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イベントレポート

FacebookとGoogleが、「PROGRAMMATIC I/O SF」で語った課題と展望

 2018年4月10・11日に、米国サンフランシスコで「PROGRAMMATIC I/O San Francisco」が開催された。プログラマティック広告業界のセルサイド・バイサイド共に多くのプレーヤーが集うカンファレンスに参加した中で、特に注目を集めたFacebookとGoogleの両社のセッションを紹介する。

Facebookのデータプライバシー保護への取り組み

セッションタイトル:Facebook On Mobile Ad Trends
登壇者:Mark Rabkin, Vice President, Ads & Business Platform, Facebook
インタビュアー:Allison Schiff, Senior Editor, AdExchanger

  今回の「PROGRAMMATIC I/O San Francisco」は、米Facebookのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が英データ分析会社(Cambridge Analytica/ケンブリッジ・アナリティカ)による8,700万人分に上るユーザー情報の不正流用問題の件で米国議会の公聴会に出席したまさに同じ日程(4月10日、11日)で開催されました。

 本イベントで当初から予定されていたFacebookのセッションテーマは「Facebook On Mobile Ad Trends」でしたが、このタイムリーな状況の中でトークッションの多くの時間が今回の問題に関することに費やされました。もちろん、参加者の関心も高く会場も満席と立ち見の中で壇上のトークセッションが始まりました。

(左)Allison Schiff氏 Senior Editor AdExchanger
(右)Mark Rabkin氏 Vice President Ads & Business Platform Facebook

 冒頭、インタビューアーのAllison氏から、「ケンブリッジ・アナリティカの一件は、Facebookのステークホルダー達にどのようなインパクトを与えたと考えているか?」という質問が放たれました。

 これに対しFacebookのMark氏は「今回のすべての事は、プラットフォームやシステムをデザインした我々にすべて責任がある。システムのデザインと運用について明らかに過ちがあったと思っている」改めて謝罪のコメントを述べました。

 その上で、「日に日に状況は変化しているが、我々は既にデータプライバシーのセキュリティ、特に広告サイドのデータについてはフォーカスして取り組んでいる」と返答。今回の一件で影響のあったユーザーについてはすぐに告知をし、すべてのAPIを精査し絞り込んでおり、その調査チームのバグの発見には褒賞プログラムを開始したことなどを挙げ、「できる限りリスクを減らし安全なプラットフォームになるように努力を開始している」と現状の取り組みを説明しました。

 また、多くの広告主やパートナーとも緊密にコミュニケーションをとりながら多くの質問や示唆など協力を得ているとのことでした。

 そして今回の一件に絡んだFacebookの対応で注目されている「パートナーカテゴリ」の廃止についても質問が及びました。

 Allison氏の「パートナーカテゴリの廃止はデータブローカーにとっては喜ばしくない出来事ですね?」という質問に対し、Mark氏は「我々は、ビジネスの目的と利便性の達成のための最小のデータフローの原則を持とうとしており、そのためにシステムとプラットフォームを変えようとしている」と回答しました。そしてこれまで提供していたAPIやオープンに開発できるフィールドも今は提供を止めたことも説明しました。

Mark Rabkin氏 Vice President Ads & Business Platform Facebook

 さらにAllison氏は「情報開示」の重要性にも触れ、「十分な情報を人々に知らせるための情報開示は(非常に重要たが、その方法は)非常に複雑だ。どのように考えているか?」と問いかけました。

 Mark氏は、情報開示は法的な部分も関係するので一般のユーザー向けとしては理解が難しいところもあるとのこと。(一般のユーザー向けに)簡潔な内容での開示は理解しやすいかもしれないが十分な情報を与えることはできない、としながらも「今後は人々が持っている期待や(わかりやすい)基準を作り上げていきたい」と説明しました。

 セッションの前半で多くの時間を費やしたケンブリッジ・アナリティカ問題については、そのタイムリー性もあり“PROGRAMMATIC I/O”の枠を超え、Facebookの「これまで」と「これから」の取り組みを知る大きな機会となりました。

 Mrak氏がインタビューに対して冒頭で述べているように、メディアがデータを活用する技術やシステムは進化し続けているが、その「デザイン(設計)と運用についての過ち」があったとしていることは、デジタルマーケティングを今後活用していくすべてのステークホルダー(広告主、代理店、メディア、開発者、など)にとって共通の教訓としていかなければならない強いメッセージであることは間違いないでしょう。

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この記事の著者

山浦 直宏(アユダンテ)(ヤマウラ ナオヒロ(アユダンテ))

アユダンテ株式会社 データソリューション推進統括部 統括部長
チーフエグゼクティブコンサルタント
元立教大学経営学部兼任講師

読売広告社において、事業局、営業局、デジタルビジネス局を経て、ファーストリテイリング、トランスコスモスにて一貫してデジタルマーケティングに従事。2016年よりアユダンテに勤務。 ネット広告の黎明期より一貫して、ネット広告、デジタルマーケティング畑を歩む。アクセス解析には2003年より取組み、解析・コンサルティングの実績多数。2010年よりGoogle アナリティクス360を中心としたデジタルマーケティングコ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/07/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28817

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