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シェア拡散されるブランドストーリー

なぜカンヌライオンズの最高賞「Fearless Girl」は、“銅像を置いた”だけで話題になった?

 毎回、様々なコンテンツを取り上げ、それらがシェアされる理由を分析してきた本連載。今回は「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」最高賞に当たる「チタニウム」でグランプリに輝いた「Fearless Girl」を取り上げ、なぜ話題になったのかをエンゲージメント数の視点から分析します。

カンヌ最高賞獲得作品を分析

 こんにちは、スパイスボックス副社長の物延秀(もののべ しゅう)です。その時々の時流に合わせ、コンテンツがシェア拡散される理由を分析してきた本連載。過去記事では、国内で最もシェア拡散した様々な広告事例の解説のほか、広告に限らず映画、音楽、選挙、メディアなど、幅広い視点でコンテンツがシェア拡散される理由や背景を紐解いてきました。(連載記事の一覧はこちら)。

 今回は、6月に開催された広告・クリエイティブの祭典「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(以下、カンヌライオンズ)」で「グラス」「PR」「アウトドア広告」の3部門でグランプリを獲得したほか、最高賞に当たる「チタニウム」でもグランプリに輝いた「Fearless Girl」を取り上げます。米国社会で大きな話題をさらったこのコミュニケーション施策が、実際にどのように生活者の間で話題を形成していったのか、エンゲージメント数を指標に分析します。

※エンゲージメント数:「いいね」やシェア、コメント、リツイートなどFacebook、Twitter、Instagramでの総アクション数に加え、対象コンテンツについて取り上げた記事やSNS上における口コミなどの総数。スパイスボックスの独自ツールにて計測。

「Fearless Girl」とはどんな作品?

 世界の数ある広告祭のなかでも、エントリー数、来場者数ともに世界最大規模を誇る「カンヌライオンズ」が今年も開催されました。2011年から、それまでの呼称であった「カンヌ国際広告祭」から“広告”の文字が取れ、既存の広告の枠組みを超えたクリエイティビティを表彰するアワードとなった同賞。現在では、受賞作と共に発せられる、今後のクリエイティブ潮流に関するメッセージにも一層の注目が集まるようになっています。

 今年の「カンヌライオンズ」で最も注目されたのが「Fearless Girl」です。同施策は、米国の金融会社「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ」が手がけた企業コミュニケーションとしての取り組みです。

 「グラス」「アウトドア」「PR」の3部門のグランプリを総なめにしたほか、カンヌライオンズの最高賞に当たる「チタニウム」でもグランプリに輝きました。まずは施策に関する動画をご覧ください。

 同施策では、米国の富や権力が集まるニューヨークの金融街、ウォール・ストリートの象徴である雄牛の銅像「チャージング・ブル」に相対する形で、少女の銅像が設置されました。巨大な雄牛に、体の小さな少女が勇気を振り絞って立ち向かうかのような銅像は、3月8日の「国際女性デー」の前日に突如現れ、米国国内に留まらず世界中の人々を驚かせました。

 この施策について、制作した金融会社の担当者は「企業の役員会の女性比率の低さや、金融業界における女性の給与の不平等に注目を集める(ロイターの記事より、2017年3月8日、http://jp.reuters.com/article/womens-day-girl-statue-idJPKBN16F0PV)」ことを目的として実施したと語っています。

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この記事の著者

物延 秀(モノノベシュウ)

スパイスボックス 副社長。2006年スパイスボックス入社。プロデューサーとして大手企業のデジタル・コミュニケーションをワンストップで支援し、2012年以降はソーシャルメディアを中心とした「共感」と「話題」を生むコンテンツのプランニングとプロデュース、自社ソリューション開発を統括。2016年に事業統括責任者および執行役員に就任。2017年より現職。自社サービス:インフルエンサーマーケティング支援「TELLER」、コンテンツマーケティング支援「BRAND SHARE」、ROI分析プラットフォーム「THINK」、自社メディア:「newStory」自著:『新ヒットの方程式』~ソーシャルメディア時代は、「モノ」を売るな「共感」を売れ!~(宝島社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/07/31 10:00 https://markezine.jp/article/detail/26852

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