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心地良いOne to Oneコミュニケーションを目指す~SFDC×LINE ビジネスコネクトの未来

2017/08/01 08:00

 今年でサービス公開から6年を迎えるコミュニケーションアプリ「LINE」。企業と消費者をつなぐコミュニケーションプラットフォームとしての存在感も増してきている。企業向けAPIのLINE ビジネスコネクトは、LINEのAPIと企業のシステムをつなぎ、顧客ごとにセグメントされた情報を届けることのできるサービスだ。同APIの活用を支援してきたセールスフォース・ドットコムの笹俊文氏に、マーケティングチャネルとしてのLINEの魅力を聞いた。

企業がデジタルマーケティングを強化する背景

 セールスフォース・ドットコムは、Salesforce Marketing Cloud(以下、Marketing Cloud)というデジタルマーケティングプラットフォームを提供している。Marketing Cloudは、オンライン上の顧客データを分析。カスタマージャーニーにそって、適切なコンテンツを最適な方法でユーザーへ届けることができるクラウド型のシステムだ。

株式会社セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 ジェネラルマネージャ デジタルマーケティング・ビジネスユニット 笹 俊文氏
株式会社セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 ジェネラルマネージャ
デジタルマーケティング・ビジネスユニット 笹 俊文氏

 「企業がデジタルマーケティングを強化しようとする背景に、お客様とのコミュニケーションが変化していることが挙げられます。これまでの単発的なマスマーケティングのみでは、お客様は動きません。目の前の消費ではなく、自社の製品を楽しく使っていただきブランドのファンになってもらうための、1対1の継続的な関係作りが求められています」(笹氏)

 Marketing Cloudは、企業と顧客のOne to Oneのコミュニケーションを得意とする。米国セールスフォース・ドットコムの会長であるマーク・ベニオフ氏は、早くからLINEに注目していたという。LINEは、日本においてOne to Oneコミュニケーションを実現する重要なチャネルになると予測していたという。その予測通り、消費者のメディア行動はモバイルへシフトし、LINEはモバイルのホーム画面に位置する代表的なアプリとなった。

 「Facebookをはじめとするソーシャルメディアは、タイムラインがベース。そのため、せっかく企業のアカウントをフォローしても、情報は流れてしまうことがほとんどです。LINEは、企業と友だちになるという新しい視点から生まれたメディアだと思います。

 リアルタイム性があり、プッシュ通知もできるので視認性も高い。もちろん、後から読むこともユーザーが判断できる。グローバルで展開しているマルチチャネルのマーケティングプラットフォームは数多くありますが、その中でも弊社はいち早くLINE対応をしています」(笹氏)

 非常に多くの企業がMarketing Cloudを通してLINE ビジネスコネクトを導入し、セールスフォースは、2017年度のLINE ビジネスコネクト パートナーアワードプログラムの最上位であるプラチナパートナーに認定されている。

カスタマージャーニーにおけるLINEの位置づけ

 APIと企業のシステムをつなぐことにより、ユーザーごとに最適な情報を発信することができるLINE ビジネスコネクト。Marketing Cloudを活用すれば、ユーザーの行動履歴・購買履歴・サイト閲覧履歴などの大量のデータから、より深いOne to Oneコミュニケーションが実現する。

 「Marketing Cloudをご活用いただいている企業は、メール・オンライン広告・Webなど数あるチャネルのひとつとして、LINEを使っています。ユーザーごとのカスタマージャーニーに合わせて、最適なチャネルを使い分けることができるのです」(笹氏)

 カメラを購入した後のカスタマージャーニーを例にすると、購入後の経過時間に合わせた楽しみ方や撮影ノウハウなどの案内は、情報量が多いためメールを使う。一方で、リアルタイム性を重視したメッセージはLINEを利用。イベントが多いシーズンは地域や天気で顧客をセグメントし「曇りのときの撮影方法」や「体育祭で上手に写真を撮るには」といった情報を配信するイメージだ。ユーザーとの距離が近いチャネルであるLINEの特性が生かされている。

タイムリーなメッセージは消費者の行動をうながす

 LINEの「リアルタイム性」と「友だちになる」という2つの視点からMarketing CloudとLINEの活用事例を紹介する。

 アパレル事業を展開するアダストリアは、「お気に入りの商品が売り切れそうだ」「在庫のなかった商品が入荷した」「セールが始まった」というリアルタイム性のあるメッセージをLINEで配信している。そのままECサイトへと遷移させることができるため、購入に結びつきやすい。欲しかった情報が届き、すぐ行動へ移すという流れをLINEが作っている。

 また、ユーザーの「すぐに知りたい」という行動にもLINEは対応できる。ある保険会社では、自動見積もりや契約内容の確認・定型の質問をLINEで受け付けている。ユーザーのアクションをとりこぼさず、有人で行っていた対応を自動化することでリソース不足も解消されるのだ。

LINEの友だち登録から顧客管理につなげる

 LINEの「友だち」は、情報を伝えるだけにとどまらない。リアルな顧客とオンラインのIDをつなげることは難しいとされてきたが、LINE ビジネスコネクトであればそれも簡単に実現できるという。

 例えばある自動車メーカーは、会員サイトを運営し既存のCRMデータを持つ。このデータと紐付いたQRコードを発行しておき、顧客が来店したときにLINEの友だち登録の案内を行う。すると、既存の顧客データとLINEアカウントが統合されるのだ。

 車検などのお知らせや来店促進のためのキャンペーンをLINEで案内することで、車の購入という行動頻度が限られている場合でも顧客とのつながりを継続的に保つことができる。各ディーラーが、その地域で作っていたコミュニティをLINEの活用でさらに強化している形だ。

 「LINEでつながると、お客様が必要なときにすぐにサポートできるという立ち位置も作れます。また、お客様により車検時期は違うと思いますが、Marketing Cloudにはオートメーションスクリプトという機能があります。対象のユーザーを自動的に抽出しパーソナライズしたメッセージやコンテンツを送ることができるため、One to Oneコミュニケーションを行う負担はありません」(笹氏)

 アパレルのイーグルリテイリングも、友だち登録で独自のバーコードを発行。会員カードとして使うことができるとともに、購買履歴に応じてクーポンが配信される仕組みを作った先駆けだ。ユーザーから見ると、個人情報の登録など面倒なステップがなく、企業アカウントと友だちになることのベネフィットも高くなる。この仕組みは、いまや多くの小売りやアパレル企業で使われるようになった。

 「自社のモバイルアプリでも会員管理やクーポンの配布はできますが、機種変更時にアプリの引き継ぎができないといった問題が発生するケースもあります。その点、LINEは日常的に使うからこそ引き継ぎの優先度も高く、個人情報などを扱わずに固定のアカウントで管理されている。ユーザーにとってゆるくつながっているという状態を作り出すのです」(笹氏)

LINEはコミュニケーションの心地よさを届ける

 企業ごとに様々な活用ができるLINE ビジネスコネクトだが、笹氏は導入にあたってのポイントをこう語る。

 「One to Oneでコミュニケーションをしたい、コンテンツを送りたいというときにLINEは重要なデジタルチャネルです。ゆえに、企業内にユーザーごとにコンテンツを出し分けるという基盤を作っていく必要があります。情報をセグメントする意識を持つことが大切です」(笹氏)

 LINE ビジネスコネクトによるOne to Oneコミュニケーションの次なるステップは、企業とユーザーの双方向コミュニケーションの強化だ。セールスフォースでは、カスタマーサービスのアプリケーションであるService CloudのLINE対応を進めている。

 企業がLINE ビジネスコネクトを通して行いたいコミュニケーションのすべてをバックアップしていくのが目標だ。また、グローバルのマーケティングプラットフォームとして越境ECを中心としたアジアでの展開も視野にいれている。特に、LINEの利用率が高い台湾・タイ・インドネシアを活性化させたいという。

 ユーザーと近いチャネルであるからこそ、コミュニケーションの心地よさが求められるLINE。自社のデジタルマーケティングの中で、LINEをどのような位置づけで活用するかが成功のカギとなる。

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