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アドテック東京 2017

デジタルありきのマーケティングは限界 飲食各社に学ぶデジタルとブランディングの融合

メーカーが顧客の購買情報を知る方法

 手法として定着してきた動画プロモーションも、話題性と実利をどうみるかが難しい。大洞氏は3年ほど前におこなった、動画インフルエンサーを起用した施策を例に挙げる。店舗で撮影したその動画は大きな話題になり、再生回数も予想をはるかに上回った。

 「これで来店数や売上にも追い風だと期待したが、結果的に売上的にはまったく“無風”。『Web動画は当社に合わないのでは』という空気が流れてしまった。テレビCMはGRPの分だけ反響があり、細かに計測もしているので、このときの教訓は施策の落としどころを設定すべきだったこと。再生回数のその先を絞り込む必要があった」と大洞氏は振り返る。

 マスもデジタルも横断的に担う大洞氏に対し、デジタル担当の平尾氏は、「自販機以外の販売チャネルは間接的になってしまうこともあって、デジタルが売上にどう反映しているかの説明はとても難しい」と話す。これは、特にメーカーでは永遠のテーマだと徳力氏。

 一方、手応えを得ている施策という2つ目のテーマに、平尾氏は自身が担当する自販機連動アプリ「Coke ON」を挙げる。現在、全国98万台の自販機のうち20万台がCoke ON対応機だ。Coke ONを介して得られるユーザー情報を分析し、それをヒントにすでに施策も生まれている。たとえばこの夏は、アクエリアスの熱中症対策キャンペーンの一貫として、一定の気温を超えると商品を入手できるという自販機サンプリングを実施した。

 ユーザーが何を買っているのかを起点に、施策を考えられるようになったことで、「施策も思考プロセスもとてもシンプルになった」と平尾氏。より個人に近づくことで使い勝手を向上させ、体験の質も高められるように、9月にアプリをリニューアルした。購買履歴を元に、パーソナルな情報提供を始めている。

「#鴨ねぎカモン」のタグ指定に1,000投稿

 顧客を理解した上で接触し、また顧客自身も購入履歴を見ることで自分を理解して、ブランドへの愛着が増していく。これを徳力氏は、「ある意味でデジタルマーケティングの神髄。なかなか一足飛びにはいかないが、こうした構造を目指すといいと思う」と評する。

 丸亀製麺では、テレビCMから店頭へつなげ、POPからデジタルへ誘引して関係を深くしていくという連携に取り組んでいる。女優の壇れいさんが登場するテレビCMは15秒と短く、出稿も限られるため、ブランディングと販促を兼ねた策として、店内の内装とリンクした江戸の世界観を表現。厨房のセットも、すべて実店舗と同じというこだわりだ。店舗では、POPで特定のハッシュタグを指定し、TwitterとInstagramへの写真投稿を呼びかけている。「たとえば今年1月〜3月に限定販売した鴨ねぎうどんのプロモーションでは『#鴨ねぎカモン』と指定して投稿を促したところ、1,000以上のタグ付き投稿があった」と大洞氏(以下はユーザー投稿写真)。

 老若男女が来店する店だけに、Instagramなどを使ったことのない人にも興味を持ってもらえればと、POPで撮り方もレクチャー。「これが初投稿!」という人もいたという。デジタルでは別途、昨年から「丸亀製麺試食部」というファン育成施策を展開し、部員を新メニューの試食会などに招待している。気軽に入れる街の飲食店ならではのリアル接点を活かし、デジタルが得意とする恒常的なコミュニケーションを図り、エンゲージメント構築へとつなげている。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/17 11:00 https://markezine.jp/article/detail/27450

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