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「結局、ユーザーフレンドリーでニーズを掴んでいることが重要」メディアのSEO対策から見えるもの

ヒートマップツールをコンテンツ改善に活用

田中:実はこの実験は御社からの提案でした。ヒートマップツールはUI系の改善に使われるものだと考えていたので、SEOやコンテンツ改善で活用するというアイデアには驚きましたね。

副島:ヒートマップツールはこれまで、リスティング広告のABテストなどで仮説を立てるために使うのが主な用途でした。この機能による分析がSEOやコンテンツ改善にも効果があるのではと当社が考えた理由は、2016年に入ってからGoogleアルゴリズムの変化を感じていたことです。「ユーザー行動の中でも、滞在時間・直帰率などユーザーの満足/不満足を示すシグナルが、検索ランキングに反映され始めた」という説が、どうしても無視できなくなっていました。アメリカのカンファレンスでも、このような話題が出たことがあります。

 ただ、アクセス解析では、「コンテンツのどのブロックまで見て直帰したか?」は把握しづらいのが現状です。特に直帰率が高いスマホ時代は「どこまで読まれたか?」がSEOの成否をわけるのではないかと。そこでヒートマップに目をつけました。

田中:私が今まで自分の感覚で組んでいた文章の構成は、「蓄膿症」の症状→原因→治療法の順番でした。ところがヒートマップで分析すると、症状は読まれていましたが、原因は飛ばし気味で、最後の治療法でもう一度立ち止まっていることがわかりました。そこで、順番を症状→治療法→原因の順番に入れ替えてみました。

熟読されるほど赤くなる。緑色の「原因」部分は飛ばして、再び「治療法」をじっくり読むユーザーが多かった。
熟読されるほど赤くなる。緑色の「原因」部分は飛ばして、再び「治療法」をじっくり読むユーザーが多かった。

副島:要は「早く治したい」ということですよね。「原因は、今はどうでもいいから、この苦痛から解放されたい」というユーザー心理が、ヒートマップからも見て取れます。

田中:結果からも、その傾向が見て取れます。コンテンツを実際にユーザーが見てくれている順番に並べ替えただけですが、検索順位は2位になってトラフィックが施策前に比べて約10倍になりました。さらに滞在時間、直帰率ともに6%以上改善しました。さらに、9月に入って1位を獲得しています。

副島:施策を始めて3カ月。重要テーマ・トピック調査も競合比較もさんざんやった末に、最後に残った差は「ユーザーフレンドリーかどうか」という部分だったのですね。

田中:実は、ほかにも「眠気」と「日焼け」というコンテンツでもヒートマップを使ったコンテンツ構成の入れ替えを試してみました。結果は、1カ月未満で「眠気」が8位→2位、「日焼け」は10位→5位と、軒並み上がりました。

副島:結果を聞くとページの中で「見られている場所」「見られてない場所」までしっかり把握すべき時代になってきたな、という印象です。ただ、一定の流入数が伴わない状態でヒートマップを使っても、データ数が少なく、何らかの解決策を見出すことは難しいと思います。

 まずは一定の流入数を確保したのちに行うことが重要です。プレゼンで例えるなら、「中身は充実しているけど途中で観客が飽きてしまうなら、話の順番を入れ替えて、伝わりやすくしてみよう」といったイメージですね。

「ユーザーが読みやすいか、熟読しているかどうか」が重要

副島:今後SEOやコンテンツ施策はどう変わっていくとお考えですか?

田中:「ユーザーに読みやすい構成に変える」という施策は、検索順位がある程度上がった段階における、新たな手法の一つになりうると感じています。Webサイトはとにかく「ユーザー満足」が第一。その意味で、今回の実験はサイト運営側の思い込みでなく、「本当にユーザーが満足しているのか」という本質を、改めてデータで確かめるものになりました。現在はユーザーの離脱や滞在時間なども全面的に見て、SXO(ユーザーエクスペリエンスの最適化)に取り組んでいます。

副島:そうですね。今後はもっとテキスト、図解含めて、ユーザーにしっかり読まれ、満足させられるコンテンツが残っていく時代になると思います。検索1位と2位では画面上のちょっとした差なのに、クリック率、つまり流入が1.5倍から2倍も変わってきます。その「指一本の差」を見つけ出すために、今後はそのコンテンツがユーザーにとってより良い情報提供、課題解決となっているのかどうか、さらに細かい分析と打ち手が必要になるのではないでしょうか。

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この記事の著者

井田 奈穂(イダ ナホ)

早稲田大学卒業後、記者として活動。企業広報を経て、現在フリーランスのライターとして活動。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/11/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25604

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