アドビは、米国小売業者のモバイルサイトに関する調査結果「2016 Digital Insights Mobile Retail」を発表した。
スマートフォンからのトラフィックは増加するも、収益促進ならず
アドビの調査結果によると、スマートフォンからショッピングサイトへのトラフィックは前年比で33%増加しているが全デバイスからの総トラフィックは前年と同水準で、デスクトップのトラフィックは6%、タブレットのトラフィックは10%低下した。
スマートフォンからの収益が前年比65%増加した一方で、オンライン総売上高はわずか10%増で、デスクトップとタブレットはそれぞれ2%低下した。コンバージョン率は、スマートフォンと比べて、デスクトップが2.8倍、タブレットが2倍高いことがわかった。
アドビは、この調査結果から、「スマートフォンから訪問する利用者が多いため、小売業者は、モバイル利用者に魅力ある優れたショッピングエクスペリエンスを提供することによって、モバイルからのコンバージョンを高め、デスクトップからの売上高減少を補うことが期待できる」また、「そうした体験が、ログインからチェックアウトにいたるまで、質とパーソナライゼーションにおける顧客の期待を満たせない場合、小売業者は重要な収益促進の機会を逸する」と見解を示すとともに、現在のトラフィックと収益の傾向が続く場合、適切な対応を行っていない小売業者においては、今後14カ月間のうちに11%の収益機会を逃すと予想している。
収益面ではスマートフォンが後れを取る
デスクトップからの平均注文額(AOV:155ドル)は、スマートフォンからの平均注文額(120ドル)を注文1件当たり35ドル上回っていた。スマートフォンの訪問当たり収益(RPV)はデスクトップよりも3.6倍低く、デスクトップは依然として小売業者の収益源であり、総収益の75%、トラフィックの59%を占める。また、スマートフォンは総収益の16%、トラフィックの32%を占めるにとどまっている。
スマートフォン利用者はカートからの購入率が低い
通常のショッピングシーズンに、カートに入れた商品が購入される割合は、デスクトップで26%、スマートフォンでは16%。アドビは、今年のホリデーシーズンではこの割合が若干上昇し、デスクトップではカートの商品の30%、スマートフォンでは19%が購入に結び付くと予測している。
この調査結果は、ユーザーにとってモバイルサイトが障害となっていることを示唆する。調査では消費者の60%が、効率的に商品を検索するにはスマートフォンよりもデスクトップの方が便利であると回答している。ショッピングにデスクトップを利用する主な理由としては、ページの操作しやすさ(30%)と大きなスクリーンでの画像の見やすさ(26%)が挙げられている。
アプリをリリースするだけでは効果なし
ショッピングアプリの60%は使用回数が10回未満だった。小売業界のアプリユーザー離脱率は、医療(55%)、メディア/エンターテインメント(54%)、金融サービス(54%)などの他の業界と比べて最も高い。調査結果によると、消費者の45%が平均で1~2回しかショッピングアプリを利用していなかった。
【調査概要】
調査報告書は1万6,000のモバイルWebサイトからの、2,900億件以上の訪問と、850億以上のアプリの分析に基づいたもの。なお、補足調査の結果は、米国の消費者1,000人超からの聞き取りに基づく。
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