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popInと探るマーケティングの新潮流(AD)

1年で150%拡大!popInとantenna*に学ぶコンテンツマーケ関連市場の新潮流と成功の秘訣

 一方向的な広告が届きにくくなっている今、受け手が「読みたい」「知りたい」と能動的に接触してくれるコンテンツをきっかけにメッセージを伝えるコンテンツマーケティングの手法が、ますます注目されている。そこで、レコメンドウィジェットを提供するpopIn(ポップイン)と、キュレーションメディア「antenna*」を運営するグライダーアソシエイツは7月末、「明日役に立つコンテンツマーケティングセミナー」を共催。大手メーカーや劇場公開映画などのプロモーション事例を交えて、同手法の4つのポイントと、新たに重要な概念として「アテンション・インプレッション」を紹介した。

コンテンツマーケティング関連市場は150%前後で一気に拡大!

(左上)株式会社グライダーアソシエイツ プロダクト本部オペレーション部シニアディレクター 中野挙太氏(右上)popIn株式会社 取締役副社長 高橋大介氏(左下)株式会社グライダーアソシエイツ マーケティング本部長 執行役員 山下誠氏(右上)popIn株式会社 アカウントエグゼクティブ 高橋徹氏
(左上)株式会社グライダーアソシエイツ プロダクト本部 オペレーション部 シニアディレクター 中野拳太氏
(左下)popIn株式会社 取締役副社長 高橋大介氏
(右下)株式会社グライダーアソシエイツ 執行役員 マーケティング本部長 山下誠氏
(右上)popIn株式会社 アカウンドエグゼクティブ 高橋徹氏

 生活者は今、日々膨大な量の情報に接触している。しかしその接触の仕方は、旧来の4マス媒体から一方向的に情報を受け取るのとは打って変わり、欲しい情報を欲しいタイミングで能動的に摂取している。その背景にネットの普及があるのは当然だが、さらにスマートフォンの浸透によってこの傾向はますます加速している。

 では、そんな中で潜在顧客と出会い、エンゲージメントを築くにはどうしたらいいのだろうか? その解のひとつとして注目されているのが、コンテンツマーケティングだ。ターゲットが「欲しい」と感じるコンテンツを仕立て、それを介して商品やサービスの認知につなげる、あるいは本当に伝えたいメッセージを訴求するといった方法である。

 実際に市場規模も拡大しており、2015年~2016年で113%伸長したネット広告費の中でも、クラウドソーシング関連やインフィード広告、動画広告といったコンテンツマーケティングに関わる項目は軒並み150%前後で伸びている

 今回、メディアと企業の両方に向き合って事業を展開するpopInと、キュレーションメディア「antenna*」を展開するグライダーアソシエイツは、それぞれの立場で企業のコンテンツマーケティングを支援してきた実績を元に、同手法の成功事例を共有するセミナーを開催した。両社は、ユーザーにしっかりと読まれてこそコンテンツマーケティングの成果が上がるという考えが一致したことから、記事制作と配信・集客、効果測定までの流れの協業を始めている。

ユーザー満足度は広告主に還元される!?

 popInは東大発のベンチャー企業として設立され、メディア向けにレコメンドウィジェットや、記事の読了状況を示す独自の指標「READ」を用いた調査レポートを提供する傍ら、広告主・代理店向けには国内430メディアを抱える「popIn Discovery」を提供。また、縦型動画の制作から配信、分析までをワンストップで手がけている。2015年にはBaidu Japanと経営統合し、同社のAI技術を適用して技術開発をさらに進めている状況だ。

 popIn取締役副社長の高橋大介氏は、「当社では『popInはメディアの価値を証明する』というビジョンを掲げています。コンテンツと広告がマッチし、それがユーザーにとって満足度が高いほど、広告主の事業に貢献できる。そうなると結果的にメディアの価値も向上します」と語る。そうした考えの下、ビューアビリティ100%を保証し、ブランドセーフティーにもこだわっている

 方や、350以上の提携メディアから預かる記事を独自に編成・配信する「antenna*」は現在、月間アクティブユーザー200万人以上を擁する。広告主にはスポット広告のほかに、曜日ごとに朝・昼・夜の計21枠を設定しているタイム広告を提供。広告主が提携メディアに出稿したタイアップ記事や、主催イベントのレポート記事なども含めてコンテンツを集積する「特集」を組むことで、ブランドの世界観を訴求できるのが特徴的だ。最近では動画広告の制作にも力を入れている。

 グライダーアソシエイツのマーケティング本部長、山下誠氏は、広告主企業にとってのantenna*の存在を「BRAND STUDIO」という言葉で表し、「コンテンツの企画・制作から配信、データ収集まで一貫して任せられる存在を目指している」と語る。

 両社によると、コンテンツマーケティングのポイントは以下の4つに集約できるという。それぞれの重要性が、事例を交えて紹介された。

  1. ターゲット
  2. モーメント
  3. プレイス
  4. クリエイティブ

車購入の決定権は「奥様」にある? ターゲットを見定めたPR事例

 まず考えるべきは、ターゲット。山下氏は、コンテンツマーケティングが普及してきた理由のひとつとして「パーソナルな端末であるスマホやタブレットが浸透した」ことを指摘する。

 スマホは個人が自由に好きなものを集め、好きな情報を取得できるデバイスだ。「そうした場で、企業が一方的にメッセージを発信しているような広告だと、接しても要らないものと受け止められてしまいます。特にスマホがパーソナルな端末であることを踏まえると、接触したいターゲットが何を知りたいのかを見極めて、それを届けるという発想へ考え方を変える必要があります」(山下氏)。

 コンテンツマーケティングと一口にいっても、企業の課題や目的によって、どういう段階の人たちに向けて展開するのかが大きく異なる。パーチェスファネルを大まかにブランド認知、理解促進、購買、そして購買後のロイヤルティ醸成の4段階に分けると、特にantenna*が得意とするのは理解促進とロイヤルティ醸成の2フェーズだという。

 たとえば、既婚男性が自動車を購入する場合、妻の意見も大きく影響することから、とある車ブランドはantenna*で、車種のプロモーション動画を若い女性向けに配信。人気のインフルエンサーを起用し、そのライフスタイルの中で該当車種を情緒的に描き出すことで、ブランドへの共感を呼んだ。企業から見てどのような段階のターゲットにアプローチしたいのか、そのターゲットはどういう情報や表現を欲しているのかを見定めて展開した好例だ。

曜日や時間帯でユーザーのモチベーションはまったく異なる

 次のポイントは、モーメント。グライダーアソシエイツの中野拳太氏は、「24時間接触しているスマホだけに、たとえ同じようにantenna*を閲覧していても、時間帯が朝なのか夜なのか、また平日なのか週末なのかよって、ユーザーのモチベーションは大きく異なります」と解説する。

 曜日別・時間帯別にスポンサードする前述のタイム広告は、これを活かした仕組みだ。たとえば某時計ブランドの訴求にあたっては、ある平日夜の時間帯をスポンサードし、antenna*内の男性向けチャンネルにて「男の欲求をかき立てるアイテム」というテーマで特集を展開している。

 この曜日・時間帯を選定したことには意図がある。カジュアルなデザインから週末用のアイテムというイメージが強い同ブランドだが、ビジネスユースにも十分対応できることを訴求するために、週の半ばを選び、かつビジネスマンに読まれやすい夜の時間帯としたのだ。ちなみにこの企画は訴求する時計を選ぶところから、タイアップするメディアの選定、制作のディレクションまでをantenna*で手がけている。

 3つ目のポイントはプレイスだ。まず、言わずもがな、コンテンツの配信先を見極めることは、今やブランドセーフティーの点から欠かせない要素だろう。popIn、antenna*ともに、提携メディアを厳選しているため、ブランドに好ましくない出面に広告やコンテンツが配信されることはなく、それが多くのブランド企業から選ばれている要因にもなっている。

目的にあった掲載メディアの見極めとは?

 加えて、コンテンツマーケティングにおいて、ターゲットとモーメントの最適化を考えると「コンテンツと配信場所とのマッチングが重要」と、popInで営業を担当する高橋徹氏は強調する。

 たとえば某大手住宅設備メーカーは、住宅購入やリフォームを検討しているターゲットにブランドを想起してもらうためにオウンドメディアを展開していたが、すでにブランド想起できる層にはアプローチできても、想起に至らない層には接触できていなかった。

 そこでpopInでは、掲載メディアの配信面を該当オウンドメディアの記事コンテンツと親和性が高い、たとえば「住まい・ライフスタイル」に関連する記事を読み終わった際に接触するレコメンドウィジェットに、同メーカーの記事コンテンツ型のネイティブ広告を配信。こうしてテーマに関心の高いユーザーを送客した結果、直帰率の減少や回遊率の向上といった効果があったという。つまり、より有望な潜在顧客を集客できたということだ。

 さらに、他のブランドが運営するオウンドメディアでは、popInのREAD技術により記事を分析し、「読者満足度の高い記事」を毎日自動的に評価し、ネイティブ広告から該当記事へ送客している。効果が高いコンテンツを選定し、最適な場所とマッチングさせることで、ユーザーの回遊率向上に繋がっているという。

 最後のポイントは、クリエイティブ。当然ながら、ユーザーの意欲的な閲覧を引き出すために重要である。スマホ向けの動画広告は多く存在するが、このような場では、見られる前提の動画の内容ばかりが語られている印象がある。

 そんな中、popInでは”動画広告を見てもらうこと”を一番のハードルとしてあげており、動画開始の0~2秒を突破できるコンテンツとなる動画広告を作成し、提供している。

 実際に紹介していたものは、”情熱大陸などの番宣動画や映画の告知動画”など。すべての動画で最初のインパクトを重要視したものとなっており、アプリが勝手に開いたりメッセージが届いたりといったスマホのインターフェースを活かしたクリエイティブに仕立てられていた。

 また、まさにこの夏に公開した『トランスフォーマー/最後の騎士王』の動画広告も斬新だ。(参考記事)。

大切なのは「先につながるアテンション」新たな概念の確立へ

 以上、4つのポイントごとに事例を紹介したが、もちろんどの事例も4要素を複合的かつ緻密に組み合わせて企画されている。そして、これらの要素を踏まえて両社が提案するのは、コンテンツマーケティングを従来のCPCやCTRだけでなく、ユーザーの満足度を加味した新たな概念アテンション・インプレッション」で捉えようという考えだ。

 popIn副社長の高橋氏は「ブランドセーフティーやクリエイティブ、モーメントなどをすべて加味してコンテンツを評価するには、従来の指標だけでは不十分です。前述のREADという技術で記事の満足度を分析するだけでなく、antenna*との連携で いかに先につながるアテンションを獲得できたかという意味を込めた『アテンション・インプレッション』という概念をこれから確立したいと考えています」と語る。

 両社の取り組みは、既に実例が運用されている。たとえば、ヘアケア・ボディケア商品など多数のブランドを展開する企業は、各ブランドの理解促進と購入後のロイヤルティ醸成を目的に、antenna*にてある平日の昼の時間帯をタイムスポンサードしている。同時に、antenna*で制作したタイアップ記事コンテンツへ、popInの配信ネットワークからも誘導をかけている。popInでは広告主の価値観に合うメディアを選定し、配信時にブランドセーフティ機能を適用。両社でCPC、CTRだけでなく複数指標を把握してPDCAを回したところ、CTRは約350%、クリック後のページ回遊率も約200%にまで伸びたという。

 両社は今後も「良質なコンテンツを適切なユーザーへ届けること」をベースに、コンテンツマーケティングの効果的なノウハウや事例を蓄積していく。その分析から、新たな知見の発表が待たれるところだ。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/08/30 11:00 https://markezine.jp/article/detail/26924