感情変化を促すコミュニケーション設計
ユーザーのタスクをもとに、タスクを進める人、進めない人の感情をすべて書き上げたところで、具体的に何をしていくのかの話に入っていきます。
対策の方法は2つ。1つは歩留まりする可能性の高いユーザーが次のタスクへ進むよう、コミュニケーション・コンテンツを変えること。もう1つは歩留まりしてしまった人の理由を想定し、適切なコミュニケーションで再訪を促すことです。
機能やコンテンツで、理想的な感情変化を
なぜタスクフローを進まず離脱してしまうのか。その「なぜ」をもとに対策を考えていきましょう。次のタスクフローに導くためにできることは大きく分けて2つあります。それは、離脱してしまう原因を解消すること、もしくは違うタスクフローを提示することです。

上の図のように、1つの「なぜ」に対して複数の対策が考えられます。理想的なタスクフローを進ませるか、違うルートのタスクフローを提示するか、はたまたユーザーのゴール地点を変えさせるか(この例であれば、応募からスカウト待ち)。
こういった「なぜ」に対する施策が複数出てきたところで、A/Bテストなどを利用し、想定される次のユーザータスクへの誘導率を上げていきましょう。
ただ、むやみやたらとA/Bテストをするのではありません。常に「ユーザーは××という理由でタスクを進めないかもしれない。その仮説があっているか、〇〇をすることで確かめよう」という、ユーザー像、A/Bテストで求めるゴール(成約地点)、施策によって確かめるユーザー感情をセットで考えていくことで、より感情変化を促しやすいサービスに変わっていくはずです。
感情を変化させるリマーケティング設計
前段では、主にサイト設計やサイト改善的な手法でしたが、さらに広告による施策も考えていきましょう。サイト訪問後のユーザーにアプローチとなると、皆さんご存知かと思いますがリマーケティング広告一択です。
考え方は前段とほぼ同じ。「なぜタスクフローを進まなかったのか」の理由に対して、そう感じているユーザー群をリスト化し、「タスクフローを進まなかった理由を解消するためのクリエイティブ」「理由をあえて強みに見せるクリエイティブ」などを用意して感情変化を促していきましょう。

ツールや手段ではなく、ユーザー感情を大切に
最近では、業界の違いや規模の大小問わず、マーケティングオートメーションを導入して同様の設計を行っている企業も多いかと思います。パブリックDMPを活用し、デモグラフィックデータも掛け合わせてコミュニケーション方法を変えている企業もいらっしゃるでしょう。
これらのテクノロジーやツール、手段は違えど、大切なことはユーザー感情を設計することです。
ユーザーの感情が変わらなかったとき、つまり「タスクフローを進まなかった」ときなぜそうなってしまったのか、どうコミュニケーションを取ればユーザーの感情を変えられるのか。その思考こそがユーザー感情・行動の設計につながるのです。
また、今回の話を実践する際、多くの部署や人を巻き込まないといけない必要が出てくるため、なかなか難易度が高くなると思います。まずはワークショップやラフな会議体を設けて、少しずつ「マーケティングに関わる社員全体で1つの青写真を持とう」という雰囲気作り、合意形成から始めることが必要です。