デジタルマーケティング支援と教育事業に注力
1991年にダイレクトマーケティング事業で創業したフュージョンは、近年では主に小売り、通販業界のクライアントに対して、マーケティング施策の支援を行っている。
「DMは、メールなどのWeb施策に比べてコストが高いため、成果を重要視されます。そのため、CRM分析を通じて適切なコミュニケーションを提案しています。さらにマルチメディアで効果の高いキャンペーンの立案から、クリエイティブ作成、投函またはメール配信、そして施策後のデータ分析や検証までのサイクルを回す支援を行っています」(花井氏)
花井氏は、戦略立案を行うグループの統括を担当し、中でもID付きPOSデータの分析やマーケティングオートメーション、BIツールの選定導入、活用方法の提供などを担当している。
谷田貝氏は前職で、海外マーケティング団体との交流を行っており、その際にマーケター向けの教育プログラムに興味をもったという。その後、フュージョンがマーケター向けの資格を導入する事業を行うことを聞き、同社に参画した。業務としては、商品開発や新プログラムのための情報収集、事例発信などを行っている。
日本にマーケター向け資格が少ない理由
マーケター向けの資格は、日本では数が少なく、これまであまりメジャーとなるものもなかった。その理由を、谷田貝氏はこう分析する。
「日本では人によってマーケティングとは“市場調査”や“販促”など解釈がバラバラになっています。それがマーケティング全体を包括した資格が生まれなかった一因と考えられます。
また、もう一つは日本の大学で、ほとんど実践的なマーケティングを教えていないということ。マーケティング学科があっても、大学の教授は実務経験が乏しいケースがほとんどで、スキルを教えることができていない。この2つが阻害要因ではないでしょうか」(谷田貝氏)
さらに、日本の会社では、数年毎の人事異動でマーケティングに特化したキャリア構成を築きにくいことも挙げた。
「上司も異動を繰り返してきているがために、マーケティングのナレッジが貯まっておらず、若手の育成が上手くいかない。ここが、社内にマーケティングのプロ集団を育成するのが当たり前である欧米との大きな違いです」(谷田貝氏)
さらに、デジタルシフト自体も海外から遅れている点にも問題があるという。谷田貝氏は「これまでの“商品を作って、単純にマスで紹介すれば売れる”という考えから抜けきれていない企業もいる」と語る。
「日本では、現在もマスに対する広告費用は大きいと思います。欧米では、それがもう逆転していて、デジタルシフトが進んでいます。多少国土の広さなどの問題もありますが、デジタル化の波は、いずれ必ず日本にも来ますから、追いつかなければなりません」(谷田貝氏)