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米国の歴史あるDMA公認「ファンダメンタルマーケター資格」とは? 取得メリットを担当者に聞く

 2016年11月、日本に米DMA公認のマーケティング資格「ファンダメンタルマーケター」が上陸した。マーケティングおける体系的知識が得られる上に、マーケティングスキルも磨けるため米国ではポピュラーな同資格。その詳細について、資格の運営を行うフュージョンの花井優樹氏と谷田貝正人氏に取材した。

デジタルマーケティング支援と教育事業に注力

 1991年にダイレクトマーケティング事業で創業したフュージョンは、近年では主に小売り、通販業界のクライアントに対して、マーケティング施策の支援を行っている。

 「DMは、メールなどのWeb施策に比べてコストが高いため、成果を重要視されます。そのため、CRM分析を通じて適切なコミュニケーションを提案しています。さらにマルチメディアで効果の高いキャンペーンの立案から、クリエイティブ作成、投函またはメール配信、そして施策後のデータ分析や検証までのサイクルを回す支援を行っています」(花井氏)

 花井氏は、戦略立案を行うグループの統括を担当し、中でもID付きPOSデータの分析やマーケティングオートメーション、BIツールの選定導入、活用方法の提供などを担当している。

株式会社フュージョン 営業部 プランニンググループ マネージャー 花井優樹氏 同グループ マーケティングプランナー 谷田貝正人氏
フュージョン株式会社  プランニング/ダイレクトプロモーショングループ 営業企画部 花井優樹氏
同グループ マーケティングプランナー 谷田貝正人氏

 谷田貝氏は前職で、海外マーケティング団体との交流を行っており、その際にマーケター向けの教育プログラムに興味をもったという。その後、フュージョンがマーケター向けの資格を導入する事業を行うことを聞き、同社に参画した。業務としては、商品開発や新プログラムのための情報収集、事例発信などを行っている。

日本にマーケター向け資格が少ない理由

 マーケター向けの資格は、日本では数が少なく、これまであまりメジャーとなるものもなかった。その理由を、谷田貝氏はこう分析する。

 「日本では人によってマーケティングとは“市場調査”や“販促”など解釈がバラバラになっています。それがマーケティング全体を包括した資格が生まれなかった一因と考えられます。

 また、もう一つは日本の大学で、ほとんど実践的なマーケティングを教えていないということ。マーケティング学科があっても、大学の教授は実務経験が乏しいケースがほとんどで、スキルを教えることができていない。この2つが阻害要因ではないでしょうか」(谷田貝氏)

 さらに、日本の会社では、数年毎の人事異動でマーケティングに特化したキャリア構成を築きにくいことも挙げた。

 「上司も異動を繰り返してきているがために、マーケティングのナレッジが貯まっておらず、若手の育成が上手くいかない。ここが、社内にマーケティングのプロ集団を育成するのが当たり前である欧米との大きな違いです」(谷田貝氏)

 さらに、デジタルシフト自体も海外から遅れている点にも問題があるという。谷田貝氏は「これまでの“商品を作って、単純にマスで紹介すれば売れる”という考えから抜けきれていない企業もいる」と語る。

 「日本では、現在もマスに対する広告費用は大きいと思います。欧米では、それがもう逆転していて、デジタルシフトが進んでいます。多少国土の広さなどの問題もありますが、デジタル化の波は、いずれ必ず日本にも来ますから、追いつかなければなりません」(谷田貝氏)

100年の歴史があるDMA公認の資格、その特徴は

 そのデジタルの波に対応できる人材の育成に寄与できるとフュージョンが注目しているのが、今回紹介する「ファンダメンタルマーケター資格」だ。同資格は、米国で1917年に設立されたマーケティング協会である「DMA(データ&マーケティング協会)」が運営している。この協会には49ヵ国の約1,600社が加入しており、フォーチュン100の企業の大半が加入しているという。

 「加入企業には広告主が多いですね。協会では、年中ネットワーキングの場を提供し、情報交換を盛んに行っています。常に新しい事例などの情報を、マーケティングの実務家から直接教えてもらえるというのも魅力です。自社で解決できない問題を、講師に聞くこともできます」(谷田貝氏)

 同資格の日本版では、米国版の資格取得に必要な17教科から、現代のマーケティングにおいて必須となる10教科を抜粋している。

 「10教科を学ぶことで、デジタルマーケティングの全景が、より深く理解できます。それに、今主流になっているキャンペーンは、クロスメディアで展開されるものがほとんどです。そのため、自分の担当部門の媒体だけでなく、隣部署のメディアについても深く知ることで、相乗効果を得られるキャンペーンを考えられるようになります」(花井氏)

eラーニングでの受講を可能に

 では、米国の資格受講者はどういった動機でファンダメンタルマーケター資格を取得しようと思ったのか。谷田貝氏は次のように語る。

 「広告主が圧倒的に多いこともあり、ここで知識を付けて、代理店との折衝力を高くする狙いがあるようです。いわれるがまま施策を行っているだけでは真の成果にはつながりませんからね。代理店もより高い効果をもたらす提案をするべく、日夜研究しているため、互いを高めあえるパートナー関係が構築できています」(谷田貝氏)

 米国では年間3,000名以上が受講しており、資格取得者には認定マークを名刺などに入れることができる。

 「米国で名刺交換をすると、“DMAで学んだんですね”とすぐわかってもらえるような認知度の高い資格です。日本でもそういった立ち位置にするべく、認知を広げていきたいですね」(花井氏)

 資格取得のための学習は、すべてeラーニングで行われる。1教科3時間ほどで、合計30時間学習した後に、修了試験を受ける。10教科からそれぞれ10問ずつ合計100問で構成されており、80%以上の正答率で資格取得となる。資格認定証はWeb上で見られる他、希望者にはフュージョンから郵送もしている。

広告主だけでなく、様々な立場に役立つ

 現在、日本でも様々な企業がファンダメンタルマーケター資格を受講しているが、広告主以外でも、システムのツールベンダーや総合広告代理店の人が受講するケースもあるという。

 「ツールベンダーの営業の方は、機能の説明は当然できるので、それを活用したキャンペーンの提案力を上げるために受けています。マーケティングの知識や事例をインプットすることで、ツールとの関連性を見出せるようになりますしね」(花井氏)

 「マスメディアのプランニングに強い総合広告代理店さんも意識が高くて、普段はマスを扱ってはいても、他のメディアも知る必要があると意欲的に取り組んでらっしゃいます」(谷田貝氏)

グローバル展開も視野に

 最後に、今後の展望について両氏に伺った。花井氏は、DMA自体の認知度アップを進めつつ、マーケターとしての登竜門となる資格を目指すと意気込む。

 「よく米国は日本より3年から5年ほどマーケティングが進んでいるといわれていますが、その最新事例もアップデートして、日本のマーケターの実力や業界全体のレベルアップ、最終的には消費者のみなさんのためになる活動を進めていきたいです」(花井氏)

 一方、谷田貝氏はアジアを中心としたグローバル展開も視野に入れた展望を語った。

 「たとえば、他のアジアの国々でも、今後デジタルマーケティングが必要とされてくるはずなので、ぜひ学びの場を提供したいです。また、今は米国のプログラムを日本語に翻訳しているのですが、英語でも受講できるようにしたいです。外資系企業では、会議が英語で行われるケースも多く、あえて英語で学びたいといった声もあるのです。こういった資格自体のサービスの強化にも努めていく予定です」(谷田貝氏)

 今回ご紹介したファンダメンタルマーケター資格ですが、Webサイトからも受講申し込みをすることができます。また、eラーニングプログラムの具体的な内容も載っておりますので、より資格について知りたいという方はぜひWebサイトをご覧ください。詳細はこちら

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター 出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/06/23 09:22 https://markezine.jp/article/detail/26615