SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

カスタマージャーニーマップ作成・活用事例(AD)

コールセンターこそCX向上の鍵を握る!損害保険ジャパン日本興亜の奮闘とカスタマージャーニーマップ活用

「お客さま」を主語にした改善提案が可能に

 ここまでを総括すると、CC企画部が、数々の試行錯誤を通じて、顧客になりきり、顧客感情の可視化をファクトベースで徹底検証し、分析結果の裏づけとしてCJMに表現したといえる。

 CJMは実在する顧客の困りごとそのものであり、可視化こそ「お客さまのことを一番よく知る部門になる」ための第一歩であるわけだ。

 こうした取り組みが、全国のコールセンターに波及。7月には全国のコールセンター内のCX担当者が一堂に会する会議を開催し、ファクトベースのCJM作りなど、ブレのないCX向上策推進を行った。

 「今秋時点で20件以上のCJM(=困りごとと、それにまつわる仮説)が完成しました。全国のコールセンターメンバーが力を結集してくれた結果です。各コールセンターにおける提言書作成はとても大変だったと思いますが、お客さまの真因を把握して、「お客さまのお困りごと(ペインポイント)」を明確に可視化することができたと思います。さらに“お客さまが●●●だから、XXXすることで課題解決でき、年間△△△円のコストを削減できる”などと、お客さまを主語として経済効果も示せる改善提案が可能になりました」(坂上氏)

 改善とは名ばかりで関連部署に面倒事を押し付けるような提案ではどの部署も動いてくれない。CC企画部に集まってくる顧客の困りごとをファクトベースのCJMによって可視化し、それに基づいた改善提案は提案された部署にとっても受け入れやすい。

お客さまのことを最も知っている部門として

 次の目標は、浮かび上がった課題をCC企画部が一丸となって改善提案先となる他部署に連携し、早期に解決の方向性を導出することだという。ここでポイントとなるのは、提案を受けた関連部に共感してもらうことが大前提であることだ。提案と改善を通して「自分たちが一番お客さまのことを知っている部門」として社内に認識してもらうことで、CC企画部がプロフィットセンターでありマーケティングセンターであることの体現となる。

 「単なる定量データの集計だけではダメなんです。定性データの定量化が必要です。その実践があってこそが、CXのための改善提案が出せるのであり、いつでも“一番お客さまのことを知っています”と言い切れる部門へと脱皮できるのです」(坂上氏)

今回の取り組みから得た知見
今回の取り組みから得た知見

 最後に両氏の立場からも、今後の課題や展望を語ってもらった。

 「まず私が直接担当している各種WebページやWeb完結型の海外旅行保険等から課題解消に向けた動きに着手しているところです。今後もCXの改善が経営に反映されることを示しながら、お客さまも担当部署も経営層も三方良しとなる関係性を作れるようにしたいです」(河原氏)

  「お客さまになりきった先に見えてくるCXの追究が、ブランディングにもつながります。今後もこのようなCX向上策の取り組みを継続していきたいと考えています」(坂上氏)

 カスタマージャーニー研究プロジェクトメモ

 カスタマージャーニーマップは、フレームワークを使って最適な顧客コミュニケーションとは何か? という仮説を構築していくプロセスです。今回の損保ジャパン日本興亜さんの例は、架空の顧客ペルソナをスタートにすることではなく、事実ベースで顧客の課題を落とし込んだアプローチ。お客さまになりきって描いたCJM=仮説は、現実の課題を解決する強力な武器になると言えるでしょう。
 損保ジャパン日本興亜さんのCJM活用方法は、示唆に富んだ好例として非常に参考になるのではないでしょうか。

カスタマージャーニー研究プロジェクトとは?
MarkeZine編集部とセールスフォース・ドットコム マーケティングディレクターとして、各企業とジャーニーを研究してきた加藤希尊氏を中心に共同でカスタマージャーニー研究プロジェクトを立ち上げました。本プロジェクトでは、「顧客視点のマーケティング」における成功例を取り上げ、様々なアプローチ方法をご紹介していきます。
カスタマージャーニーマップ作成の事例はこちら
カスタマージャーニーマップを作成した上で、活用している事例はこちらでご覧いただけます。

「マーケティング最新事情レポート」(全49ページ)で
世界3500人のマーケティングリーダーのインサイトをチェック!

 世界中のマーケティングリーダーを対象に毎年Salesforceが実施している市場調査。その最新の調査結果から明らかになったマーケティングトレンドや、高い成果を上げているマーケティングチームの共通点などをまとめたレポートです。

 * ‪マーケティング業界に波及するAI革命‬
 * ‪加速するマーケティング組織変革‬
 * ‪カスタマージャーニーの進化を阻むデータ管理の問題‬

 その他、最先端のマーケティングインサイトをぜひ、ご覧ください!
 ダウンロードはこちらから

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
カスタマージャーニーマップ作成・活用事例連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

加藤 希尊(カトウ ミコト)

チーターデジタル株式会社 副社長 兼 CMO
広告代理店と広告主、BtoCとBtoB両方の経験を持つプロフェッショナルマーケター。WPPグループに12年勤務し、化粧品やITなど、14業種において100以上のマーケティング施策を展開。2012年よりセールスフォース・ドットコムに参画し、日本におけるマーケティングオートメ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2017/11/24 11:00 https://markezine.jp/article/detail/27305

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング