鍵握る「ターゲティング、タイミング、クリエイティブ、オファー」
鈴木:今回の実証実験では、昨年10月から今年1月初旬までの過去4か月間に「LIFULL HOME’S」を訪問して、分譲マンションや一戸建てに関する資料請求をしたユーザーを対象として抽出し、メールのみを送るコントロール群と別に、約3,000件ずつに対して「DMとメール」「DMのみ」のアプローチを行いました。初速の反応はどうだったでしょうか?
野口:今回、「ほかの物件への問い合わせ」と「『LIFULL HOME’S 住まいの窓口』への来店」の2つをKPIとしたわけですが、メールのみの群に対して、DMを送付した群が飛び抜けた成果を挙げるには至りませんでした。
※「LIFULL HOME’S 住まいの窓口」は家探し・家づくりの悩みを専属のアドバイザーが無料で解決するリアル店舗のサービス。以下、「住まいの窓口」
鈴木:なるほど。前回うかがったお話では、「住まいの窓口」の店舗や不動産会社を訪れていただく、または分譲マンションや一戸建ての契約・購入が最終コンバージョンということでした。現時点ではちょっと成果が見えにくいということですね。
野口:そうなります。実は、以前試みた、不動産会社をクライアントとしたDM施策のほうが明確な効果がありました。そのDM施策と今回の実験の差分を分析して、課題と今後の方向性を見いだしたいと考えています。
不動産会社へ試みた施策というのは、特定の分譲マンションや一戸建てのモデルルームへの集客のためにDMを送付するというアプローチだったんですが、コンバージョン率が約10%に達しました。
鈴木:それは興味深いですね。こうしたDMによる施策の場合、1.ターゲティング、2.タイミング、3.クリエイティブ、4.オファーの4つを踏まえたシナリオづくりが重要です。4つの要件、1つずつについて検証してみましょう。
まずターゲティングに関してですが、ポジティブな反応のあった施策の場合はどんなユーザーが対象だったのでしょう?
野口:実は、前回施策では大手ショッピングサイトが提供するDMサービスを使いました。
鈴木:なるほど。「LIFULL HOME’S」を訪問し、かつ大手ショッピングサイトの会員でもあるユーザーを対象にDMを送付する施策ですね。そうすると、送付対象の住所は「3rdパーティデータ」になりますね。
一般的に、今回の実証実験で用いたような、「LIFULL HOME'S」を閲覧したユーザーが、資料請求のために登録した住所は「1stパーティデータ」だから好反応が期待できるだけに、意外な結果ですね。
野口:ただ前回施策の場合は、モデルルームを訪問した方にしっかりとしたプレゼントを準備していたことと、直近1ヶ月間に「LIFULL HOME’S」を閲覧したユーザーが対象だったという差分はあります。時期的にいって、ユーザーが熱心に物件の契約や購入を考えているタイミングだったということは言えます。
鈴木:今回は前回より安価なQuoカード500円分が「住まいの窓口」来店インセンティブなので、その違いは大きいでしょう。また、今回の実証実験の対象も物件の契約や購入を検討しているユーザーだったわけですが、「過去4ヶ月間」での抽出なので、アクセスからDMの発送までタイムラグがあってもうすでに物件選びに興味や関心を失っていたことは考えられますね。