アトリビューション分析の現状、展望を探る
ネット広告の効果測定に関して、アトリビューション分析という概念が用いられるようになってしばらく月日が流れました。アトリビューション分析とは「ユーザーに接触した広告の計測」と「計測した広告へのCV貢献度の分配」により、広告の効果を正しく評価し、予算の再配分を行うことで、広告全体としての効果を向上させる手法です。
しかしながら、日本の広告効果測定の現場においてアトリビューション分析は、まだ十分に普及しているとはいえない状況だと考えています。
本連載では、日本ではなぜアトリビューション分析の普及が限定的なのか、日本の現状と米国の事例を元に考察し、今後の展望を探りたいと思います。第1回となる今回は、日本の現状と課題を明らかにします。
ラストクリックから全ての接触の計測へ
先ほど、アトリビューション分析では「ユーザーに接触した広告の計測」と「計測した広告へのCV貢献度の分配」によって、広告を評価するとお伝えしました。まず、この2つの特徴について解説します。
「ユーザーに接触した広告の計測」については、ユーザーがある商品をコンバージョン(以下、CV)するまでに、広告A、B、Cと接触していたという例を元に、広告技術の進歩とあわせて説明したいと思います。
アクセス解析ツールで広告効果が計測できるようになった頃は、下の図のように、CVの直前にクリックされた広告のみ計測していました。つまり、広告をクリックしてその訪問時にCVされなければ、その広告の効果はカウントされていませんでした。
その後、広告の効果計測ツールが進化し、クリックされサイトへの流入を呼んだ広告がアシスト効果として計測できるようになりました。次の図の通り、CVするまでにクリックした広告の計測が可能になったのです。
さらにテクノロジーが進化し、クリックはしていないが、閲覧していた広告の計測が可能になりました。これにより、図3のように閲覧され商品の認知に貢献した広告や、CVへの後押しとなった広告が何かわかります。
この後、テレビやラジオなどのマス広告、来店時のクーポンなどオフラインの接触も計測が可能となっていく訳ですが、そこについては次回説明します。このように、ユーザーの接触した広告の計測がテクノロジーの進化により詳細にできるようになったことで、アトリビューション分析を可能にする土壌が整いました。