マス広告だけでは取れない層へのリーチ拡大を狙う、パナソニックのチャレンジ
では、ブランディングにおけるTwitter活用として具体的にどのようなことができるだろうか? パナソニックの事例を紹介したい。
自身もプライベートではTwitterで知り合った母親同士のオフ会に参加し、利用者としてTwitterのおもしろさを感じているという上野氏。2016年9月からオウンドメディア『すむすむ』の公式Twitterアカウント(@sumai_panasonic)を開設・運用している。
消費者が情報検索ツールとしても活用しているSNSで住まい関連情報を発信することで、「Panasonic=住まい」の認知を向上させるとともに、オウンドメディアとしてプロモーション活用や誘客、ユーザーとの双方向コミュニケーションを図ることが目的だ。
そこで、「オウンドメディアの価値向上」・「SNSの効果的な運用方法」・「生活者の声を集め商品化につなげる」の3点を意識した施策を実施している。
たとえば、テレビCMと連動したTwitterキャンペーンでは、雑誌のようなクリエイティブやアンケートを使ったプレゼント企画など、利用者が公式アカウントへリプライをしてみたくなる仕掛けを取り入れた。
\ #スキマのないトイレ /フォロー&RTキャンペーン実施中!
— Panasonicの「すむすむ」 (@sumai_panasonic) 2017年1月25日
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「Twitterに期待することは、マス広告だけでは取りきれない層へのリーチ拡大です。『すむすむ』は新しいメディアなので、売上やブランドの認知に影響をしているのかという成果は問われます。評価指標は検討しながらですが、主にリーチとツイート数、シェア数をKPIとしています」と語る上野氏。この取り組みではフォロワーを増やすのではなく、会話が生まれることを軸にコミュニケーションが設計された。
料理動画メディア「Tastemade」ともコラボレーションを実施している。この取り組みでの訴求商材は、IHのクッキングヒーターだ。これまでシニア世代をターゲットとしていたが、住宅購入などでライフスタイルが変わる30〜40代にもプロモーションを行った。
「TastemadeさんにIHクッキングヒーターを使うレシピと、動画を作っていただきました。ビデオウェブサイトカードで配信し『レシピの料理を作ったらツイートしてね』という会話が生まれるようなテキストも入れています。Tastemadeの世界観を通し、IHクッキングヒーターをご紹介いただいたことが良かったと感じています」(上野氏)
【グリルでぐつぐつ】こんがりサバの黒こしょう炊き込みご飯
— テイストメイド ジャパン (@Tastemade_japan) 2017年6月21日
美味しそうと思ったらリツイート
レシピはこちらhttps://t.co/wWn9dwq02y
#PR #Panasonic #ラクッキングリル pic.twitter.com/LGNgabbuWK
さらにプロモライブビデオにもチャレンジ。上野氏がスマートフォンのカメラを回し、同社が出展する照明器具の展示会の様子を配信した。この試みではリアルタイムで200名近い利用者が視聴している。
積極的にTwitterを活用しているパナソニック。「まずは低コストで行い、事例を積み重ねることです。実績を作ることで、Twitterの良さが社内で理解していただけるようになります」と上野氏はアドバイスする。
今後はリアルとTwitterを連動させたキャンペーンを行いたいと考えているという。リアルの場で体験した共感を、SNSで広めたい狙いだ。
また「マス広告・イベントありきのキャンペーンのサポートとしてTwitterを利用するのではなく、Twitterを中心とする企画にも挑戦していきたい」と語り、セッションを終えた。