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「リアル店舗の強みは維持し顧客接点を広げていく」フィッツのインハウス戦略が机上の空論にならなかった訳

2020/07/20 11:00

 多くの企業にとってデジタルシフトは優先課題だ。香水やコスメを製造・輸入・販売しているフィッツコーポレーションも、リアル店舗での強みを維持しながら、デジタル活用の体制構築に挑んでいる。デジタル化を視野に入れた組織作りはしばしば“机上の空論”となってしまいがちだが、同社マーケティング部の桜井氏は「実は現場社員もデジタルに対する危機感、学びたい気持ちをもっている」と話す。では、社内全体を巻き込みながら、インハウス化を目指すためのポイントとは。桜井氏と同社にインハウス支援を提供するハートラス取締役CSMOの高瀬氏に聞いた。

目次

店舗に固執しすぎていた?顧客接点の見直しがきっかけに

――はじめに、自己紹介をお願いします。

桜井:フィッツコーポレーション(以下、フィッツ)で男性化粧品事業・ヘアケア事業に携わりながら、コミュニケーションデザインチームの統括をしています。広告宣伝、クリエイティブ制作、広報を担当するチームが含まれていて、その横にあるEC推進チームとのリレーション強化を推進していく役割も担っています。

株式会社フィッツコーポレーション マーケティング部 執行役員 桜井孝氏
株式会社フィッツコーポレーション マーケティング部 執行役員 桜井孝氏

高瀬:私はハートラスでCSMOとして、事業全体の戦略とマーケティングを管掌しています。

――本日はフィッツさんのデジタル推進のお取り組みについてうかがいます。生活者のライフスタイルの変容を受け、企業側もデジタルを活用しながら事業を成長させていくことが求められるようになっていますが、卸売業界のデジタルシフトは現在どのようなフェーズにあるのでしょうか。

桜井:ここ数年間でデジタルシフトを推進している企業と、そうでない企業にはっきり分かれてきた印象です。進んでいる企業はID-POSデータと自社のアプリの会員データなどを結合してデータマーケティングに取り組んでおり、SNSやアプリに力を入れているところも増えています。フィッツももっと進めていかなければと、課題感を持っているところです。

――フィッツさんでは、現在どのようなことが課題になっているのでしょうか。

桜井:フィッツは卸売メインで直営店を持っていませんし、直営のECも道半ばの段階です。小売店を通じてお客様に商品を手に取ってもらうことが肝心なため、これまではリアル店舗におけるタッチポイントで消費者にどうアプローチしていくかに注力していましたし、そこがフィッツの強みであることは変わりません。

 しかしいわゆるD2Cを起点にする企業はまったく違う考え方をしているのを知って、私たちはリアル店舗というひとつのチャネルに固執しすぎていたかもしれない、と考えるようになってきました。リアル店舗に来てもらう前の接点で、いかにお客様にファンになってもらうか、コミュニケーションを深めていくかが我々の課題であり、これから注力していきたい部分です。

社内にナレッジを残すことを目標に

――では、ハートラスさんにインハウス支援を依頼することに決めた理由を聞かせてください。

桜井:お客様とコミュニケーションを取っていく上でデジタル化が課題であることは明確だった半面、社内だけで考えていては、なかなか解決策が出ないことがありました。

 中でも一番の課題だったのは、社内の体制構築です。どんなに外部の優秀なパートナーとお取り組みさせていただいたとしても、社内側の体制が整っていなければ、その力を最大限生かすことはできません。また、一時的なアウトプットで終わってしまって、社内にナレッジが残っていかないことも課題となります。最終的にインハウスでやっていきたいとの考えはあったものの、どう進めて良いのかわからず悩んでいました。

 そんなときに出席したマーケティングカンファレンスで、ハートラスさんがインハウス支援をメインに展開していることを知り、すぐに高瀬さんにお話を伺いに行ったんです。

高瀬:ご依頼をいただいたのは、2019年の5月です。フィッツさんは経営方針の中でデジタル活用がキーワードのひとつになっていたものの、リアル店舗に強みを置いていらしたので、デジタル領域の組織体制やリソースの観点で、人員不足や仕事が属人化している点など、課題が散在していました。

株式会社ハートラス 取締役 CSMO高瀬大輔氏
株式会社ハートラス 取締役 CSMO 高瀬大輔氏

高瀬:その状況から、デジタル施策に取り組む前に、まずはそれを回すための体制や仕組みをどう作るかが重要になると考えを巡らせていました。


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