アンケートでユーザーの属性を知る
「LINEからは個人情報が提供されることはありません。ですから企業側からすれば、企業アカウントで友だちになった時点では、ユーザーにランダムに付与されている識別子以外は何もわかりません。DialogOneを導入している場合、アンケート機能を使って属性など基本情報を取得するためにアンケートを実施し、その回答からユーザーの情報を取得していくことが可能です。さらに、トラッキング機能によってユーザーの行動を理解したり、取得したデータ別にセグメント配信をしたりといったこともできます」(永井氏)
たとえば、LINEメッセージの既読・未読のステータス。ユーザー同士では既読が表示されるが、企業が配信する場合、配信側にはステータスが把握できない仕様となっている。DialogOneを導入しておけば、専用タグを埋め込んだページを用意して、遷移の有無で読了しているかの代替方法も準備できる。
さらに心強いのは、DACは自前でDMP開発もしていることだ。
「弊社のDMPであるAudienceOne(オーディエンスワン)は、広告配信結果や各種SNS、提携企業のサードパーティデータなどを収集・解析しながら、リード(見込み顧客)の発見や既存顧客のロイヤルカスタマー化を促す施策に活用できます。DialogOneとAudienceOneを連携させると、より一層ユーザー像の輪郭をはっきりさせることが可能なのです」(永井氏)
LINEと自販機をつなぐハブに
ここからは、実際のLINE ビジネスコネクトとDialogOneとの連携施策について、両氏に紐解いてもらった。
直近で特に先進的な施策となったのが、LINE ビジネスコネクトを利用したキリンビバレッジバリューベンダー(以下、キリン)が提供する自動販売機サービス「Tappiness(タピネス)」の開発支援策だろう。
「Tappinessは、キリン様の自動販売機とLINEユーザーをビーコン経由で自動接続するサービスです。LINEを自動販売機にかざして商品を購入するとドリンクポイントが貯まる仕組みですが、ポイントプログラムをご提供しました。購買履歴データもDialogOneに貯まっていく仕組みで、購買履歴に基づくLINE上のメッセージ配信も可能になります」(星氏)
この案件は自販機ベンダーとの仕様の擦り合わせからスタートしているため、約1年という開発期間を要したという。だが、通常のビジネスコネクト案件の多くは、基本機能は約1ヶ月程度あればアカウントに導入でき、追加開発が行われる場合でも約3ヶ月ほどでDialogOneへの実装が可能になるそうだ。
「従来の自販機は自社のものでありながら、店舗と違って誰がいつ買ったのかというデータが取得できませんでした。このケースでは、DialogOneに蓄積される購買データと、これまで行ってきたアンケートによるデモグラフィックなデータを掛け合わせれば、それぞれのユーザーに対して最適化したメッセージが発信可能になるのです」(永井氏)
実際キリンの施策では、アンケートを使いセグメント配信が可能となって以降、CTRが約8倍改善したという成果も報告されている。