山田氏がとても効果があると力説したのが、いわゆる“かご落ち”のエントリーフォームフォローシナリオだ。
「例えばECでも、カートに入れて買わないユーザーがいると思いますが、ECでなくても“かご落ち”施策をやるべきです。このお客様の場合、通常のメール応募率は3.2%ですが、応募忘れをリマインドしただけで18.5%にも上がりました」(山田氏)
様々な施策を行った結果、MA導入後の3カ月で、会員数の増加と同時に求人応募数が4倍以上になったという。