SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

MOBILE PEOPLE厳選記事

賢いオトナは知らない?芸能界を変える、これからの人気者の生まれ方


「デジタルネイティブ」と「スマホネイティブ」は全然違う

菅野:こうした若年層のバズを、おそらくマーケティングに携わっている大人たちは軒並み知らないと思うんですよ。まず知りたいのは、なんでこんなに知らないことが起きてるのか?ということなんですけど、なんでなんでしょうか?

森:きちんと捉えないといけないのは、よく言われている「デジタルネイティブ世代」と「スマホネイティブ世代」を分けて考えなくてはいけないということですよね。デジタルネイティブ世代っていうのは1980年以降に生まれた、最初からネットがある、でも半分テレビの人たちなんです。

 それが1993年以降の生まれになると、中学1年生のときから既にiPhone3Gがあった「スマホネイティブ世代」、ガラケーを持ったことがない完全にスマホの人たちになるんです。「デジタルネイティブ世代」のSNSは主にFacebookなのに対して、「スマホネイティブ世代」はTwitterなんですよ。

 Twitterでコミュニケーションをとり、テレビの代わりにスマホでYouTubeを見る。つまり、見ている世界、住んでいる場所が違う。Twitterでどんなに流行っても、それがFacebookに流れないと大人までは回ってこないですよね。

菅野:ネットのバズって順番としてはTwitterのあとにFacebookにくる感じなんですか?

森:大体そうですね。アイスバケツチャレンジやPPAPを大人までみんな知っているのは、最初はTwitter上でバズっていたのがFacebookに取り上げられてそちらでも流行ったからです。

インフルエンサーのつくり方 ~「99.9%の人はやめておいたほうがいい」

菅野:VAZさんってインフルエンサーのマネジメントをしていて、ホリプロとソニーミュージックからも出資を受けていますよね。伝統的なマスメディアの芸能事務所ともタッグを組んでいるのがおもしろいと思うんですが、ネットでの人気者の生まれ方は、テレビの芸能人の生まれ方とどう違うと思いますか?

森:すごく簡単に言えば、テレビのやり方というのはプロデューサーや大手プロダクションの人が「この子ならいける」と思った人をテレビに出すための営業をして、テレビに出て初めて露出の機会が与えられて、その人を見た100万人のうちの何万人がいいと思うかで人気が決まると思うんですね。

 その点、インフルエンサーってとにかく草の根なんですよ。フォロワー100だった子が自撮りをして、フォロワーのうちの一人、1%でも反応する人間がいたらその人がリツイートをする。リツイートされた先の100人のうち何%が反応する。という連鎖で、ある日急にフォロワー1万の子たちが生まれる。

 テオくんみたいに何か一つの動画やコンテンツでバズりました、というほうがわかりやすいんですけど、実際はビジュアルや見た目の雰囲気・カリスマ性だけで、たとえばさっきの双子ダンスのりかりこちゃんみたいに「双子でかわいい、なにこれ憧れる」ということで一定数の人が反応して人気が出るということが多いですね。

菅野:ということは、人気になる要素をもっている子は放っておいても、本人が思っていなくても、人気になることがあるんですか? ビジュアルやカリスマ性って狙って演出できるものではないところもありますよね。

森:本人が思っていなくても伸びていくことはあるんですけど、才能はあるのに生かしきれていないという子も多いんですよ。うちも才能を作ることはできないです。でも才能を長期的に生かすにはどうしたらいいかということは考えられる。

菅野:そこがバズさんの付加価値になるわけですね。

森:そうです。ただ基本的には本人の才能が一番大きいので、僕らはその雰囲気とカリスマ性を見抜くことが一番大事ですね。

菅野:それってどう見抜くんですか? 感覚の部分だとは思うんですけど、VAZさんのやり方みたいなものがあるんでしょうか?

森:とにかく動画を見まくる、ですね。動画1日100本は見てるんで。ずーっと動画をみて、何が伸びるのかっていうのを見続けています。

菅野:実直にやるんですね。見抜いたあとのインフルエンサーの育成の仕組みを少し教えてもらえませんか?

森:よく聞かれるんですけど、その都度オーダーメイドなんですよ。もちろんSEOも意識するし、流行りも意識するし、その人の活かし方も意識するし、複雑です。たまにクオリティが高いものをあげたり、クオリティが高いものあげすぎないでジャブであげたり。その人にとってのジャブ動画のフォーマットって何だろうと考えたり。

菅野:ジャブ動画ってなんですか?

森:その人が簡単にあげられる動画のフォーマットを開発するんですね。YouTuberでも伸び続けて6~7年やり続けてる方って何が圧倒的に違うかって、コンテンツで人を楽しませているもののコンテンツに頼っていない。

 “プロ並みのクオリティでかっこいいものを作り込んでやり続ければ伸びる”という発想は絶対にダメなんです。そうではなくて、ただ座って、何もしないで喋っている動画で100万PVとれる人が一番強い。それを目指さないといけない。

 すごく簡単なフォーマットで毎回その人のトーク力や人間力で楽しんでもらう、そうしてファンを濃くしていくっていう風にしていかないときついんです。継続的に長期的にできるジャブで伸びない人はもうダメ。作り込んでると動画によって再生数に幅がありすぎて怖くなっちゃうんですよ。

菅野:なるほど、簡単にできないと本人も疲れてしまいそうですしね。

森:そうです。まあ試行錯誤はそれぞれあって、最初に話したテオくんも、爆発的にバズったあとにどう伸びたらいいかがわからないという苦しい時期があったんですよね。そのとき彼が編み出したのが時流に乗るというやり方。毎回自分でネタで生み出すのは難しいので、トレンドにいち早く乗る。

 たとえばPPAPが流行る前にいち早く踊るとか、そういう方法です。それでフォロワーは伸びてうちとも知り合ったんですけど、その伸びたフォロワーって、「こいつ毎回おもしろい動画出すぞ」とコンテンツに付いているだけで、彼の真のファンではないということがわかってきた。

 なのでそこから脱却するために、今度は毎日ツイキャスをやってもらったりYouTubeアカウントを開設したりしてキャラ自体を楽しんでもらうことを続けて、ファンを濃くしていった。結果、今テオくんはスカイピースというユニットで圧倒的な人気があります。

菅野:なるほどね。今からインフルエンサーになろうと考えている人がいるとして、やめておいたほうがいいタイプってありますか?

森:はっきり言って、99.9%はやめておいたほうがいいです。「伸びたいんです」と言われることもよくあるんですけど、まあ無理だよね、と。ちなみに僕も菅野さんも100パー無理なタイプです(笑)。

菅野:ですよね、それは僕もそう思います(笑)。

次のページ
インフルエンサーは自分でコントロールできる

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
MOBILE PEOPLE厳選記事連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

ファイブ株式会社 菅野 圭介(カンノ ケイスケ)

2008年にGoogle Japanに新卒一期として入社。買収後のAdMobの日本オペレーションの立ち上げ、YouTube広告製品等のプロダクトマーケティング・収益化・ビデオクリエイティブエコシステムの拡大を担当。2014年にFIVEを設立。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2017/06/27 12:03 https://markezine.jp/article/detail/26193

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング