動向2:分析モデルの構築と外部要因を加味した広告評価
分析モデルの選択から構築へ
前回記事にて、CVへのラストクリックで接触した広告に評価が偏る傾向にある日本の状況について触れました。これには、以前の計測ツールが複数チャネルをまたいで広告接触を計測できなかったという背景がありますが、仮に計測が可能な場合も、分析の手間を理由に最後に接触した広告のみを評価している場合もあるかと思います。
CVまでに接触した広告全てに、どのようにCV貢献度を割り振るかについて、分析モデルの選択から最終的な評価までを行うことは確かに手間のかかる作業で課題の一つかと思います。
このような分析の領域に、機械・テクノロジーが力を貸す状況が生まれています。図5のように、これまでの画一的な分析モデルではなく、そのクライアントの業界・業種をもとにクライアント独自のオリジナルの分析アルゴリズムを構築し、それをもとに各広告のCV貢献度を導くというものです。

つまり、いかに最適なアルゴリズムを構築し、そのアルゴリズムをもとに広告を評価し改善することで広告全体のパフォーマンスを上げるかが重要になります。
マーケターが分析に時間をかけ広告を最適化する風景から、分析ソリューションベンダーのデータサイエンティストと共により効果的なアルゴリズムを構築することに時間をかける風景へと、分析業務の風景が変化しているようにも見えます。
最終的には、広告パフォーマンスの改善結果が全てではありますが、アルゴリズム構築過程、インプットできる要素、アルゴリズムを評価し見直す仕組み、などが計測ツール選定においては今後重要になってくるかと思います。
例えば、AOL Convertroでは、広告のフリークエンシー(接触頻度)やリーセンシー(接触の間隔)に加え、各広告の接触の順番や、広告の接触回数増加による効果逓減曲線など、さまざまな要因を加味しアルゴリズムを構築しています。
ベースのCVと広告効果CVの分離
広告効果の分析として、もう一つ重要なのが、CVが増加した際に、広告により増えたCVなのか、それとも別の要因により増えたCVなのかをどのように分離するかという点になります。つまり、シーズナリティや天気など、広告以外の外部要因の影響も加味して広告を評価すべきという考えです。
例えば、住宅ローンの申し込みがCVの場合、金利が下がれば申し込みが増える可能性がありますが、広告を出稿していた場合、このCV増は全てが広告の効果ではなく金利低下が招いたCV増が含まれていることを考慮し、金利低下を加味した純粋な広告効果を算出する必要があるかと思います。
このような外部要因(金利、天気、シーズナリティなど)をアルゴリズム構築時に情報としてインプットし分析アルゴリズムを形成することで、広告に紐づくCV増なのか否かをより精緻に分析できる環境が整いつつあります。
これらは特に、ユーザー単位で広告接触を計測できるオンライン広告よりも、ユーザー単位での計測が難しいテレビなどのオフライン広告の効果計測でより重要になるかと思います。