LINEアカウントとの連携でユーザーに手厚いサポートを提供
具体的な活用事例を見ていこう。まずLINEモバイルは、契約者への手厚いサポートとオペレーターにつながるまでの“待ち行列”の緩和を軸に、ストレスを与えないカスタマーサポートの設計を行った。
「オペレーター対応の時間は10時から19時です。それ以外の時間や、お問い合わせの数が多くすぐにオペレーターにつながらない場合、そして契約前の一般のお客様は、AIによる自動応答となります。自己解決へ導き、ユーザーのストレスを軽減する。それらをチャットで実現できるよう、LINE カスタマーコネクトをカスタマイズしました」(井上氏)
井上氏は、LINEモバイルのサービスサイトへのアクセス数などを目安に問い合わせ数を予測。対応するオペレーターの人数や席数、お問い合わせ対応にかかる時間を算出し、導線を設計していった。
AIによる自動対応でユーザーの自己解決を促すLINE Pay
続いてLINE Payの事例を紹介する。LINE Payのカスタマーサポートは、まずAIで自動対応を行い、解決しない場合はオペレーターへつなぐという設計だ。「LINEをプラットフォームとしたチャットサービスの事例は少なく、ご満足いただけるサポートがどこまでできるのかという懸念点がありました」と加藤氏。LINE カスタマーコネクトの大がかりなカスタマイズは行わず、標準機能をベースに日々の運用からサポート体制の改善を行っている。
3,300万人もの友だち数を有するLINE Payの公式アカウントは、何かのきっかけで問い合わせが集中する場合がある。そこでオペレーターにつなぐ手前で自己解決を促す導線を工夫し、さらにアクセスの集中を防ぐためキャンペーン配信の時間を調整するなどして、効率よく対応ができるように努めている。
「AIによる回答のベースはFAQデータです。さらに質問例のデータを作成したり、お客様に問いかけるような言葉に調整したりして、AIの学習データを用意しました。またセッション終了後にアンケートを行い、お客様への回答が正しかったかどうかを確認する“振り分け”を行います。満足しなかったという回答の場合、返答履歴をもとに、より最適な回答を判断しAIに学習させることを積み重ねています」(加藤氏)