顧客満足度は90%以上 改善のためにチャットログを有効活用
LINE カスタマーコネクトが正式にリリースされて約1年。参考となる活用事例が限られていた中、自社のユーザーやサービスを分析し、カスタマーサポートを構築してきたLINEモバイルとLINE Pay。両社の取り組みは、どのような成果を上げてきたのだろうか。
まず、共通した成果として挙がったのは「顧客満足度の高さ」だ。両社ともチャット終了後に満足度アンケートを行い、顧客の反応をトラッキングしている。特にLINEモバイルがサービス1周年を振り返り行ったアンケートでは、95%以上の顧客がチャットサポートに満足しているという評価になった。
「一般的に、MVNO事業者は大手キャリアと比べて販売代理店が多くありません。そこで各社Webチャットなどで問い合わせ窓口を設けていますが、LINEモバイルの場合、LINEですぐに問い合わせができるという点を評価いただいているのだと思います」(塩見氏)
LINE Payでは、「当初の狙い通りスピーディな対応ができている」と加藤氏。メールでは複数回のやりとりが必要だった本人確認が、LINEならば確認用書類の画像提出の1回で完了するため、ユーザーから好評だ。さらに「LINEらしいコミュニケーションであるスタンプを送ることで、お客様との距離が近づき、サポートへの満足度につながっている」と分析している。そしてLINEによるチャットサポートはユーザーの満足度だけでなく、サービスの向上にも影響している。
「お客様からのお問い合わせログを分析し、サービス設計やUXの改善に活用しています。たとえば、お問い合わせの多いSIMの設定に関しては、より詳しい内容をFAQに掲載したり、お客様が体感した回線速度の情報を収集したりと、ログを参考にすることは多いです」(井上氏)
ユーザーごとに最適化されたカスタマーサポートを
最後に、カスタマーサポートの今後の展望について話を聞いた。実際にカスタマーサポートの現場に立つ松木氏からは、チャットによる効率化が挙げられた。
「LINEモバイルはお電話によるお問い合わせも受け付けていますが、お待たせする時間が長くなる傾向があります。チャットサポートは一人のオペレーターが同時に複数のセッションに対応可能です。お客様を適切なチャネルへご案内し、待ち時間の緩和を行いたいです」(松木氏)
チャットのオペレーターはレスポンスの速さなど、高いスキルが求められる。そのためオペレーションセンターでは、段階をつけたトレーニングを実施し、オペレーターのスキルアップを行っている。
また塩見氏は、ユーザーの利便性向上を挙げる。LINEモバイルは、セキュリティソフトなど複数のオプションサービスを提供しているが、ユーザーからの製品に関する問い合わせ対応はパートナー企業にお願いすることがある。パートナー企業も独自でLINE カスタマーコネクトを導入しているケースがあるため、それぞれが独立してユーザー対応するのではなく連携することでユーザーにストレスなく解決策を提示できるようになると、満足度もより向上するのではないかと語った。
LINE Payの加藤氏は、LINE カスタマーコネクトの機能追加に期待。現在は問い合わせを受けるのみの体制となっており、チャット終了後、改めてオペレーターより連絡をとる手段はメールに限られている。
「たとえばアフターフォローとして、オペレーターからプッシュ通信ができる機能があればいいなと思います。また電話サポートの声は根強いです。将来的にはチャットから通話につなぐ『LINE to Call』機能の導入も検討をしていきたいと考えています」(加藤氏)
そして理想のカスタマーサポートとは「チャットにこだわらず、ユーザーそれぞれに最適な対応をすること」と話したのは井上氏。UIやコミュニケーション設計でユーザー望むカスタマーサポートを実現していきたいとまとめた。