インターブランドは、グローバルのブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2016」を発表した。同ランキングはグローバルな事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランキング化したもの。2000年から今年で17回目の発表となる。
AppleとGoogleが4年連続で1位・2位に
今年のランキングではAppleとGoogleが4年連続で第1位と2位を占め、Appleは昨年比5%増の1,781億ドル、Googleは昨年比11%増の1,332億ドルに。3位Coca-Cola、4位Microsoftに続いて、Toyotaが5位にランクインし、アジアブランド初のTOP5入りとなった。
またHewlett Packard Enterprise、Dior、Teslaが初のランクインを果たした。セグメント別ではテクノロジーと自動車関連部門で合計29ブランドを占め、リテール部門はブランド価値前年比19%増で最も成長の著しいセグメントとなった。TOP100ブランドのブランド価値の合計は、前年比4.8%増の1兆7,963億ドルとなった。
アジアのブランドではToyotaが過去最高位である第5位にランクインしたのを筆頭に、日本から6ブランド(Toyota、Honda、Canon、Nissan、Sony、Panasonic),韓国から3ブランド(Samsung、Hyundai、Kia)、中国から2ブランド(Huawei、Lenovo)がランクインした。
日本ブランドに関する分析
Toyota:5位(前年比+1位)/536億ドル(同+9%)
長期的な視点からの事業戦略とデジタルを活用したブランド訴求が、市場・顧客からの「信頼確実度」上昇に貢献しており、カンパニー制導入等により施策意思決定の柔軟化・迅速化が実現されつつあると分析。「存在影響度」が高い点も特徴的であり、例えばトヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャーの確立・訴求、86やFJクルーザーなどドライブの愉しみを提供する製品開発、クルマ文化を発信する消費者とのデジタルコミュニケーション、AIの研究開発を行う新会社の設立、新興国の小型車需要へ応えるダイハツの完全子会社化等で市場で際立ったブランドと認識されている。
Honda:21位(前年比-2位)/221億ドル(同-4%)
製品展開においてNSXやS660、Type R等を軸に、HondaのDNAの再定義を図ることで「概念明瞭度」が向上。HondaJetの展開は更に「差別特有度」の維持にも寄与すると分析。八郷新社長が打ち出す「現場の活力を大切にする」というHondaの原点の強調も概念明瞭度向上に貢献している。一方、品質問題への対応は「変化対応度」と「信頼確実度」の低下要因と評価されている。加えて、将来収益の見通し悪化が全体のブランド価値低下に影響を与えた。
Canon:42位(前年比-2位)/111億ドル(同-2%)
「信頼確実度」の高さが評価されており、産業機器事業が着実に成長し、オフィス、イメージングシステムに続く第三の柱として成長しつつある。構造的には主力のイメージングシステム事業を信頼性が求められる産業機器事業が補完してく形となっており、ブランドが事業領域拡大を支援し、ネットワークカメラや商業印刷、ナノインプリント、医療といった成長領域へのシフト、ビジネスモデルの拡張が新しい成長力を確保しつつある。「概念明瞭度」と「差別特有度」は、競合比較において改善の余地が残ると分析される。
Nissan:43位(前年比+6位)/111億ドル(同+22%)
「変化対応度」の高さが特筆され、継続的なブランドへの取り組みが確実に成果に繋がっている。自動運転をブランドの大きな柱として、戦略的事業提携、戦略商品の発売、顧客接点体験の改善とブランド価値を高める一貫性のある活動を展開が評価された。クルマの電動化と知能化を推進する「日産インテリジェントモビリティ」、コネクテッドテッドカーに関するMicrosoftとの戦略的提携、フラッグシップモデル「NISSAN GT-R NISMO」、単一車線自動運転を実現する「プロパイロット」搭載のSERENAモデルの発売等、変化する市場への対応が行われている。
Sony:58位(前年比±0位)/83億ドル(同+8%)
事業構造改革による選択と集中がブランドの復権に貢献。4K(8K)関連やVR、ハイレゾ等のB2Cで訴求力の高い技術分野への集中が「信頼確実度」「要求充足度」「存在影響度」の改善に繋がり、ブランド価値が増加に転じた。先端技術を搭載した新製品「プレイステーションVR」の発売等、海外市場でのゲーム&ネットワークサービス部門が躍進しており、「体験一貫度」が継続して強い点が特徴だ。
Panasonic:68位(前年比-3位)/64億ドル(同-1%)
2012年以降におけるB2CからB2Bへの事業改革を進める一方で、PanasonicリフォームやPanasonicエイジフリー等、住空間や介護サービスの国内事業によるB2Cブランド訴求の推進がブランド強度全体の維持に寄与していると分析される。2014年の "Wonders! By Panasonic"ローンチ以降、生活からビジネス・社会までを包括的に変化させていく企業の意志表明により、緩やかに消費者の印象が変化してきており、比較的高価格帯の製品訴求を増幅していると考えられる。一方、将来収益見通しの若干の悪化がブランド価値に影響を与えた。
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