もっと早く知りたかった、ジェフ・ベソスも進めた1冊
1冊目にご紹介するのは、『データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標』です。同書は2011年、アメリカ・マーケティング協会(AMA)の最優秀マーケティング・ブックに選出され、米AmazonのCEOであるジェフ・ベソス氏が選んだビジネス書12タイトルのうちの1冊にもなっています。
同書を月初から読みこんでほしい理由は大きく2つあります。1つは「2010年の書籍であるにも拘わらず、内容が古びていない点」、そしてもう1つは「データ・ドリブン・マーケティングを進める上で必要な指標がわかる点」です。
まず「2010年の書籍であるにもかかわらず、内容が古びていない点」ですが、同書は2010年に米国で発売されていたこともあり、紹介される事例は2008年から2009年あたりのものがほとんどでした。これだけ聞くと、「新鮮な情報がなさそう……」と思われてしまいそうですが、そうではありません。よく米国でのマーケティングが進んでいるといわれることがありますが、それが本当に実感できるんです。実際に私がここ1年以内に取材にいったときの内容と近い話が、2010年の米国では既に書籍になっていたと思うと、驚きを隠せませんでした。
続いて、「データ・ドリブン・マーケティングを進める上で必要な指標がわかる点」ですが、同書では著者のマーク・ジェフリー氏がデータ・ドリブン・マーケティングに必要な15の指標について解説しています。この中にはクリック単価(CPC)や広告費用対効果(ROAS)といった既におなじみの指標から、最近デジタルマーケティング界隈で話題となっているブランド認知率など、様々なものが含まれています。
これらの指標がどんなものかを説明するのはもちろん、なぜ重要なのか、どう活用すべきかをボリュームを割いて説明している点がとても勉強になります。日本におけるマーケティングのデジタル化の遅さに危機感を覚えられると同時に、データ・ドリブン・マーケティングの推進に必要な指標が理解できる同書、おすすめです。
マーケティングオートメーションを幻にしないための1冊
2冊目に紹介するのは、『マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』です。同氏の著者は電通のマーケティングソリューション局次長、電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)専務取締役などの経歴を持つ、小川共和氏。現在は小川事務所の代表、またマルケトの顧問なども務めており、マーケティングオートメーション(以下、MA)に関するノウハウを持った人物といえます。
同書を月初からじっくり読んでほしいのは、「MAが机上の空論にならぬよう、地に足のついた解説がされている」からです。
MAという言葉を訳すと「マーケティングの自動化」。この意味合いが一人歩きしてしまって、マーケティングオートメーションツールを導入すれば効果が上がるという幻想を持っている、もしくは過去に持っていたマーケターの方も多いのではないでしょうか。また、上手くいってもメールマーケティングの延長線上にとどまるような施策しかできていないケースも多く見受けられます。これらの課題感については同書でも語られています。
そこで本書は、MAを適切に機能させるための、カスタマージャーニーの作り方を解説しています。たとえば、消費者が商品や企業に抱いている気持ち(同書の言葉ではパーセプション)が変化したかどうかを判断するために使える、自動的に計測可能な行動データを提示しています。この発想はMAを適切に機能させるということが前提にないと出てこないと思います。
MAを導入したい、導入しているが上手くいっていない、もしくはメールマーケティングの延長線上にとどまってしまっている、という方は月初からじっくり読みこんで、今後のマーケティング活動の中で反映させてみてはいかがでしょうか。