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マーケターのためのAI基礎講座

Googleが火をつけた自動運転競争、自動運転とビッグデータ×AIの深い関係とは?

自動運転が変える車内外空間の未来

 1ページ目の後半で、車内空間が劇的に変貌するだろう点に言及したが、メルセデス・ベンツは自動運転のコンセプトムービーの中で「移動するリビング・スペースへ」という象徴的なメッセージを発している。

メルセデス・ベンツがイメージする未来(https://www.mercedes-benz.com/en/mercedes-benz/innovation/research-vehicle-f-015-luxury-in-motion/より)
メルセデス・ベンツがイメージする未来(https://www.mercedes-benz.com/en/mercedes-benz/innovation/research-vehicle-f-015-luxury-in-motion/より)

 このコンセプトムービーやイメージの中で、テーブルやドアがタッチ・ディスプレイとなっている様子が確認できる。かなり直接的な形ではあるが、車内空間がメディア空間となるイメージが具体的に想起できるだろう。また、このシーンから発展させてAR/VRと融合した体験が提供されていくことも容易に想像できる。AR/VRが自動運転と相まって一気に普及していく可能性もある。

 さらに、当連載の第6回で解説したAIアシスタントも親和性が高い。車内空間に特化したAIアシスタントがプリインストールされた形で提供されるとともに、3rdParty製のAIアシスタントも多々提供されるだろう。車内外の情報を統合的に扱い、目的地や移動中の周辺情報の提示、観光案内のような機能を提供するようなAIアシスタントになるだろうか。

 自動車×AIアシスタントの領域では、すでにかなり具体的な取り組みが一部で進んでおり、ゼネラル・モーターズとIBMは「Onstar Go」と呼ばれるプラットフォームを2017年に提供する予定だと発表している※4。具体的な体験のイメージとしては「燃料不足で走行を取りやめ、燃料ポンプを始動させてダッシュボードから支払いをする、出先でコーヒーを注文する、個人の性格やリアルタイムの場所に合わせたニュースや車内エンターテイメントを入手する、など」だと言う。高い完成度でこれが提供されれば、かなり先進的な事例となるだろう。

 ※4 IBM社ニュースリリース「OnStarとWatsonの出会い」 

広告やマーケティングへの影響

 また、車内空間に限らず、屋外広告/デジタル・サイネージも変わると思われる。自動運転が実現し普及したときに、(元)ドライバーを含む搭乗者が車外にどれだけ注意を払うのか、あるいは車内空間に閉じたメディア空間として成立していくのか。それ次第で屋外広告の価値は変動するだろうが、いずれにしても、通信端末あるいはIoTデバイスとしての自動車と接続することによって、デジタル・サイネージは急速に高度化していくものと想定される。

 今後、車内外の空間をシームレスに接続する新しいマーケティング手法なども開発されるだろう。すでに言及したARやAIアシスタント、デジタル・サイネージなどを相互連携して一体感のあるストーリーやメッセージを訴求していくような手法も生まれると考えられるし、それを高度に洗練して提供できればこれまでにないユーザ体験が創出可能となる。

 2020年、オリンピックイヤーにレベル3が実現されているとすれば、数年後には自動運転車が街中を走っているのだ。この領域における広告事業やマーケティングソリューション提供の各社による競争も、そう遠くない未来に激化していくだろう。

 (DAC プロダクト開発本部 第一データ解析部 部長 さつま)

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この記事の著者

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)(デジタル アドバタイジング コンソーシアム)

DACは、インターネットに特化したデジタル広告ビジネスを展開しています。
広告枠のバイイングだけでなくクロスメディアプランニングや新たな広告商品開発、ソリューション提供など、インターネット広告に関するサービスを総合的に提供するデジタルエキスパートです。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/12/26 12:00 https://markezine.jp/article/detail/25746

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