動画もライバル
利用シーンのグラフを見ると、音声コンテンツにおいては、“自宅でくつろぎながら”利用されるケースも多いことがわかりました(図表3)。

しかし家の中には、地上波テレビをはじめ、音声コンテンツの競合となりうるサービス・コンテンツがたくさんあります。図表5は、「音楽や音声コンテンツ」と「動画コンテンツ(テレビを含む)」の利用シェアです。

まず、大きな傾向として、年代が高くなっていくと、「いずれもあまり利用していない」の回答が増えていきます。年齢とともにこれらコンテンツに対する需要が低減していく中で、「音声や音楽コンテンツ」はその割合を維持していますので、相対的に見れば、年齢とともにその存在感は上昇していると考えられます。ただし、60代を除く各年代で、「動画コンテンツ」のほうが優勢との傾向も見られます。特に10代20代といった若い世代では、その差が大きくなっています。自宅のくつろぎシーンを主戦場にするのであれば、「動画コンテンツ」との差別化という視点も今後非常に重要になってくるでしょう。
動画との差別化ポイントは
最後に、「音楽や音声コンテンツ」と「動画コンテンツ」のイメージの違いを尋ねました(図表6)。

「音楽や音声コンテンツ」のイメージが勝っている点として“他の作業をしながらでも楽しめる”、“細切れの時間でも楽しめる”、“センスがよい”が挙がっています。これらの3点は既に動画コンテンツに対して優位に立っており、引き続き、長所を維持すべきポイントになります。特に“ながら時間”、“細切れ時間”について圧倒的なイメージ差がありますので、この軸をぶらすことはできません。運転中、移動中、家事中、これらの時間を有効活用したい、もしくはこれらの退屈な時間をもっと楽しみたいというユーザーのニーズに引き続きしっかりと応えていくべきでしょう。
また、現状「動画コンテンツ」に比べて、劣っているものの比較的スコアの高いものとして、「自分の趣味・興味に合ったものが多い」という項目がありますが、この点も非常に重要と考えます。一つひとつのコンテンツは“細切れ時間”に対応しないといけませんので、コンテンツの時間単位が短くなる傾向にあるはずです。音声コンテンツは動画コンテンツに比べ、映像が不要、そして、コンテンツあたりの時間単位が短くなることにより、1コンテンツの制作費用を低く設定できるメリットがあります。反対に、動画コンテンツ以上により追求していかないといけないところが、多様性であり、先ほどの課題に挙がっている様々なユーザーの趣味、興味、センスに対応していく、パーソナライズの部分です。それは単にコンテンツを増やすだけではなく、自分に合ったものをユーザーが探しやすくするための工夫かもしれません。
このように、利用シーン×デバイスの特性を正しく理解し、その上でユーザーの個性や好みに合ったものをしっかりと届けていくことが、今後の音声コンテンツに求められていることなのではないでしょうか。
■調査概要
調査主体:マクロミル、翔泳社(共同調査)
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:全国15~69歳の男女(マクロミルモニタ会員)
割付方法:平成27年国勢調査による、性別×年代の人口動態割付/
合計2,000サンプル
調査期間:2018年4月21日~4月22日
・本文の数値は四捨五入した整数で表記。
・百分率表示は四捨五入のため丸め計算を行っており、合計が100%とならない場合がある。
▼調査レポート
『CD、ダウンロード音楽、定額制音楽配信、ネットラジオ…、音楽・音声コンテンツの利用状況を調査』(HoNote)