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Overture出身の先駆者たちの選択と次の一手

【フロム×香川対談】子どもを持ちながら第一線でいられる?進化の速い業界で働き続けられた理由


 ネット広告市場を大きく拡大した仕組み、検索連動型広告を世に送り出したオーバーチュア。同社がのちにヤフーに吸収合併されて以降も、その出身者は業界の多方面で頭角を現している。彼らを訪ね、ネット広告の黎明期やその後の発展をひも解く本連載の第2回目は、業界における女性の働き方をテーマに、Criteoの北アジアを統括するGrace Fromm氏と、アンルーリー日本代表の香川晴代氏に聞く。香川氏に産休取得を決断させた、Fromm氏のひとこととは?

子どもを持つことで、優先順位の付け方が何倍もうまくなる

――前回の上野さん、杉原さんの対談に続き、今回は2005年前後のオーバーチュアのセールスに携わっていた女性お二人にご登場いただきました。現在、フロムさんはCriteoの北アジア地域の統括、香川さんは英国拠点の動画プラットフォーム、アンルーリーの日本支社長を務め、それぞれお子さんを持ちながら業界の第一線で働き続けてこられました。

CRITEO株式会社 北アジア地域最高責任者 兼 日本取締役社長 グレース・フロム氏

香川:私がオーバーチュアにジョインしたとき、グレースはそのセールス責任者をしていました。初対面で開口一番「あなた何歳? 子どもほしい? じゃあすぐ産みなさい!」って。私の経歴やどういう人間かを聞く前にそんなことをズバッと言われて、驚きはしましたが(笑)、後押しになったその言葉がとても印象に残っています。

フロム:今はもう成人しましたけど、私もそのとき娘が10代で、周りの助けを借りながら仕事を続けていました。子どもがほしいなら、はっきり言って“いい時期”なんてないんですよ、いつ産まれても大変だから! だから、晴代には「Just do it!」という気持ちでしたね。

――当時のオーバーチュアというと、それこそ成長期まっただ中でしたよね?

香川:そうですね、だから私も最初は本当にばりばり働いていたし、こんなにスピード感のある業界で産休・育休なんて取ったら、もう私の戻る席はないんじゃないかという不安はありました。仕事と育児に追われる生活も、想像がつかなかった。でも、グレースが「絶対に大丈夫。子どもを持つことで、あなたはまずプライオリティーの付け方が人より何倍も上手になるから」と背中を押してくれたんです。

女性も男性も、ファミリー全体をサポートする文化をつくりたい

UNRULY Japan Country Manager 香川晴代氏

――優先順位の付け方がうまくなるから、むしろ仕事にプラスになると?

香川:そう。「やることが100あったら100は絶対にできないけど、その代わり限られた時間で何をすべきか、上から10の大事なことがパパパッとわかるようになる。だから大丈夫!」といわれて。

 実際に子どもができて、そろそろ皆にも伝えなきゃというときには、グレースが当時70〜80人いたセールスチームのミーティングで「すごくいいニュース。晴代に子どもが産まれるから、皆で応援しましょう」といってくれた。それからは皆、道は開けてくれるわイスはひいてくれるわ(笑)。恵まれていましたね。

フロム:これから子どもを持とうという人たちを、全力で応援したかったんです。女性を、というよりは、パートナーである男性やサポートしているファミリー全体を。子育てだけじゃなく、親の面倒をみている人だっているし、それぞれの事情を皆で支え合えるような会社のカルチャーをつくりたいと思っていました。独身のメンバーだって、深夜まで仕事をしていても人間そんなに長時間パフォーマンスを出せるわけはないですし、ヘルシーじゃないなって。

香川:残業を減らす制度もね、グレースが導入したんです。

フロム:夜8時以降に残るなら、その理由を私に提出してOKをもらってね、と。本当に緊急のものって、実はそんなにないし、それが何週間も続くならもっと根本的なことを見直さないといけない。PCの時代、どこでだって仕事はできるんだから、家族と夕食をとってリフレッシュしてから再開したっていいですよね。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2018/07/19 11:01 https://markezine.jp/article/detail/28774

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