素早く施策のPDCAを回すことも重要
ゴール設定とユーザー理解のプロセスを経たことで、プランニングも変化する。コーチ・ユナイテッドでは、Facebook広告などを経由してきた気軽に受講したいユーザー向けに、通常よりも簡単な申し込みフォームを用意した結果、CVRが2.5倍に上昇した。この施策は、Facebook経由のユーザーが申込時に先生を選べないというファクトをもとに実装した。
また、見直したゴールとユーザー理解が定まった後は、小さなPDCAを素早く回し続けることが重要だ。生田氏は、ユーザーの理解やゴールの見直しは月次や四半期に1回行うのに対して、それ以降のプロセスはできるだけ早く回すべきだとした。
ビービットのクライアントであるサントリー酒類では、施策会議を必ず週1回行い、全員が先週に行った施策と結果、そして次週にどう改善するか発表することを厳格に義務づけているという。ただし、失敗をしても一切責められることはない。毎週徹底して決めたPDCAを回すことを重視しているのだ。
最後に生田氏は、「ゴールとユーザーを見直すことが重要、その上で高速でPDCAを回し、継続的に成果を向上していただきたい」と語り、講演を締めくくった。
仮説は実行に対して立てるものではない
公演後、同社 ソフトウェア事業部の責任者を務める三宅氏が大きなPDCAを回す上で、ゴール設定とユーザー理解の重要性を重ねて解説した。
デジタルマーケティングを始めたばかりの企業なら、通常のPDCAサイクルを回すだけで一定の成果を出すことができる。しかしある程度実績を積んで、伸び悩んできた企業は「ゴールの見直しとユーザー理解が必要」だと三宅氏は断言する。
「伸び悩んでいる企業の大半は、『施策をどのように打てば効果が上がるのか』という実行に対する仮説を立ててしまう。そうではなく、もっと根源の『自社の正しいビジネスゴールは何か、自社サービスに適したユーザーは誰か』といった仮説を立て、それをブラッシュアップすることが必要です」(三宅氏)
特にゴールから見直そうとする企業は少ないという。そのため、大手教育会社の事例のように「無料体験レッスンをしていない時期には、見学をさせる」という当たり前のゴールを覆したケースは、とても画期的だったといえる。
ユーザー理解は、生の声を聞くことが効率的
大きなPDCAを回す上で必要なもう一つのポイントである、ユーザー理解については流行のテクノロジーに惑わされて難しい分析をするよりも、ユーザーの生の声を聞く方が簡単で速いとした。
「ユーザーに聞けば一瞬でわかることを、いろんな軸で分析して苦労してアウトプットしているケースを多々見かけます。そういった分析の苦しみを味わうより、まずお客様の生の声を聞くことから始めてみてはいかがでしょうか」(三宅氏)
三宅氏によれば、簡素なウェブアンケートツールで「自社サイトに何をしに来たのか」「何が知りたかったのか」など簡単な質問を投げかけるだけでも、山のようにインプットが得られるという。
「アンケートは結果が偏る、統計的に優位な数ではないと思われがちです。けれども、例えば200人にアンケートを取ったときに、全員が偏った意見を持っていることはまずないと思います」(三宅氏)
また、店舗に立ってみる、コールセンターの応対を体験するだけでも得られることは多い。「まずはできる範囲でユーザーと接触してみるということが大切だと思います」と最後に三宅氏は語った。
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