キッチン用品メーカーによるユニークな取り組み
キッチン用品メーカーMaytagは、一風変わった取り組みを実施し話題となった。同社は独自の調査で、多くのひとびとがソーシャルメディアで政治的な誹謗中傷を見るのがもっとも不快に感じていると知り、そのような誹謗中傷をブロックするアプリを開発した。このアプリはChromeブラウザーで使えるもので、友人を完全にブロックすることなく、政治的な誹謗中傷だけをブロックすることができる。

(出典)JWT Intelligence「THE POLITICAL CONSUMER」
Youtubeで約1,700万回再生されたメッセージ動画
旅行特化型サーチエンジンMomondoが実施した取り組みもソーシャルメディア上で非常に話題となったので紹介したい。MomondoはユーザーにDNAテストをしてもらい、そのユーザーの祖先が世界のどこから来たのか分析し、ユーザーにその場所への旅行をプレゼントした。人間のつながりは政治的な対立で分断されるようなものではないというメッセージを発信したこの取り組みはYoutubeで配信され、2017年6月時点で1,700万回近い視聴回数を稼いでいる。
ポリティカル・コンシューマーと関係性を構築するポイント
このほか米国ではVerizonやHPなどの大手企業が、消費者とのつながりを意味のあるものにしようと企業の顔となる広告代理店に対して、より多くの女性やマイノリティーを雇用するよう促している例もあるようだ。このように企業は政治的・社会的課題に対し俯的な視点から関わることで、分断を避けポリティカル・コンシューマーとの関係構築を試みている。重要なことは社会の多様性に目を向け、少数グループの声を聞き、包括的に考えることではないだろうか。和を重んじる日本人だからこそ得意なことかもしれない。
最終回となる次回はこれまで紹介した欧米のポリティカル・コンシューマー動向、企業の取り組みを踏まえ、マーケティング・PR担当者の視点から日本ではどのように考え、取り組んでいくのが好ましいのか考察してみたい。