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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

なぜカンヌライオンズの最高賞「Fearless Girl」は、“銅像を置いた”だけで話題になった?

驚くべきエンゲージメント数

 施策のアイデアが斬新でユニークなのはもちろんのことですが、評価されたポイントの1つが、多くの人を巻き込んで議論を起こした圧倒的な話題性です。SNS上でのエンゲージメント数は590万超という驚くべき数値を叩き出しました。

 「少女の銅像を設置する」という非常にシンプルな施策でありながらも、およそ600万人近い人々がSNS上で能動的にアクションをしているというのは、壮大なスケールでの話題化につながったといえます。

 ちなみに、本連載で過去に掲載した映画「君の名は。」を分析した際、日本国内で発生した大量のオーガニックな口コミ(エンゲージメント)が大ヒットの要因だと紹介しました。それでも、数字としては200万エンゲージメント程度でした。英語圏と日本語圏の人口の差もありますが、この「Fearless Girl」のエンゲージメント数の大きさがご理解いただけると思います。

エンゲージメント獲得につながった2つの理由とは

 では、なぜ、これほど多数のエンゲージメントを獲得することができたのでしょうか?その要因として影響が大きいのは、以下の2点だと考えます。

1.口コミ(エンゲージメント)が発生しやすいフォトスポットの狙い撃ち

2.炎上と賞賛のスパイラル的な議論の喚起

 1つは、非常にわかりやすい要因ですが、ウォール・ストリート近くに設置されている雄牛の銅像「チャージング・ブル」が、元々とても有名な観光スポットだったという点です。芸術家アルトゥロ・ディ・モディカ氏によって制作され、いわゆるブラックマンデー後の1989年に同氏によってゲリラ的に設置されました。その後、ニューヨーク市から正式な設置許可を獲得。“大暴落からの復活”“金融市場の上昇”を象徴する銅像として多くのアメリカ人に愛され、今では世界中の観光客が写真を撮ってSNSにアップする名所となりました。そこに“相乗り”したことが、膨大なエンゲージメント数を獲得した要因の1つとして挙げられます。

 日本で考えた場合、渋谷のハチ公像や道頓堀のグリコ看板を使った企画を実施することに近いです。渋谷のハチ公像は利用するための許可が得にくいので広告事例がほとんどありませんが、2016年3月に東京で大雪が降った翌日に誰かがハチ公像とそっくりの雪だるまを作って大きな話題となりました。

 また、グリコ看板が綾瀬はるかさんの特別工事幕に変わったタイミングでも、SNS上に記念撮影の投稿がアップされ、多くのエンゲージメントを獲得していたことがあります。

 こういった事例からも、生活者がスマホで記念撮影してSNSにアップしやすい、“エンゲージメント・ポテンシャルが高い”スポットにアプローチすることは、SNS上での情報拡散が狙いやすくなる効果があるといえるでしょう。

次のページ
「炎上」と「賞賛」が加速させるエンゲージメント

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この記事の著者

物延 秀(モノノベシュウ)

スパイスボックス 副社長。2006年スパイスボックス入社。プロデューサーとして大手企業のデジタル・コミュニケーションをワンストップで支援し、2012年以降はソーシャルメディアを中心とした「共感」と「話題」を生むコンテンツのプランニングとプロデュース、自社ソリューション開発を統括。2016年に事業統括責任者および執行役員に就任。2017年より現職。自社サービス:インフルエンサーマーケティング支援「TELLER」、コンテンツマーケティング支援「BRAND SHARE」、ROI分析プラットフォーム「THINK」、自社メディア:「newStory」自著:『新ヒットの方程式』~ソーシャルメディア時代は、「モノ」を売るな「共感」を売れ!~(宝島社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/07/31 10:00 https://markezine.jp/article/detail/26852

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