何事も疑問を持つことがチャレンジを生む
MZ:では、実際に、お2人が取り組まれたチャレンジな事例を教えてください。
坊:広告配信におけるチャレンジで成功した事例についてお話しします。
何を行ったかというと、広告投下量をある1時間だけ増加して、ダウンロード数がどの程度伸びるのかというテストを行いました。以前から広告投下量を増やした際に、計測できている広告獲得数以上の効果があるのではと感じていました。
そこで、現状の計測方法では測れないコンバージョン、ビュースルーコンバージョンなどが発生しているという仮説をもとに検証を行うことにしました。その効果を可視化したものが、以下のグラフです。

13時台の1時間だけ、広告投下量を強めており、水色の部分が「いつもこれぐらい取れている」という数字で青の部分が、当日のダウンロード数です。広告投下量を強めたことによって、通常時以上に数値は伸び、大きな効果が得られていることがわかりました。
その後も様々な広告で同様の取り組みを行いました。広告の種類によって、度合は違いますが、多いものだと倍近く増加することがわかりました。
現在では複数の広告の評価に対して共通の指標を取り入れて、計測できていないダウンロード数を可視化し適正な評価を行うようにしています。
この事例は、先述した「何事にも疑問を持つ」ということを各メンバーが意識した結果、生まれました。疑問を疑問で終わらせず、仮説を持って検証するというアクションまで移せたこと、ノウハウとして蓄積して広告評価に取り入れられたことが、今回の事例の良い点だったと思います。
失敗の中からも学びを得る
MZ:デジタル領域においても、まだまだ目に見えないコンバージョンがたくさんあり、広告を投下する効果があることを認識できた良い事例だったということですね。失敗事例についてもお話しいただけますか。
川口:スマホアプリのマーケティングで、動画広告をPCに出して失敗したという事例です。動画コンテンツの手前に出てくるプレロール型の広告はスマホの動画広告では主流ですが、動画コンテンツのほうが気になってダウンロードにつながりにくいという仮説を持ちました。ダウンロードするには、動画コンテンツを見ることをその場で諦めないといけないですから。
一方で、テレビCMはアプリダウンロードに効果的であることを踏まえると、テレビCMと同様に広告を見るデバイスとアプリをダウンロードするデバイスが異なるPCでの広告配信であれば、動画を見ながらダウンロードしてくれるのではないかと考えました。
PCへの広告配信によるスマホアプリへのダウンロード効果は通常計測できません。そのため、先ほどの成功事例の時と同じアプローチで短時間だけPCでの広告配信を行い、ダウンロード数がどの程度伸びるかで効果評価を行いました。配信した時間にダウンロードが増えることを期待したのですが、結果は仮説と異なりほとんどユーザが獲得できない、ということがわかりました。
このチャレンジは失敗に終わってしまったのですが、仮説を立ててチャレンジを行い、結果の検証ができた点は良かったと思っています。ダメだった理由は特定しきれていませんが、物理的にデバイスが違ってアプリをダウンロードすることができたとしても、ユーザーの気持ちは「動画コンテンツを見ること」に向いているので、ダウンロードを促すのは難しかったのではと考えています。
また、テレビCMはいくつかのCMが連続しており、コンテンツが始まるまでにダウンロードする余裕も多少ありますしね。そのため、テレビCMのように連続して動画広告が配信される媒体であれば、もしかすると上手く行く可能性があるので、そういった媒体への出稿も今後チャレンジしたいです。
