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有園が訊く!

「代理店任せ」では遅すぎる現実 広告主企業で進むダッシュボード導入の理由

ソーシャルの一般化で迅速な判断が不可欠に

有園:それで、代理店に丸投げではいけないという風潮になったわけですね。16年と聞いて、アドフラウドの件を思い出しました。これも問題自体は昔からありましたが、広告主がデータをよく見るようになったから気づいたわけで、先の話とコインの裏と表なんですね。

杉原:あ、まさしくそうですね。また、これは広告主に限ったことではないですが、ダッシュボード普及の背景にはGoogleなりYahoo!なりFacebookなり、各媒体の指標が増えすぎて、定点観測では立ち行かなくなったという要因もあります。アドワーズだけでも30種類以上あるんですよ。そうなるとアドホック(特定目的のための)な分析ができないとどうしようもない。

有園:それは私も実感しますね。広告主がダッシュボードを導入すれば、代理店が手作業で苦労してエクセルレポートを出す必要もなく、常にデータを双方で見ながら「こういうインサイトがありそうだ」とか「ここはおかしくないか」といったやりとりがほぼリアルタイムにできる。

杉原:そう、広告主主導で分析できるようになったのは、すごく大きいです。

有園:先ほど、日本ではダッシュボードの導入は広告主が代理店に先行しているというお話がありましたが、代理店の動きはどのような状況なんでしょうか?

杉原:進んでいないわけではないですね。そもそもこの効率的なデジマにあって手作業でエクセル作業をしていたのが、gluのようなツールでかなり自動化かつタイムリーにレポートできるようになって、さらにダッシュボードと連携したことで経営陣に「日販(※日々の販売/売上)がみられるようになった」と喜ばれているんです。

広告主のダッシュボード導入を拒む代理店

有園:なるほど……日販を把握できていないのはある意味で驚きですが、でも手動ではとても追いつかず、かといって見られるツールがなかったということなんですよね。

杉原:そうですね。それはそれで活用していただければと思うんですが、問題は、代理店が広告主へのダッシュボード導入を拒んでいることです。丸投げだったデータの把握や運用の主導権を広告主が取り戻すと、付随してAPI連携によってあらゆる広告の原価がわかってしまうから。

 それが困る、と面と向かっては言えないですが、結局ライトインハウスだと代理店の支援は引き続き必要なわけで、引き続きどこかに主管代理店になってもらいたいニーズがある以上、なぜか広告主のダッシュボード導入の決定権がパートナーの代理店にもある、という状況が生じています。

有園:なかなか複雑ですね。広告主の事業なのだから、決めてしまえばいいのに、決められない。

杉原:グローバルで見ると、ほとんどの国が「原価は原価、サービス対価はフィーで請求」という透明性の下に代理業が展開されているので、こういったことは起こらない。日本と韓国だけが原価にコミッションを抱き合わせにする商習慣でここまで来てしまったので、一筋縄ではいかなくなっています。

 また、広告主のデジマの担当者が異動していくと、代理店のほうが長年の経緯をよくわかっているという事態もあって、簡単には切れないんですよね。

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代理店は主管パートナーの座を狙うべき

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/25 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28358

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