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運用型広告時代の要!トレーディングデスク最前線(AD)

日本のデータサイエンティストは能力を活かせていない?データ分析を成功に導くためのマーケターの役割とは

データ基盤を整備し施策に活かすための3つのステップ

――こうした課題を、エスワンオーインタラクティブとGRueがどのように解決していくのか、両社の役割についてお聞かせください。

高瀬:GRueの上野さんのチームには、ビジネス側・マーケター側の課題をかみくだいてデータの整理や仮説作りをサポートしていただき、分析の実行についても担っていただきます。弊社は一連のプロセスに並走し、トレーディングデスク事業のエキスパートとしてデジタル広告のプラニングを行い、運用を実施します。実施後は運用結果のデータを上野さんに分析していただき、広告の改善策へとつなげていきます。

上野:GRueが担う部分では、ビジネスにおける課題抽出・データ設計といった上流部分が8割以上で、分析業務は1割から2割という印象です。実際に企業の内部に入ってみると、データが分散し整理されていないケースが非常に多い。まずはデータを整備し、分析に備えるのが重要なミッションです。

高瀬:企業の取り組み状況は、3つの段階に分けられます。1つ目がデータのトラッキング環境を整備していく段階で、この段階のクライアントが最も多いです。2つ目は、データ基盤はできており、どのデータをどう使うかの方針を固めて、データクレンジングを行っていく段階。そして3つ目は、分析ができ、施策の実行につなげていく段階です。

 この段階になってはじめて、データサイエンティストが活躍できる環境になります。でも実際はこの3つ目の段階にいっている企業が少ないのが現状です。ですので、データサイエンティストの能力が高くても、そもそも活躍できる環境が少ないのでは?と感じております。

――これまでに支援されてきた企業について具体的に教えてください。

高瀬:あるメーカー様を例にお話します。私達が支援に加わった時点では、多数のブランドごとにデジタル担当者を配置してプロモーションを行っているために、ブランドごとにKPIもパートナーもバラバラという状態でした。そこで全ブランド共通のKPIを設定し、データを整備して、分析結果を実施に反映させていったところ、データ活用のPDCAが順調に回り出しました。

――ブランドを複数持っているブランドのほうが、施策の効果が大きいのでしょうか。

上野:もちろん単一ブランドの企業でも有効なのですが、たとえば、アパレルなど多品種の商材を抱える企業、顧客数や売上件数が多い企業、販売チャネルが多様にある企業のほうが、データ活用のメリットが大きいですし、企業側の課題感も強いですね。

高瀬:課題感が強いと言えば、広告活動がデジタルに閉じておらず、チラシや新聞などのオフライン施策を積極的に展開されている企業様からの問い合わせは多いですね。オフライン施策・オンライン施策と売上データを共通のデータセットに落とし込みたいというニーズがあります。

――そこまでいくと、クライアントのデータをすべて預かるイメージですね。

高瀬:なかでも、会員組織や直営店舗のPOSデータや来店情報などファーストパーティのデータが重要になってきます。こういったデータは扱いがセンシティブなので、GRue側にハンドリングをおまかせし、私たちはトレーディングに注力するというように分業しています。

上野:企業側に売上のデータを「ください」といっても、そう簡単にもらえるものではないですからね。データ分析の設計段階で貴重なデータを預けていただくことで、どのような価値をご提供できるのか説明いたします。そこから一つ一つのプロセスを通じて信頼関係を構築することも重要です。また、データを預かるという部分においても、機密性の高いものはセキュアな形で預かっており、データのアクセス権限も必要に応じた人にしか与えないなど厳重に管理しているため、クライアントからも安心していただいております。

データをもとに「ビジネスに施策が貢献しているのか」考えるスキル

――今後、データ分析によるマーケティング支援とデジタル広告の実行をセットで提供する他に、両社で取り組んでいかれることはありますか。

高瀬:両社ともマーケターのデータ活用リテラシーをどう上げていくかという課題意識を持っています。そこで、データ分析について体系的に学べるカリキュラムを提供できればと思っています。ビジネスを推進するための目的・資源・戦略があって初めて、分析の価値が上がる。なので、データサイエンティスト育成ではなく、あくまでビジネス側が対象です。

上野:分析する前に仮説を立てて課題に落とし込むスキルは、マーケターはもちろん、営業担当の方にも役に立つはずです。売上を伸ばしていく立場の人は、数字を伸ばすロジックについて知っておくべきです。究極的には、アカウンティングの知識があり事業のP/L などをもとにビジネスの本質を考えられる人が、データ活用のスキルを持つと理想的だと思います。

――最後に、データをもっとマーケティングに活かしていきたいと模索しているマーケターにアドバイスをお聞かせください。

高瀬:大切なのは、ビジネス全体に自分が取り組んでいる施策が本当に貢献しているのかどうかを意識することです。ビジネスの構造を紐解いて理解したうえで、施策効果の可視化に取り組んでみる。そうしたアプローチを行うと、本質的な課題がみえてくるはずです。

上野:オフラインの効果の数値化もまずはやってみるべきです。仮説をためていくことで、見えてくるものがあるからです。認知の向上など間接効果だけを見るのではなく、最終的な売上にどのくらい貢献しているのかを知ることは大切なことでしょう。

高瀬:ただし、忘れてはならないのは、ブランド・エクエティは可視化が難しいけれど極めて重要なものだということです。たとえば、リッツカールトンのサービスは数値化できないかもしれないけれど、確実にビジネスに貢献しています。

 ブランドという数値化が難しいものを尊重する感性を持ちながら、個別の施策に投資する際には「どう効果があるのか」とデータに基づいて科学的に判断する。そのバランスが大切だと思います。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/07/25 16:41 https://markezine.jp/article/detail/26685

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