本記事では、IPアドレスと様々な情報を紐づけるデータベースを搭載したAPI「どこどこJP」を提供するGeolocation Technologyが主催したイベント「Meet Emotion!」から、KDDIのソリューションマーケティング部でB2Bマーケティングを推進する森本祐吏氏の講演「MAだけでない、デジタルでのABM実践」の内容をレポート。MAによるメール施策に頼りすぎることの弊害を指摘し、後工程となるインサイドセールスの生産性を向上するための指標設計を論じた前編はこちら。
狙うべきアカウント特定に時間をかける
ABMにおける最初のステップは、アカウントの選定にある。このプロセスに森本氏のチームは数ヶ月を費やしたという。
日本に存在している企業数は約300万社と言われており、KDDIが活用している「どこどこJP」においてIPアドレスと法人番号がマッチしている企業数は約10万社。その10万社というところから、企業を選定していった。
たとえば、従業員数が100名以上、10拠点以上の企業、売り上げが100億円以上を狙うとすると、3つの基準全てを備えたアカウントが最優先、というように優先順位がつけられるはずだ。
この絞り込み作業のために、KDDIでは「Marketo」、DMPである「Adobe Audience Manager」、どこどこJPで取得する「IPアドレス情報」、「国税庁の法人番号」、東京商工リサーチを経由して取得するD&B発行の「DUNS#」といった各種オーディエンスデータを社内企業IDのもと一つにまとめている。
具体的には、ユーザーがWebサイトにアクセスすると、IPアドレスでどこの企業かが判明し、「国税庁の法人番号◯◯の□□社」というデータがAdobe Analyticsに返される。
すると、DMPに対して「国税庁の法人番号◯◯の□□社ユーザーが△△のページを見ていた」というアクセス情報が渡され、DMPでは、そのユーザーが所属する企業がターゲット企業なのか、その企業の社内担当部署はどこなのか、従業員数がどれぐらいの規模なのかといった、アカウントの分類プロセスが走る。
さらには、MAのデータに関してもこのアクセスユーザーはMAに登録がされているユーザーか、役職は何で、メールが現在送れるユーザか、というデータがDMPに戻される。