「Z世代」が生まれ育った生活環境
1980年代~90年代半ば生まれのミレニアル世代に続き、1997年~2005年頃に生まれた(現在12~20歳)の「ジェネレーションZ(Z世代)」がティーンエイジャーになった現在、彼らの購買力は米国で440億ドルに達したと言われている。彼らが何者で、何を欲しがっているのかを知ることは、マーケティング戦略を練るのに重要なカギとなっている。
コンサルティング会社アーンスト・アンド・ヤング(EY)のレポートを中心に、Z世代の特徴と、彼らを対象としたマーケティング戦略を紹介する。
1990年代後半以降に生まれたZ世代が育った環境は、常に乱気流と不安定の中にあった。2001年のアメリカの同時多発テロ以降、テロリストとの闘いが始まったほか、アメリカでは1930年以来最悪の失業率を記録するという経済的にも厳しい環境にあった。また、学校でも銃撃事件が相次いだり、オンラインのいじめによる個人的な危害への脅威が高まったりした。
一方で、Z世代が小中学生の時期にオバマ前大統領がアフリカ系アメリカ人として初めて大統領に就任。これまで無視されてきた「いじめ」も積極的に話し合われるようになったほか、ジェンダーに対する意識も流動的となり、これまでにない「寛容」の精神が高まった。
そして何よりも、彼らが育った環境には常にソーシャルメディアやタブレット、スマートフォン、といった新しいテクノロジーが溢れていた。ミレニアル世代もデジタル化の波の中で成長してきたが、Z世代は生まれた時からインターネットのある暮らしをしてきた真のデジタルネイティブ。問題に直面した時、誰かに質問するのではなく、常にオンラインで答えを探し出すし、リアルライフよりデジタルを通じたコミュニケーションの方を好む傾向にあるという。
このような環境の中では、子供に対する両親の態度も変わった。ミレニアル世代の両親が子供を保護するのに注力したのに対し、Z世代の両親はむしろ子供に危険の回避や危険への対処方法を教える。子供への期待感は高く、彼らを大人のように扱っているという。