家庭向け音声エージェントの市場拡大:日本ではこれから
家庭向け音声エージェントの市場が生まれたのは、Amazonが第1世代のEchoをリリースした2014年だ。第2世代となるEcho Dotが発売されたことで、この市場は拡大。
2016年には、ホリデーシーズンの間際に発売されたEcho Dotが、49.99ドルという割安な価格設定も相まって大きな販売増を記録した。さらに、7月12日のAmazonプライムデーには、Echoデバイスの大幅な値引きにより市場は再び大きく盛り上がったという。

米国では、音声対応スピーカーと連携するAmazon Alexaアプリのダウンロード数が、50ドル弱のEcho Dotが発売された2016年10月から上昇傾向になり、 ホリデーシーズンとAmazonプライムデーの頃に急増したという。
2018年には最近発売された49ドルのGoogle Home Miniを始め、AppleやSamsung、中国の巨大企業であるAlibabaやBaiduといった新規参入組によって、家庭向け音声エージェントの販売はさらに拡大すると見込まれる。
しかし2018年の時点では、その用途は、音楽の再生、基本的なWeb検索、実用的な用途など限定的になると見られる。技術に詳しいユーザーが照明・空調・AV機器の操作などを模索するなかで他のコネクテッドホームデバイスの導入が増えていくとApp Annieは予測している。
滝澤氏は「日本ではまだ始まったばかりの市場です。音声エージェントが日本で一過性の話題として終わらないためには、日常生活で生活者が使い続ける機会をメーカー側がいかに提供できるかが重要です。Google Home、Alexa、LINE Clova等ありますが、音声入力の精度はもちろん、他サービスとの連携を強化して、いかに日常生活にとけこめるか。また、このデバイスは複数サービスを使い分けるものではないので、早期参入して最初にシェアを獲得することが大事になります」と語っている。
小売業のカスタマージャーニー:モバイルアプリ中心へと躍進
モバイルは近年、小売のカスタマージャーニーにおいてますます中心的な役割を担うようになっている。主に実店舗内で買い物をする際に、価格・商品情報・レビュを表示するサービスからスタートしたモバイルアプリは、今やそれ自体でショッピングを完結できるチャネルになっている。加えて、従来の実店舗型の小売業者が、カスタマージャーニーをさらに発展させるためにアプリを採用している。

これまで、実店舗&オンライン併用型の小売店とデジタルファーストの小売店を区別することは簡単だったが、買収、提携、イノベーションによって、その境界線はあいまいになっている。こうした動きは、店舗での買い物、自宅での買い物、商品の配達など、小売ビジネスにおけるカスタマージャーニーのあらゆる場面に影響を与えている。
2018年には、こうした変化のために消費者の買い物習慣が変化して、小売店と消費者の関係が見直されるだけでなく、既存の小売チャネル(モバイルアプリ、Web、実店舗など)の存在意義さえ変化し始めると考えられる。
たとえば中国で見られるように欧米市場でも、モバイルで購入した商品の受取場所として実店舗が使われるケースが増えるだろう。また、精算や支払いの処理に長い間使われてきたレジの役割が縮小し、場合によってはモバイルに置き換えられるはずだ。
これから数年の間に、信頼、価値、利便性といった最も重要な要素に対する人々の期待が少しずつ高まり、ついには小売の新しいパラダイムが生まれるときが来るものと思われる。購入チャネルにかかわらず、モバイルは今後も、多くの消費者にとってショッピング体験の中心となるだろう。
滝澤氏は「ショッピングのオンライン化が叫ばれて久しいですが、アプリは顧客体験のオンライン化を加速させています。最近ではZOZOSUITSが話題になりましたが、オンラインで買い物を完結させるための布石といえるでしょう」としている。
