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MarkeZine Day 2017 Spring レポート(AD)

「サイト内検索」は売り上げに直結する 検索を改善しないともったいない理由、ゼロスタートが解説

 2017年3月1日から3日間にわたって開催された「MarkeZine Day 2017 Spring」。その中のゼロスタート代表取締役社長・山崎徳之氏による講演「検索というEC最大のアップサイドポイントが見過ごされる理由とは」では、正しく理解されていない「売り上げに直結するサイトの検索機能」をテーマに、その注意点とポイントが解説された。

検索機能を「接客」だと考えて改善し、コンバージョンにつなげよう

 ゼロスタートの代表取締役社長・山崎徳之氏によればECサイト内における検索機能は、注目されることが少ない部分ではあるが、工夫によってはとても高い効果が見込めるポイントであり、伸びしろがある可能性が大きいものだ。

 そもそも「ECサイトにおける機能は基本的に3つしかない」、と山崎氏は主張する。それは、商品を見つけるための「商品検索」機能、「決済」機能、そして正確かつ確実な「配送」機能だ。

 そのため、サイトへの集客後にサイト内のコンバージョンをいかに上げるかを考える際、着目するのは、「消費者にどんな商品をマッチングさせるか」、これに尽きるのだという。

 「まず、流入してきた顧客に対し、いかにして「買おう」という気持ちにさせるかが問題です。次に、いかに離脱者を減らし、コンバージョンに至る確率を上げるか。それを考えることが成果を呼び込むのです」(山崎氏)

 なお、サイト内でのレコメンドについて、山崎氏は「上積みに過ぎない」と語る。レコメンドとは基本的には買うつもりになった顧客に対してクロスセル、アップセルを仕掛けるための施策であり、その前に買うつもりにさせないといけないのだ。

株式会社ゼロスタート 代表取締役社長 山崎徳之氏
株式会社ゼロスタート 代表取締役社長 山崎徳之氏

 ゼロスタートは検索・レコメンドのソリューションを提供している企業であるが、ゼロスタートが受ける問い合わせの大半はレコメンドについての相談だという。

 しかし、実際に導入に至ったソリューションの比率を見ると、サイト内検索・EC商品検索エンジン「ZERO ZONE SEARCH」が8割を占めているのだ。いわば、ECサイトの担当者の方ですら、検索の重要性を見逃し、おろそかにしているということが見て取れる。

検索の重要性に企業が気づかぬ理由

 なぜこのように検索機能の重要性が抜け落ちてしまうのか、その理由の一つとして山崎氏が挙げるのが、認識のギャップだ。

 サイト内の検索は、実店舗に置き換えて考えると、接客に近い役割だという。確かに、お店に入って商品を探したり、店員に問い合わせたりする行動と検索には近いものを感じる。それにもかかわらず、サイト内の検索を一機能としてしか考えておらず、接客として認識できていないケースがよくあると山崎氏は指摘する。

 「実店舗の店員さんに『こういうものを買いにきました。予算はこのくらいです。なるべく新しい商品で評価が高いものはありますか』といった相談するイメージでユーザーは検索をしています。それを忘れてはいけません」(山崎氏)

検索結果もまた、本来すべてが広告であるはず

 山崎氏は、ここまでECサイト内の検索の重要性を語ってきたが、加えて「ECサイトの中の検索結果も含めて、本来すべてが広告であるはずだ」と持論を述べる。オーガニックかどうかは関係なく、サイト内の検索結果は全部が広告なのだという。

 たとえば、入力するキーワードを少し間違えただけで検索結果0件と表示されるのは、一般的な検索機能の挙動としては正しいかもしれない。しかし、ECサイトの検索を広告だと考えてみれば、「結果はありません」というのはナンセンスで、こういった「提案ゼロ」のサイトは非常に多い、と山崎氏は指摘する。

 また、山崎氏によれば「商品検索」という言葉に対する誤解があるという。GoogleやYahoo! JAPANによる影響で、キーワード検索のイメージがすごく強いのだという。つまり、「入力ボックスが一つあり、そこにキーワードを入れて出てくるものが検索」といったイメージが広く抱かれているのだ。

 「ECサイト検索においては、キーワードはもちろんのこと、何によって絞り込みをするかという『ドリルダウン』が鍵を握ります。同様に『ソート』、つまりどういった条件で並び替えを行うかといったことも重要です」(山崎氏)

提案型の検索に立ちはだかる技術的な障壁

 しかしながら、「ドリルダウン」や「ソート」を行いやすく、かつ提案型の検索エンジンを実装するとなると、技術的なハードルが高くなる。

 サイトの開発ではまず、機能設計書と呼ばれるものを作るのが一般的で、開発されたサイトは当然、その機能設計書通りに動くことになる。

 ところが、検索は機能仕様が定義できないという特性がある。これが非常に難しい問題であり、どのような検索ワードを入れたらどのような検索結果が出るべきなのかをサイト設計時には決められず、運用する段階にならないとわからないという大きな課題があるのだ。

 さらに、リアルタイム性を持たせるとなるとより技術力が求められる。「検索ボタンを押して、すぐ反応が返ってくる」ことをユーザーは無意識のうちに求めている。

 キーワードが間違っていれば適切な処理を入れ、在庫や行動履歴を取得し、最適な順番で並べる。これらの操作を1秒以内で行うためには技術的にも非常に難しい。

検索機能の提供側にも問題が

 ここまでは導入する側の検索に対する認識の甘さから生まれている課題がほとんどだったが、その一方で、ソリューションを提供する側の機能提供の方法に問題があるケースも多い。

 具体的には、機能のバラ売りの問題がある。ソート機能やサジェスト機能、あるカテゴリーに属する商品がサイト内にいくつあるのか表示するファセットカウントなど、それぞれを提供しているサプライヤーが多い。そのため、様々な機能を導入しようとすると、結果的にコストが膨らみ、かつ導入後のサポートが十分でないケースも多く、効果が改善されない。

 ここまで山崎氏が言及してきた課題によって、ECサイトにおける商品検索はマーケティングとして捉えづらいものとなっており、捉えたとしてもテクノロジー的に実現しづらいものであることがわかった。

 しかしながら、消費者の立場からすれば、ECサイトに訪問する際にはやはり商品を見つけに来ていることは間違いない。そのため、商品を見つける部分がうまく機能していないことが、直接の不満につながる。

 「ユーザーが不満を感じているのに、売り手側はそれをマーケティングとして捉えていない点を課題として再認識すべきです」(山崎氏)

売り手には早急な検索機能改善が求められる

 ここまで、検索の重要性について詳しく解説してきたが、山崎氏はそれを踏まえて必要になるアクションについて語った。

 「まず必要なことは、きちんとユーザーが求める結果の出るよう、検索機能を改善することです。その上でさらに検索がコンバージョンに結びつくよう、提案型の検索機能としていくべきです」(山崎氏)

 山崎氏は講演の最後に、ゼロスタートのソリューション「ZERO ZONE SEARCH」を紹介した。同ソリューション導入先の流通額はおよそ4000億円。また、同社が扱う総クエリ数も年間200億クエリ程度に上っている。これまでの課題感を解消するため、各企業の課題に合わせてカスタマイズして導入、運用しているのが特徴だ。

 「検索にできる限り気を配り、サイト内のコンバージョンを上げましょう。本日お話しした見過ごされがちなポイントを押さえ、サイト改善に取り組むことをお勧めします」として、山崎氏は講演を締めくくった。

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この記事の著者

ヒロ88(ヒロハチジュウハチ)

ビジネスジャンルを中心に取材、編集を行なう。得意ジャンルは不動産開発、メディア開発。1988年生まれ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/04/19 10:00 https://markezine.jp/article/detail/26300