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「代理店任せ」では遅すぎる現実 広告主企業で進むダッシュボード導入の理由

2018/05/25 08:00

 デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。今回は、データドリブンマーケティングに欠かせない存在ともいえる、ダッシュボードの現在と今後をテーマに、アタラの杉原剛氏を訪ねた。広告主が積極的にダッシュボードを導入する背景には、来るAIの活用という重要な観点がある。

広告主企業に広がるダッシュボードの導入

アタラ合同会社 代表取締役CEO 杉原 剛氏(写真左)電通総研カウンセル兼フェロー/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真右)
アタラ合同会社 代表取締役CEO 杉原 剛氏(写真左)
電通総研カウンセル兼フェロー/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真右)

有園:今、あらゆる状況がデータによって可視化されるようになりました。それを下支えする要素のひとつが、ダッシュボードです。そこで今回は、私も一昨年まで経営に関わっていた、運用型広告のコンサルティングを主軸とするアタラの杉原さんに、ダッシュボードの現状と今後をうかがいます。MarkeZine読者の方々には「Unyoo.jp」の運営元としてもなじみがあると思いますが、ダッシュボード関連でいうと、直近でDomoから表彰されていましたね。

杉原:そうですね。ちょうど1年前にDomoの販売パートナーになり、アジア太平洋と日本地域でトップの販売実績を評価されて「Domo Rookie Partner of the Year」を受賞しました(プレスリリース)。当社ではDomo以外も扱っていますが、我々の運用型広告レポート作成を支援するシステム「glu」とDomoを連携しているので、50ほどの媒体のデータをgluで収集して今までどおりエクセルに出力するのではなく、Domoで視覚化し分析するという活用例が増えている状況です。

有園:具体的に、ダッシュボードの導入はどのくらい進んでいるのでしょうか。たとえば大手100社などでいうと?

杉原:他のツールも含めて、今10%くらいじゃないでしょうか。ダッシュボードは実は3年ほど前にもブームがあったのですが、当時はまだシステムが難しく、結局データサイエンティストのような専門知識のある人しか使えなかった。

 それで分析業務が彼らに集中し、停滞したケースが目立ちました。今は普通のビジネスツールとして直感的に操作でき、チャットなどで気づいた点をすぐシェアできる機能も充実したので、今回は定着するとみています。

「代理店任せでは遅すぎる」と気づいた

有園:なるほど。そもそも私が今回ダッシュボードに注目したのは、これは現場や中間レイヤーの方々に役立つのはもちろん、経営にも大きく影響するようになっているからなんです。

 たとえば某大手メーカーの経営危機の際も、もし経営層がダッシュボードで数字を把握していたら、経営に影響する前に何らかの手を打てたのではないか、と思ったりしていました。

杉原:それは同感ですね。実際、日本では2016年を境に広告主への導入が増えており、代理店よりずっと先行しています。先日開催したDomoのカンファレンス報告会も、出席者はブランド企業ばかりでした。

有園:2016年というと、どういう節目だったんでしょうか?

杉原:端的にいうと、広告主企業が「代理店に任せていては遅すぎる」と気づいたタイミングでした。我々のgluも、リリースしてから代理店の導入がメインでしたが、16年から急激に広告主企業の導入が増えました。それからコンサルティング事業でも、運用のインハウス化支援の相談がぐっと多くなりました。

 インハウスも完全に社内で進めるヘビーインハウスと、主導権を握りながら代理店を外部パートナーとして進めるライトインハウスがあり、前者はそれこそ楽天とリクルートしか例が思いつかないくらいリソースも体力も必要なんですね。でも後者は柔軟に体制を構築できますし、このタイプを模索する企業がすごく増えている。

有園:それは、顕著な流れですね。遅い、と気づいたきっかけはあるんでしょうか?

杉原:いくつか要因がありますが、端的なのはソーシャルの普及だと考えています。広告主がみずからデータを見て迅速に判断し、直接生活者とコミュニケーションする機会が出てきたので、月1のレポートでは意味がないと。あと、運用型広告は、そもそも月1で改善するものでもないし、データを元に常に打ち手を最適化できるのがデジタルマーケティングの利点なのに、これができていないとわかってきた。

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