※本記事は、2018年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』30号に掲載したものです。
「データ企業」という自覚
2018年5月25日、欧州ではいよいよ新たなプライバシー保護法(GDPR)が施行された。米国でもプライバシー関連法改定への取り組みが始まっており、データ管理の強化やその扱いの難易度(生活者の明確なオプトインの必要性など)が啓蒙されている。
一方、マーケティングの現場では、これまでのハッシュ化させて匿名にしていた「セグメントデータ」から、より個人が特定できるプライバシー性が高いPII(Personally Identifiable Information)情報に紐づくデータの価値が高まっている。
FacebookやGoogleなどのプラットフォーム企業のデータ保護ばかりに気を取られるのではなく、すべての企業(あなたの企業)が「データ企業」だと自覚を持って取り組むことが必須となる。まずはセンシティブなデータを生活者とオプトインで「ともに」構築し、「データ管理者(Controller)」として扱うことに対する姿勢を自社で築けているか、この機に問う必要がある。
PIIデータを活用する延長線で、「CDP(Customer Data Platform)」という言葉が登場し、日本でも徐々に認識され始めている。
米国では2013年には既にCDPに関する協会(CDPI:CDP Institute)が立ち上がっている。そしてDMP、CRMベンダー、タグマネジメントなどのベンダーらは、自社のプラットフォームを単なるターゲットの「セグメント(集団)情報」から進化させ、個々の生活者が特定できる情報(メールアドレスや生年月日等のプライバシー性が高いPII情報)に紐づくマーケティングにシフトさせる目的で、「自社プラットフォームの呼称」をCDPに変更した。日本でもトレジャーデータが自社の「TreasureDMP」を「Treasure CDP」と改称している。
CDPの定義
CDP協会の資料によると、CDPは「a marketermanagedsystem that creates a persistent, unifiedcustomer database that is accessible to othersystems」と定義されている。ポイントは下記の3点だ。
- マーケティング関連部署側が(IT部署に頼らず)管理活用するシステムである
- 永続的でリアルタイムに統合された顧客データベースである
- CRMやDMP等の他システムから接続アクセスができるもの
データを扱うDMPやCRMの延長線上にCDPが登場していることから、体感的な差は感じないかもしれない。あえて進化の区別を付けるならば、CDPの方がよりセンシティブな個人データ(PIIデータ)を扱う傾向に進み「巨大な顧客カルテ管理」を目指していると考えてよい。
本コラムはデジタルインテリジェンス発行の『DI. MAD MAN Report』の一部を再編集して掲載しています。本編ご購読希望の方は、こちらをご覧ください。