インプレッション効果とレスポンス効果
アメリカでは、1995年10月にCASIEが打ち出した「インタラクティブメディアのオーディエンス測定指針」をはじめとして、効果測定の基準づくりが進行してきた。日本においては、1996年2月にビデオリサーチがインターネット効果指標研究会を立ち上げた。現在ではインターネット広告推進協議会やWeb広告研究会が広告効果の研究に取り組んでいる。インターネット広告の効果は、広告の露出そのものの効果であるインプレッション効果と、クリックすることにより生じるレスポンス効果に分けられる。インプレッション効果は、広告の認知率やイメージ、ブランドの認知率やイメージなどが指標となる。レスポンス効果はトラフィック効果とも呼ばれるもので、クリック数やクリック率などが指標となる。
このふたつの効果の存在はインターネット広告の黎明期から知られていたが、レスポンス効果ばかりが注目されてきた。広告に対するレスポンスを測定できることこそ、インターネットのインタラクティブ性の象徴であり、ほかのメディアにない特長だったからだ。広告取引においてもクリック率の高さが重視されてきた。
低下したクリック率
しかし、インターネット広告のクリック率は初期よりも低下している。ブランドの認知向上などクリックを目的としない広告が増えたせいもあるが、そのほかにもいくつか要因が考えられる。もっとも大きな要因は、インターネットの利用頻度や利用時間の拡大にともない、インターネット利用者ひとりあたりの広告が増加したことだ。広告接触機会の増加は、それぞれの広告の注目率を低下させるだろう。また、インターネット利用歴が長くなるほど、インターネット広告に新規性を感じにくくなるうえ、クリックを誘うために氾濫したギミックについても学習を重ねるはずだ。